2012年7月アーカイブ

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 今夜で48回目です。
 昨日、ビジネス雑誌の鉄道特集について書きましたが、現在売っている最新の『ダイヤモンド』8月4日号の特集「JR vs 私鉄~王者JRを猛追する私鉄」内で、鉄道警察隊に関する取材記事が見開きで掲載されています。

 これを読んで驚いたのですが、警視庁の鉄道警察隊には前身である「鉄道公安官」の出身者が今やわずか1人しかいないというのです。
 鉄道公安官は、国鉄内の警察組織として戦後すぐに発足。スリや置き引き、痴漢、暴力事件といった車内や駅での事件を防ぐうえでは欠かせない存在でしたが、1987年の国鉄崩壊とともに、鉄道公安官の制度自体も解体され、鉄道警察隊が担うことになりました。

 民営化前は全国に約2900人もいた鉄道公安官ですが、解体時に警視庁や各道府県警に移籍したり、JR社員になったりしてばらばらになっています。全国一の規模を誇る警視庁でさえ、100名しか鉄道警察隊としては採用しなかったようですから、今は1人だけしかいないのも不思議ではないのかもしれません。

 「赤帽」などとともに、戦後の鉄道を脇から支えた鉄道公安官という名称は、もはや鉄道の現場から消えようとしているようです。JRの経営陣や幹部が今も国鉄出身者で占められているのに、同じ国鉄出身者でも鉄道公安官の世界は、組織はもちろん、出身者群も名称さえも跡形もなく消されようとしています。

 こうなったら、せめてフィクションの世界だけでもその名残を味わいたい!と思うのですが、テレビ朝日系の人気ドラマ『鉄道公安官』(1979~1980年)は、DVD化が熱望されているにも関わらず一向に実現されません。
 30年も前のドラマなのに、動画共有サイトに誰かが主題歌をアップしただけで、テレビ局が削除に勤しんでいます。同時代に同じテレビ局で放映された刑事ドラマの『西部警察』は"野放し"なのに、なぜか鉄道公安官のドラマは徹底的に消され続けているのです。

 著作権の問題なのか、見えない圧力なのか、自主規制なのか、背景になにがあるのかは分かりませんが、「鉄道公安官」という名がこのまま忘れ去られていくような流れになっていることは確かで、非常に寂しい気がしてなりません。

※写真は1979~80年に放送されたテレビ朝日系のドラマ『鉄道公安官』(石立鉄男ら主演)のオープニング画面。主題歌もエンディングテーマの映像も国鉄のカッコよく、旅情あふれる鉄道風景が多々出てきてたまらない気分になります。かつて動画共有サイト「YouTube」にアップされていた動画からキャプチャしたものですが、あっという間に削除されてしまいました......。
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 今夜で47回目です。このところ酷暑が続きますね......。

 さて、週明けである今朝(月曜日)の新聞には、だいたい『日経ビジネス』『東洋経済』『ダイヤモンド』(時に『エコノミスト』も)といったビジネス週刊誌の広告が掲載されているのですが、そのうちの一誌、ダイヤモンドが今週号で「JR vs 私鉄~王者JRを猛追する私鉄」と題した鉄道特集を掲載していることを見つけ、思わず駅の売店で買い求めました。

 それにしても最近は「鉄道ブーム」ゆえか、ビジネス誌であっても鉄道を取り上げることが多くなったな、と感じます。
 果たして実態はどうなのか。現在までの5年間、鉄道の特集を掲載したビジネス誌を調べてみました。

▼2012年
・ダイヤモンド(8/4号)「JR vs 私鉄~王者JRを猛追する私鉄」
・東洋経済(2/25号)「鉄道再起動~新幹線特許からホームドア設置まで鉄道大特集」

▼2011年
・ダイヤモンド(7/30号)「世界最強!新幹線~日本の未来を拓けるか」
・東洋経済(4/16号)「徹底検証 鉄道被災~動き出す復興への道筋」
・エコノミスト(3/8号)「日本の鉄道力~世界最高水準の車両とシステムを売れ」
・東洋経済(3/5号)「鉄道最前線~JR・私鉄から車両工場まで80ページ総力特集」

▼2010年
・ダイヤモンド(10/2号)「エアライン vs JR~羽田国際化、新幹線延伸で大激変!」
・COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)(9月号)「『鉄道』が世界を熱くする "新幹線ビジネス"から中国の野望まで」
・東洋経済(4/3号)「鉄道新世紀~JR&私鉄そして『世界の鉄道ビジネス』。76ページ大特集」
・エコノミスト(1/12号)「鉄道の世紀~新興国成長、環境性で需要爆発」

※2010年は東洋経済(7/17号)が「バス大異変~知られざる公共交通の実像」という特集も行っている

▼2009年
・東洋経済(10/10号)「JRの秘密~知られざるコングロマリット」
・東洋経済(7/4号)「鉄道進化論~JR、私鉄、ローカル線...鉄道ビジネス大研究!」

※2009年は東洋経済が3/28号で「日本人の旅大解明~鉄道、旅館・温泉、名物...日本人の旅行スタイルが変わってきた!」という特集も掲載。ビジネス誌以外では『PEN(ペン)』(6/15号)が「やっぱり鉄道は楽しい。デザイン・時刻表・駅弁・模型...ほか」を、『BRUTUS(ブルータス)』(8/1号)が「ニッポン鉄道の旅。列車で行こうどこまでも。」を特集している。

▼2008年
・日経ビジネス(11/10号)「巨大流通業JR(ジャパンリテール)~ルミネ、アトレ、エキュート――消費者呼び込む巨大流通業JR」
・東洋経済(4/19号)「6カ国16都市徹底調査 鉄道革命~モーダルシフト 世界で大復権が始まった」


 以上、私(西村)が把握しているだけでもこれだけあります。(これが全部だとは思いますが、このほかにもありましたらご指摘いただけると助かります)

 この5年を通算すると『東洋経済』が7回、『ダイヤモンド』が3回、『エコノミスト』が2回、『日経ビジネス』が1回、その他月刊誌が1回となっていて、年間平均にすると2.8回。つまり、半年に1回は必ずどこかのビジネス誌が鉄道特集をしていることになります。

 内容はおおむね「日本の鉄道の現状と課題」「世界戦略の行方」という2大テーマに集約され、あの手この手で深掘りしているだけのようにも見えるのですが、ビジネス誌らしく、JRを飛行機や私鉄と対立させてみたり、世界企業と比較してみたり、経営者を直撃したり、ローカル線や寝台列車の収支を独自計算したりと、ちょっと「意地悪」にも見える記事も多く、鉄道専門誌よりも刺激的に感じます。
 そのためか、読むと必ず新しい知識を得ているように思えます。個人的には700円のモトはとれたかな、とおおむね満足しており、それでつい買ってしまうのかもしれません。

 ただ、ちょっと意地悪く?雑誌業界的に見ますと、『東洋経済』が2009年頃にこの分野を切り拓いて好評を得たために、調子に乗って乱発し(時間がないのは分かるが「鉄道被災」の特集はひどかった......)、そんなに売れるのならウチも!と思ったライバル誌の『ダイヤモンド』も無理やり特集を組んでいる感もあります。ゆえに、内容が似ているのかもしれません。

 毎日新聞社の『エコノミスト』はやむなく?上位の2誌を追随するものの、取材陣が不足しているためか内容に若干物足さがあります(少人数でも懸命に書いている取材陣の熱意は感じるが......)。

 一方、日経新聞傘下の『日経ビジネス』は経済界の大御所らしく、唯一取り上げたのはJRでもデパート部門だけ。しかも5年近く前です。「鉄道特集?そんなもんマニアが買うだけだろ!」と無視しているようでもあります。経営層の定期購読者が多い同誌が載せていない現状を見ると、実は鉄道特集ビジネス誌を買っているのは、私のようなマニア会社員だけなのか、とか思ったり、思わなかったり......。

 なんにせよ、これまでの経緯からみると、年内に東洋経済かエコノミストが、はたまた他誌が鉄道特集を組むことが予想されますので、今後も密かに期待して月曜の朝を待っていたりします。こんな人間がいるから、特集を乱発するんだろうな、と思いつつ。

※写真は最近発売されたビジネス誌の「鉄道特集」掲載号
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 46回目となりました。
 昨夜、途中まで書いたものの技術的な問題で更新がうまくいかず、断念してしまいました。無料のツールで作った半自作のブログシステムなので、あまり細かい表現ができないのです......。ということで2日ぶりとなりました。

 この10年間、夏の時期にどこへ行って何をしていたか、ということを縷々書いてはみたのですが、「こりゃ、何の役にも立たない......」と7割くらい書いたところでようやく気付いて削除し、今に至っています。

 そろそろ心身ともに夏バテしたようで、ついに書くあてがなくなってしまったようです。
 ということで、今夜は鉄道とは何ら関係のない話です。

 先週末(27日金曜日)に英国ロンドンでオリンピックが開幕したということで、特にテレビでは一日中、大騒ぎしています。
 ニュース番組と野球中継とテレビ東京の旅番組にしか興味がもてない人間としては、NHKをはじめとしたテレビ局による「お祭り騒ぎ」に少々うんざりしているのですが、それでも日本の選手が出ていると、普段は接することが皆無のスポーツであってもついテレビを眺めて応援してしまっています。

 なかでも、見ていて面白く、分かりやすいのが柔道です。
 1試合が5分以内で終わるというリズムの良さもありますし、一応私も日本国民として高校生のころには強制的に柔道着を着させられたこともあって、ルールもそれなりに分かるという理由があるのかもしれません。

 柔道は言わずと知れた日本発祥の競技です。その歴史を調べてみますと、柔道自体は江戸期からあったようですが、正式な発祥年とされているのが1882(明治15)年(嘉納治五郎が講道館を創設した年)。今年でちょうど130年が経っています。
 1962(昭和39)年の東京オリンピックで初めて正式競技となったことを考えると、「国際化」してからも約50年が経ったことになります。

 そんな日本で長年培われた国技も、「輸出」から半世紀を経て、最近は日本が金メダルを取ることが難しくなっているようです。それだけ、世界の国々(特にロシアや仏独)に浸透して独自に強化が図られているといえます。
 日本の柔道界の状況は、鉄道発祥の国なのに低空飛行をを続ける英国鉄道のごとくです。

 今年(2012年)から日本の中学生に柔道を必修化したそうですが、受け身とか技とか体で覚えさせる前に、世界に誇る日本発祥の競技として、まずは知識としてもちゃんと教える必要があるのではないか、ということを強く思います。
 日本が世界に誇れるのは、自動車やゲームやアニメやデジカメやスシだけじゃないんだぞ!と。
 どうも体育の授業はまず実践から入ろうとしますが、頭で覚える基本が少なすぎるのです。

 日本から生まれたスポーツ(日本では「武」の「道」ですが)なのですから、日本人自身がその歴史や背景を知らないでどうするんだ!、と、高校時代にその重要性がわからずに柔道が嫌いになっていた者からの提案でした。

※写真は2007年8月の茨城交通湊線(現ひたちなか海浜鉄道)の風景です。5年前にはまだこんなディーゼルカーが現役で走っていました。いい風景です。
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 45回目となりました。
 昨日(正確には一昨日)の26日(木)15時に時事通信が配信したニュースによると、JR西日本の真鍋精志社長は「26日までに」同通信社のインタビューに応じ、「需要が大幅に減少している路線について『将来的に、鉄道の代わりにバス運行するのも選択肢』と述べた」ということです。

 これ以外にも同社長は、日本経済新聞や産経新聞、神戸新聞、北陸新聞などの個別(単独)インタビューに応じているとみられますが、「鉄道の代わりにバス運行するのも選択肢」という発言は時事通信社にしか行っていないようです。

 たとえば、日経には「山陽・九州新幹線の直通列車の増発を検討する考え」を示しており、産経には「鉄道会社間でパイの奪い合いをしている場合ではない。長期的な視野で互いのネットワークを上手に使うのが重要」と述べて私鉄との連携に意欲的な姿勢を見せたといい、北陸新聞には北陸新幹線について「次善はフリーゲージ」などと述べたとされています。
 これは、ネット上で発信されている情報に限って調べたものなので、もしかしたら他の新聞にも個別インタビューに答えているのかもしれません(多分、横並びに応じているはずです)。

 「鉄道代替バス」については、時事以外が報じていない点が気にかかりますし、26日「までに」(この「までに」というのがクセ者。一体いつしたんだ?)インタビューしたにもかかわらず、今日(27日)の第1四半期決算の発表に合わせるかのようにぽっと出てきた点など、発言の背景や同社の広報戦略(「縛り」とか言って、○日まで公表しないことを約束する見返りに単独インタビューさせてもらう。当然媒体によっても発言内容を変える)上の狙いを探る必要もあります(時事以外の他媒体も同様)。

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 もしかしたら時事の優秀な質問者がこの答えを引き出したのかもしれませんし、たまたま社長が思いつきで言ったのかもしれないにせよ、記事の内容が「ねつ造」ではないことを信じれば、トップも含めこうした考えがJR西日本にあるのは事実なようです。
 万が一「ねつ造」なら反論コメントを出すはずなのに出していないところを見ると、発言をそのまま受け取ってもよい、と判断できます。

※ここまでくどくど述べたのは、JR西日本という上場企業なりの情報公開戦略があるということと、それに報道各社がそのまま乗っかっている可能性があるという点を知っておかなければならないと思ったからです。要は、先日書いた「メディアリテラシー」でいう「100%信用したらダメですよ、背景を読み解きましょう」という意図です。

 メディアリテラシーの問題はともかく、今日ここで書きたかったのは、やはりJR西日本の社長が赤字ローカル線のバス転換を否定しなかったという発言にあります。

 昔、国鉄時代にはローカル線の廃止を「廃止」と言わずに「バス転換」と称していましたが、バス化するということは、鉄道を廃止するということです。バス転換などともっともらしいことを言ってはいても、それが意味するところは「鉄道廃止」なのです。

 具体的な線区を挙げていないので、どこを指して言っているのかは分かりませんが、時事通信のインタビュー記事によれば、「例えば山越えの路線で、設備の老朽化に対してコストをかけるより、鉄道をなくして(需要のある)エリアごとにバス運行する方が利便性が高まるのではないか」と語ったとされています。

 たとえば、木次(きすき)線の備後落合(広島県)~出雲横田(島根県)間や、芸備線の備後落合(広島県)~東城間(岡山に近い広島県の県境駅)のように、1日3往復という究極まで列車本数を減らして維持している中国山地の県境越え区間などをイメージすると分かりやすいかもしれません。
 誰も乗らないんだから、もう、鉄道をやめさせてくれよ、という叫びともとれます。数日前に書きましたが、山陰本線でさえ特急列車が2両で走っていてもガラガラですから、ローカル線の乗客数は悲惨な状態になっているのだろうと推察されます。

 ただ、4~6月(第1四半期)の売上高が前年より上がっていて、163億円の利益を計上しているにも関わらず、こういう観測気球的な発言(方針?)をぶちあげ、地方都市の反応を見る(だからこそ「時事」にしたんだろうと思います。共同通信だったら、即地方紙の記事になって騒ぎになる)という手法に、実に嫌なやり方だな、と感じました。

 なぜ地方の街を不安にさせるような発言が定期的(2010年にも似た趣旨の発言をしている)にトップの口から出てくるのでしょうか。
 それだけ経営が苦しいのか、それともJR西日本お得意の公的支援を引き出す戦略なのか、何にしても愉快ではないニュースでした。

※写真上はJR西日本の某ローカル線、小さなレールバスが1両で走っています。下は時事通信社が7月26日(木)15:01に配信した記事(http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2012072600560より)。クリックすると拡大します。
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 今夜で44回目です。
 つい数日前、東急東横線(みなとみらい線)と東京メトロ副都心線、西武池袋線・東武東上線が来年3月16日(土)に相互乗り入れを開始すると発表しました。

 「元町・中華街~横浜~渋谷~新宿三丁目~池袋~西武池袋線または東武東上線」という全長80~90kmの区間に直通列車を走らせる計画で、現在の東急・渋谷駅を地下化し、東京メトロ副都心線と直結します。これにより、横浜・東京・埼玉の鉄道ネットワークが新たにできることになります。

 東急東横線(目黒線もありますが)沿線の住人からすると、目の前の線路にいきなり西武や東武東上線の電車がやってきて、「所沢行」「飯能行」とか「川越行」「森林公園行」とか、普段は目にしないような地名が表示されているわけですから、ある意味で革命的な出来事かもしれません。

 余談ですが、東急東横線と一部並走(田園調布~日吉)している東急目黒線が近い将来(2019年ごろ?)に相模鉄道と相互直通運転をする計画があります。
 もし、そうなると田園調布から日吉の各駅は、東急東横線、みなとみらい線、メトロ副都心線、西武池袋線、東武東上線、東急目黒線、メトロ南北線、埼玉高速鉄道、都営三田線、相模鉄道と10路線の電車が入り乱れることになります。もはや、行先も車両も無茶苦茶で何が何だか分からなくなりそうです(それはそれで楽しそうですが)。

 話を東横線に戻しますと、3月16日以降は、今までのターミナル駅の渋谷の役割が大幅に縮小され、昼間は1時間に14本が副都心線(西武・東武東上)方面行きとなり、4本のみが渋谷発着列車となるそうです。また、菊名発着の列車が1時間に2本設定される一方、これまで乗り入れていたメトロ日比谷線の電車はすべて中目黒発着に変更される予定です。

 ちなみに、横浜駅から新宿三丁目駅までは最短32分、池袋駅が同38分、所沢駅までだと同70分、川越駅へは同78分で結ぶといいます。
 文化圏がまったく異なる西武や東武東上と東急東横線を行き来する客がいるとは思えませんが、現在行き止まりの渋谷駅を通過して、違うターミナルへ抜けられるというのは、非常に便利な気がします。
 マニア的にはターミナル(終端)となった渋谷駅は非常に見栄えはいいのですが、朝のラッシュ時などは人が線路に落ちそうなくらい溢れていて、限界に近づいているようでもありました。

 ただ、みなとみらい線開業時に横浜駅が地下になった時もそうでしたが、渋谷駅の地下化により、JRとの乗り換えが著しく遠くなりそうなのが残念です(かなり深い場所にあります)。
 そして、渋谷ターミナル駅もあと半年超の命かと思うと、今になって少しばかり寂しい気もしてきました。

※写真は上から東京メトロ(副都心線)、東急、みなとみらい線、東武東上、西武の乗り入れ予定車両(5社のサイトから転載しました)
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 43回目となりました。
 昨日、埼玉県のあるロードサイドを歩いていましたら、電車の先頭部分(流鉄の電車と思われる)だけを切り取って飾っている建物が突如現れました。

 4車線の広い道路に車がビュンビュン走る車社会の象徴のような街だったので、突然鉄道の残像が現れたことに驚きながらさらに歩くと、今度は茶色の古いディーゼルカーが1両丸ごと登場!

 これはすごい......と思って周りをうかがうと、どうも病院のようです。しかもディーゼルカーの横にはプラットフォームらしきものがあり、ドアも開いていて車内が見学できるようにしてあります。
 恐る恐る病院内に入り、受付の方に頼んでディーゼルカーの車内を見学させてもらいました。

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 このディーゼルカーは、茨城県の「ひたちなか海浜鉄道」(旧茨木交通湊線)から譲り受けた「キハ223」という車両で、国鉄ではキハ22と呼ばれていた気動車と同じタイプ。2009年7月に廃車となったものを譲り受けたようです。

 このキハ223型はもともと北海道の羽幌(はぼろ)にある炭鉱鉄道で使われていたもので、製造は1966(昭和41)年。半世紀近く前に作られた古いディーゼルカーです。

 ひたちなか海浜鉄道で使われていた当時のままで保存され、今にも動き出しそうな雰囲気さえあります。しかも、外装は羽幌炭礦鉄道時代のカラーに戻され、羽幌炭礦のマークまで復元。眺めていると、名前しか知らなかった未知の鉄道が、頭の中でよみがえったようでした。

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 非常に貴重とはいえ、この病院、いったいなんでこんなマニアック?な車両をわざわざ保存しているのだろうか......。
 
 直接お話を聞きたかったのですが、病院内はかなり大きく、混雑していて断念。帰宅後にいろいろ調べてみますと、ここは2010年にオープンしたばかりの「ほしあい眼科」という専門医院で、院長の星合繁さんはかなりの鉄道好きらしく、他にも貴重な車両を所有されているようです。
 しかし、ただのマニアと違うのは、病院という人が集まる場所で誰もが見られるように公開し、しかも「医院のすぐ隣にある電車がトレードマークです」などと保存車両を宣伝用としても活用している点です。これらの車両は、目の前の大きな道路を走っている車からも一目瞭然で目立ちますし、同医院のロゴマークにも鉄道のイラストが使われ、鉄道=同医院というイメージ戦略にも役立っている様子です。

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 貴重な車両の素晴らしい保存のあり方だな、と感心するとともに、もし自分が眼科にかかるような時があれば、こんな病院に行ってみたいな、と思ったのでした(ただ、我が家から1時間半くらいかかるのが大変ですが......)。

 ちなみに場所は埼玉高速鉄道の終点、浦和美園駅から歩いて10~15分くらいの地です。
 東川口駅や春日部駅から独自のシャトルバスも運転しているようですので、お近くの方はぜひ!

 初めての通りがかりの街で面白く貴重なものを見つけ、炎天下の歩行が少しだけは楽しくなった気がしました。
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 今夜で42回目です。
 今日(正確には昨日)は米国大リーグのイチロー選手が電撃移籍をするというニュースでテレビ番組では大騒ぎしていましたが、一方で日本のアマチュア野球界にとっては都市対抗野球の決勝戦が行われる重要な日でもありました。

 今回の都市対抗、JR東日本が昨年に続き決勝へ進出し、JX-ENEOSと戦うことになりました。

 JX-ENEOSは「ENEOS(エネオス)」のガソリンスタンドを経営している会社なので、つい「鉄道vs自動車の戦いだ!」なんて構図を勝手に思い描いたりもしましたが、JR東日本は前回優勝の強者であり、ENEOSは優勝回数が10回を数え、大リーガーの田澤純一投手をはじめ多数の著名プロ選手を輩出するほどの名門チームですから、いわば順当な決勝だったともいえます。

 試合はJR東日本が逆転負けを喫して50年ぶりという連覇は成らなかったのですが、東京ドームには4万人の観客が詰めかけ、JR東日本の応援団が駅員(運転士?)の格好でパフォーマンスをするなど盛り上がっていて、テレビで観戦していてもなかなか楽しめました。

 今回の大会には、JR東日本だけでなく、JR北海道やJR東海、JR九州も出ていました。
 九州が2回戦まで残った以外は1回戦負けを喫してしまったのですが、JR北海道には、過去に中日や近鉄、巨人、韓国プロ野球で活躍した門倉健投手が「補強選手」という扱いで出ており、スポーツ新聞などでは大きく報じられて話題になっていました。

※「補強選手」とは地区大会で負けたチームのなかから優秀な選手を大会中だけ「借りる」ことができる制度で、門倉投手は今、北海道の伊達紋別にある病院が主体となったクラブチームに所属しているそうです

 都市対抗野球を見ていて興味が湧いて調べてみたのですが、JRは貨物を除く全社が硬式野球チームを持っているということを初めて知りました(今さらですみません)。

JR北海道:都市対抗出場10回、ベスト4が1回(07年)、東北楽天の武藤好貴投手らを輩出。本拠地は札幌市。
JR東日本東北:出場23回、ベスト4が1回(11年)、ソフトバンクの攝津正投手らを輩出。仙台が本拠地。
JR東日本:出場15回、優勝1回(11年)、横浜の小林太志投手、阪神の赤星憲広元選手らを輩出。千葉県柏市が本拠地。
JR東海:出場24回、準優勝2回(1929年と30年)、オリックスの光原逸裕投手らを輩出するが、最近では2009年以来ドラフト指名なし。名古屋市が本拠地。
JR西日本:都市対抗への出場なし。福知山線の脱線事故を受けて2005年から活動を休止していたが、来年再開の予定。過去に広島の中東直己捕手らを輩出。広島鉄道管理局が前身のため本拠地は広島にある。
JR四国:出場8回、ベスト4が1回(74年)、ロッテの中郷大樹投手らを輩出。高松市が本拠地。
JR九州:出場15回、優勝1回(36年)、09年に日本選手権大会で優勝。オリックスの小松聖投手らを輩出したほか、国鉄時代には元阪急の福良淳一選手や現ロッテ監督の西村徳文元選手も輩出。本拠地は北九州市。

 いずれも国鉄時代に「鉄道管理局」がチームを持っていた時代の名残なのですが、未だに全社が硬式野球チームを抱え、しかもそれなりに知られたプロ選手を最近でも輩出しているのはすごいなと感じます。

 上記7チーム(JR東日本のみ2チーム)のなかで、私が勝手に推察した実力差を順に並べてみますと、

 1.JR東日本(2011年優勝、12年準優勝)
 2.JR九州(2005年ベスト4、10年準優勝、11年は1回戦でJR東海に敗退)
 3.JR東日本東北(2011年ベスト4、準決勝でJR東日本に敗退)
 4.JR東海(2011年ベスト8、準々決勝でJR東日本東北に敗退)
  5.JR北海道(2007年ベスト4)
 6.JR四国(1回戦敗退と予選決勝で四国銀行に敗れての不出場が目立つ)
 7.JR西日本(来年再開予定)

 といった感じでしょうか。
 JR東日本(本体)がトップであることは間違いないのですが、2~6番目はいずれも都市対抗の常連ですから、それほど大きな力の差はないような気がします。

 ちなみに、JR東日本には管内の盛岡、秋田、新潟、水戸、千葉の各支社にもJRを冠した硬式野球チームがあります。こちらは社員の「クラブ活動」ながらも、それぞれの地区大会に出場し、都市対抗への出場を目指しています。JRのなかでは東日本が文句なしの「野球王国」といえる存在です。

 一方、JR東海は企業規模や歴史の割には、今はなかなか上位を狙えていないようですが、野球熱が高い中京地区のチームですから、選手補強次第では相応の実力が出せそうな気がします。

 JR西日本は長期休部を経ての来年が新たなスタートになりそうですから、新チームでは都市対抗に出られるくらいまで頑張ってほしいと願っています。

 3島会社のなかではJR九州の活躍が素晴らしく、大会で上位を狙える存在です。JRでは2番目くらいの実力があるのではないか、と私は想像しています。
 JR北海道と四国は地区大会で強豪に苦しめられながらも、なかなか頑張っています。

 ということで、実はJRグループが社会人野球に熱心なのだということを知り、今後はプロや高校野球だけでなく、社会人も注目せねば!と思った一日でした。

※写真はCSのスポーツチャンネル「GAORA(ガオラ)」(毎日放送系)による都市対抗決勝戦の放送画面より。JR東日本の濃い緑を使ったユニフォームが「南海ホークス」に似ていたためか、どこか好感を持ちながらテレビを眺めていました。
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 41回目となりました。
 今までに乗った列車や電車のなかで一番好きな車両は何だろう、と最近ふと考えたことがありました。

 私鉄だと、先日こちらでも書きましたが京阪特急の3000系という車両です。これは沿線に住む者として宿命?みたいなもので、幼いころから憧れの存在でした。

 京阪特急は自分のなかでもすぐ出てきたのですが、国鉄やJRとなると、思い出が多すぎてなかなか絞りきれません。
 国鉄末期がちょうど幼少・青年期にあたっていたので、国鉄時代の車両以外には候補にあがってこなかったのですが、それでも10くらいの候補があって1つを選ぶのが困難でした。

 そんななかから、1つだけ選んでみました。
 それが、50系という国鉄末期の赤い客車です。

 戦後長い間、日本全国の普通列車(「鈍行列車」と呼ばれていた列車)は、ドアを開いたままで走る茶色や青色の「旧型客車」と呼ばれる古い客車が主体だったのですが、出入口のドアを開けたままで走るのは危険だし、老朽化もひどかったので、新しく作られたのがこの50系客車です。

 1977(昭和52)年から製造され始め、一気に全国津々浦々の路線に導入されたものの、20年も経たない1996(平成8)年には全廃されてしまうという悲運の車両でした。安く作ってすぐに車両を置き換える方針のJR東日本でさえ真似できないくらいの短命ぶりです。
 一部の車両は色んな改造が施されて残ってはいますが、本来の普通列車用としては1996年を最後に全国からあっという間に消されてしまいました。

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 なんでこの車両が好きなのか考えてみると、これが私の鉄道旅行の原点といえる存在だったからです。
 「青春18きっぷ」を使って旅をするようになった1980年中盤から後半は、ちょうど赤い50系客車の全盛期。全国どこへ行ってもこの客車を使った普通列車ばかりでした。
 西の山陰本線や四国各線、九州のローカル線、東北では東北本線をはじめ、奥羽、羽越といった長距離移動に欠かせない路線に、赤い列車がひしめいていたのです。

 青い直角のボックスシートと、国鉄マークが付いた扇風機だけがグルグル回る車内は空いていて、前の座席に足を投げ出し、窓を全開にして風を浴びながら、ひたすら北や西を目指して乗り続ける......。列車が動き出すとガクンと揺れ、走り出すと線路を打つタタンタタンという心地よいリズムを刻みながらも、すぐに停まって、また、ガクンと揺れて動き始める。それが何時間も続く。
 お金はなかったけど、時間だけは嫌というほど余っていた頃の思い出が詰まった客車です。

 そんな赤い客車の普通列車も1990年代になると、機関車の付け替えが非効率であり、冷房設備さえさえもないという理由で、電車やディーゼルカーに次々と置き換えられました。東北に至っては、赤い大好きな客車から、何の面白さもない都会のようなロングシート車が導入されるという悪夢のような現状が今も続いています。

 もう日本のどこにもないのだろうな、と思っていたら、どうやら栃木県の第三セクター・真岡鉄道に色を塗り替えられてはいるものの、ほぼ原形をとどめた形でSL用客車として残っていたようです。
 イベントSL列車にはあまり興味が湧かないのですが、50系客車に乗れるのなら悪くはなさそうです。少しだけあのころの旅を思い出せるのか、それとも悲しくなるのか、いずれにせよ行ってみたいと企んでいます。

※赤い50系客車とDD51などのディーゼル機関車の組み合わせが一番好きでした。こんな列車で旅ができるのなら「18きっぷ」に10万円くらい払ってもいい、などと今思ってしまいます。
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 40日目まで連続更新できました!......と言いたかったのに、昨日、ついに力尽きてしまいました。

 気温の急激な変動に耐えきれなかったのか、無茶な生活がたたったのか、一週間前くらいからずっと風邪をひいたままでした。
 何とか誤魔化しながら仕事と週末の大阪出張までは乗り切ったのですが、昨夜大阪から自宅へ帰ったとたん、安心してしまったのか、そのまま眠ってしまい、気が付いたら朝でした......。

 ということで、今後は「40回目」といった表記に変えて(往生際が悪いですが)もう少し更新していこうと思いますので引き続きよろしくお願いいたします。

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 さて、お礼を申し上げるのが遅れてしまったのですが、先週、インターネットで交通関係の専門古書店を開いている「交通文化社」(友人が運営しています)が京都で初の即売イベントを開きまして、そちらでは拙著も販売させていただきました。

 下手な署名(サインともいう......)が入っていて恐縮なのですが、お買い上げいただきました方に、心から御礼もうしあげます。ありがとうございました。

 それでは明日「41回目」からも頑張って役に立つ情報を書いていきます!

※写真上は東京→大阪間の東海道新幹線移動「無抵抗敗戦」の図。仕事での出張ゆえ時間がなく、何の工夫もなく普通運賃(8510円)+新幹線自由席特急料金(4730円)の切符を買ってしまいました。「のぞみ」指定席ではなく「自由席」で810円を浮かせているのが微かな抵抗なのかもしれませんが......。

※写真下は先週7/14(土)~15(日)に京都で行われた交通文化社による即売イベントで拙著を売っていただいている様子。お買い上げいただきありがとうございました!
p120720.jpg 39日目まできました。
 今、東海道新幹線の「のぞみ」に乗っております。東京から新大阪まで約500キロ、2時間半の旅です。

 今日は直前まで都内で仕事があり、何も考えずに券売機で乗車券と特急券を買い、東京駅のホームに停まっていた「のぞみ」の自由席に乗り込んでしまいました。ゆえに今乗ってる列車が何号でどこ行きかも分かっていません。

 これまで、このWeblogやサイトも含めて東海道新幹線であっても格安で行ける方法はないか、みたいなことばかり調べて書いてきましたが、実は何も考えずに乗ってしまえることが一番楽で贅沢だということを痛感している次第です(自由席は3両しかありませんが、東京駅など始発からならだいたい座れます)。

 しかしながら、小さなスマートフォンでPCしか対応していないブログを更新するのは難しいということも同時に痛感しました。。これだけ書くうちにもう豊橋通過です。

 そのような次第で今日のところはこの辺で。
 最近、東海道新幹線はトンネル内でも電波が入るのは飛行機にはない魅力だよなあとか考えつつ、更新ボタンを押します!

※冒頭の地図は「Wikipedia」より転載させていただきました
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 38日目となりました。
 このブログ(Weblog)にはタグクラウドと言って、内容に関係するキーワードを付けています。そのなかでもっとも多いキーワードが右側にあり「JR東日本」とか「フェリー」とか「北海道&東日本パス」といったものが並んでいます。今日まで135回書いてきたなかで、JR東海や西日本はもちろん、JR九州や北海道もあるのに、なぜかJR四国に関連することが1つもないことに気づきました。

 JR四国は香川、徳島、愛媛、高知の四国4県をエリアとしているのですが、JRのなかでは最も規模が小さい会社です。

 年間売上で言うと、鉄道だけでなく駅のパン屋とか関連事業を含めても、JR大阪三越伊勢丹に満たないくらいしかありません。日々頑張って列車を動かしていても、たかがちょっと高級なデパート1店舗分にも満たない程度しかお金が入ってこないのです。
 1年の売上が480億円弱という数字は、鉄道会社では、山梨県の富士急より少し多く、山陽電鉄より少ないレベル。愛媛のローカル企業である伊予電鉄にさえ遠く及ばないくらいの規模というのが驚きです。

 JR四国について何か書かねば!と思ってここまで調べてみたのですが、なぜか何も思いつきません。
 他の会社なら皮肉にせよ、情報にせよ何らかのことが思い浮かぶのですが、JR四国は本当に何も出てこない......。それだけ、自分のなかでは注目していなかったのかもしれません。

 ちょっと反省しまして、これからは何らかの形でJR四国のことを気にして応援していこう!そんな宣言したところで、今夜はこれくらいにします。

※写真は夜行快速「ムーンライト高知」(京都~高知)のグリーン車内です。いつの間にか廃止されてしまい、それも四国から遠ざかった遠因かもしれません......。
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 37日目になりました。今夜は鉄道となんら関係のない話です。

 最近、メディアリテラシーという言葉をよく思い浮かべます。
 もう25年くらい前、私が学生時代に初めて聞いた言葉なのですが、一言でいうと「テレビや新聞などの情報を自分で読み解く力」とかいう意味だったと思います。
 そんな言葉があるのか、などと阿呆な大学生だった私は「へえー」というくらいにしか思わなかったのですが、今ではずいぶんメジャーな用語になっています。

 たとえば、検索をかけてみますと、総務省のホームページに「放送分野におけるメディアリテラシー」と題したページが設けられていていることがわかりました。
 
 ここには、「普段、なにげなく見ているドラマやニュース。テレビに映っているのは、すべてが『真実』?それとも『つくりもの』?」などと書いてあり、そのうち「テレビの見方を学ぼう」というコンテンツに誘導される構成です。

 また、保護者や教員向けには、「メディアリテラシー」という言葉の意味の説明もあり、次のように説明されています。
 
 1.メディアを主体的に読み解く能力。
 2.メディアにアクセスし、活用する能力。
 3.メディアを通じコミュニケーションする能力。特に、情報の読み手との相互作用的(インタラクティブ)コミュニケーション能力。

 分かるような、分からないような定義ですが、私なりに解釈すると「メディアにダマされず、上手く活用されたし」ということなんだろうと思います。

 NHKをはじめとしたテレビ行政をつかさどる総務省が、「メディアにダマされるな、自己責任で判断せよ」とでも言いたげなコンテンツをなぜ作るのかは分かりませんが、それだけ情報の真贋を見ぬく力が重要になっているということかもしれません。

 やらせめいたバラエティが横行するテレビ番組を見抜けないほど、物心ついた時からインターネットに触れている今の子供や学生世代が阿呆だとは全然感じませんので、それだけテレビ番組の「嘘」が明らかになって所轄官庁さえ焦っている、ともみえます。

 国家が配下に置くテレビについては、このように若干言い訳めいた政策もありますし、あまりにもひどい場合は最後は国が強制措置なりを取るんだろうと思いますが、私が一番懸念しているのが、テレビや新聞など旧来メディアとは違い、誰でも発信できてしまうこのインターネットという「メディア」を読み解くことです。
 ネット上ではさまざまな情報が発信されていますが、その真贋を見抜くのがおそろしく難しい。テレビの比ではないほどです。

 たとえば今、滋賀県大津市の中学生がいじめを苦に昨年10月に自殺し、通っていた中学校や教育委員会ぐるみで隠ぺいを図った、という事件が連日報道されています。

 私は「メディアリテラシー」が乏しいためか、ついYahoo!JAPANのトップページに表示された15字程度の煽るような見出しに誘導されてしまい、記事を読んでしまいます。
 その結果、大新聞や通信社、時にはネットメディアの報道をうのみにし、隠ぺいを図った当局や凄惨ないじめを繰り返した犯人は誰だ!と怒りが湧いてきて、世界一のグーグルに「大津 いじめ 中学校」などと打ち込むと、1秒もしないうちに皇子山(おうじやま)中学校という名前が出てきます。

 これは本当なのか?と、次は「皇子山中学校」と打ち込み「検索」ボタンを押すと、一部の新聞社やそれなりに信用できるだろう情報サイトも含め大量に出て来て、これは当りだな、と判断します。
 こんな調子で検索していくと、5分もしないうちに、当時の担任だったとされる教諭の名や、加害者とみられる少年の名とその家族などといった真偽不明の情報や写真まで出てきます。
 20歳未満の少年が関わる事であり、刑事事件にさえもなっていない状態です。しかるべき新聞社やテレビが報道していないはずの情報が、ネット上にはなぜか公開されているのです。

 名の知れた新聞社による一次的な情報はとりあえず信用するとしても、その先の未確認めいた情報まで、個人でどう判断すべきなのか......。
 こんなこと、そもそも深掘りして調べなければいいじゃないか、とも思いますが、隠されると知りたくなる、そんな「見出し大好き」人間ゆえ仕方がないのです。
 それらしい情報を手に入れるのは容易なのでやってしまったものの、いざそのなかに放り込まれたとき、情報の真贋を確かめるような能力が自分にあるのか。一体、どうやって見抜けばいいのか。
 10年以上インターネットに携わり、今も仕事で関わっていたとしてもこんな体たらくです(半端な知識のみを得てきたせいです)。

 たとえば、ネット上には、誰もが執筆や編集に参加できる無料辞典「Wikipedia(ウィキペディア)」というものがあります。
 これは大半は本当の事が書かれているのですが、誰もが参加できることで、1割にも満たない確率で悪意ある改ざんや虚偽の内容が書かれていることもあります。
 いかにも、といった感じで記載されていますので、これを見抜くのは、相当な眼力と知識が必要です。本来、Wikipediaを使うには、この能力さえも求められているのです。一体、どれくらいの人がそこまで高度な力を持っているというのか。それでもネットの世界では本当か嘘かを見抜くのは自己責任、と放置されています。何の教育も受けないままに。

 誰もが真贋を判断するのが難しいような情報が膨大にあふれているインターネット。
 テレビや新聞といった古くも一定の信頼を得ていて、誰もがそれに慣れている世界ではなく、このネットという新興の未知なる世界こそ、啓発して教育すべきではないでしょうか。

 私が仕事で関わっている限り、そんなこと言っている人は誰もいませんし、儲かるビジネスモデルだとか、少しだけ便利になるようなテクノロジとか製品だとかにしか関心を示さない人々に支配されている世界なので、余計に心配になって、長々と書いてしまいました。

 そんなに心配なら、お前が具体的に何かやれ、という話(そういう世界です)なんですが......。

※写真は総務省ホームページ内のコンテンツ「放送分野におけるメディアリテラシー」から
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 連続更新36日目となりました。
 先週の3連休中は九州の福岡北部や大分、熊本などがゲリラ豪雨にみまわれ、30人近くが命を落とすなど大変な被害を及ぼしました。

 東では地震、西では豪雨とこのところ日本各地で大きな災害が続いています。
 それにともない、鉄道も甚大な被害を受けています。これまでの地震と災害で不通となっている区間を計算してみますと、なんと500kmにもおよんでおり、距離で言うと東京から京都までの鉄路が復旧できずにいるのです。

 今回の九州での災害も含め、不通となっている路線と区間を下記に挙げてみます。

【7月豪雨】(計142km)
・久大本線:筑後吉井(福岡県)~日田(大分県)(21km)
・日田彦山線:添田(福岡県)~夜明(大分県) (29km)
・豊肥本線:肥後大津(熊本県)~緒方(大分県)(78km)
・平成筑豊鉄道田川線:崎山(福岡県)~田川伊田(福岡県)(14km)

【東日本大震災】(計300km)
・大船渡線:気仙沼~盛(44km)
・山田線:釜石~宮古(55km)
・石巻線:渡波~女川(9km)
・気仙沼線:柳津~気仙沼(55km)
・仙石線:高城町~陸前小野(12km)
・常磐線:広野~原ノ町(49km)および相馬~亘理(28km)
・三陸鉄道北リアス線:小本~田野畑(11km)
・三陸鉄道南リアス線:盛~釜石[全線](37km)

【その他の災害】(計56km)
・只見線:会津川口~大白川(48km)
・大井川鉄道井川線:千頭~奥泉(8km)

【事故】(計3km)
・三岐鉄道:東藤原~西藤原(3km)

【災害発生後、復旧をあきらめ事実上廃止】(計56km)
・岩泉線:茂市~岩泉[全線](38km)
・名松線:家城~伊勢奥津(18km)

 九州の不通区間142kmは、まだ復旧作業が始まったばかりなので今後どうなるかは分かりませんが、JR九州の発表(PDFファイル)によりますと、路盤の流出などが76件もあるそうなので、全面復旧までにはまだ時間がかかりそうです。

 東日本大震災の300kmは深刻です。震災から1年4カ月を経てもこれだけの区間が、地震後のままなのです。地域の復興計画が決まらなかったり、原発災害が未だ続いているといった事情もありますが、本当に復旧できるのか、不安にもなってきます。

 経営状態が良好なJRとは違い、被害を受けた三陸鉄道や平成筑豊鉄、大井川鉄道などの中小鉄道は経営に与える影響も心配になります。

 被害を受けた線区はほとんどがローカル線です。経営的には儲からない路線だというのは分かりますが、岩泉線や名松線のように、災害を契機に事実上廃止ということがないように、どうか祈りたいものです。

※写真はJR東日本のサイトより。クリックすると拡大します。
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 今日で35日目です。
 この三連休は、大雨の災害と酷暑という不安定な天気が続きました。

 私個人的には金曜日から夏風邪をひいてしまい、加えて持ち帰り仕事もたまっていて、連休中の天候のように散々な日々を過ごしていました。そして、知らないうちに連休最終日を迎えています。

 あまりにも不甲斐ない連休を過ごしたので、次こそはどこかへ行きたい!どうせ行くなら何も考えずのんびり船で旅がしたい......などと熱と仕事にうなされながらも、JTBの大判時刻表で長距離フェリー便を探し続けてみました。

 そして、見つけたのが次の航路です。

オーシャン東九フェリー(東京~徳島~新門司=ほぼ毎日運航)
 東京・有明埠頭から徳島まで所要17時間50分(1泊)、2等:10,200円
 東京・有明埠頭から新門司まで所要34時間10分(2泊)、2等:15,370円

マルエーフェリー(東京~志布志~奄美大島~沖縄=週1~2回運航)
 東京・有明埠頭から志布志まで約27時間超(1泊)、2等:20,000円
 東京・有明埠頭から奄美大島まで約40時間(2泊)、2等:21,000円
 東京・有明埠頭から沖縄まで約47時間(3泊)、2等25,000円

 伊豆大島や八丈島、小笠原といった離島航路を除くと、東京発着は上記2航路しかないのですが、この2つがなかなか魅力的なのです。
 わずか1万円少々払うだけで18時間も船に乗っていられる!しかも東海道新幹線の世話になることなく、四国や九州、はたまた奄美大島や沖縄までも行けるのです。

 しかも徳島港といえば、南海フェリーを経由して大阪・なんばなど、南海沿線のすべての駅まで片道2000円で行ける「好きっぷ2000」なる割引切符もあります。ということは、1万2000円超で大阪までの船旅もできてしまうわけです。

 早速、乗り継ぎプランを考えてみますと、

東京有明19:30発[オーシャン東九フェリー]→徳島(津田)港13:20着(土曜日は14:20着)→[移動]→徳島(沖洲)港16:30発[南海フェリー7便]→和歌山港18:40着(乗換は目の前)和歌山港駅18:53発[特急サザン]→なんば19:57着

 おお、東京→徳島→大阪の24時間・1万2000円クルージングプランが出来上がった!

 などと、あまり現実離れしたことを言っていてもどうかと思いますので真面目に考えますと、たとえば東京から徳島までは、2人部屋の特等個室でも1人2万7830円ですから、やたらと高価なクルーズ船などに乗るよりも、相当安価にて18時間の「クルージング」が楽しめるわけです。
 沖縄便にいたっては「クルーズフェリー飛龍21」という名で、全室ベッドタイプの雑魚寝部屋がない豪華な船を使っています。1人4万8500円で2人部屋の一等個室が使え、47時間も「クルージング」できるのですから、相当にお得ではないでしょうか。

 近いうちにどちらか必ず乗ってやる!(おそらく2等船室ですが)、そんな決意を胸にまた一週間頑張ってまいります。

※余談ですが、東京から山陽・九州方面にはこんな貨物用定期航路があるようです(こちら[PDF])。これに乗れたらさぞ面白いのに、とも夢想してしまいました。
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 34日目になりました。
 都心が暑いせいか、昨日に続き北海道の話題です。
 JR北海道では今年、7月から9月末まで大規模な観光キャンペーンをやっており、多数の臨時列車が運転される予定になっています。

 目玉として、道内を1周するイベント列車「北海道一周号」(既に終了)や夜行列車「まりも」の復活(上下わずか1日間だけ、どうせなら期間中の週末は運転してほしい)など、マニア向けと思われる華やかな企画も組まれていますが、それよりも注目すべきは夏季の週末を中心に道内各地で運転される観光列車です。

 たとえば、根室本線の釧路~根室間や、同線の富良野~新得間など、普段は普通や快速列車しか走っていない線区にも観光列車が設定されており、特急型車両やリゾート車両を「快速列車」として運転するサービスぶりです。

 このなかで個人的にもっとも注目しているのが、函館本線の山線(ニセコ経由)で運転される臨時の特急「ヌプリ」号(函館~ニセコ~小樽~札幌)です。「ヌプリ」はアイヌ語で「山」という意味だそうで、まさに「山線特急」といえる存在です。

 今、函館と札幌を結ぶ「北斗」などの特急列車は東室蘭や苫小牧経由の海沿い経由で運転されていますが、かつては倶知安やニセコを経由する函館本線にも特急「北海」や急行「ニセコ」といった著名な列車がありました。
 この倶知安・ニセコ経由は、山々が険しいために「山線」と呼ばれています。勾配が激しく、海沿いの東室蘭・苫小牧経由と比べて時間がかかることから、かなり昔に特急も急行も廃止されてしまいました。今はローカル列車だけしか運転されていませんが、羊蹄山など沿線の車窓は非常に素晴らしいものがあります。

 1986年に「山線」経由の特急「北海」が廃止されて以後、この路線に半定期的な特急列車が走るのは、実に25年以上ぶりのことになります。(有珠山噴火の際は、迂回ルートとして使われていましたが)

 今回の「ヌプリ」号は、当時の特急列車と比べると、札幌~函館間で1~2時間ほど余計にかかっているのですが、その分、ニセコ駅などの主要駅で停車時間を確保しており、のんびり走らせているのが特徴です。上下列車とも12時台に「いかめし」を販売する森駅で10分程度の停車時間があるなど、心憎い気配りまであります(8/6~19はホームで立ち売りもするそうです)。

 函館から長万部は大沼や駒ヶ岳と間近に迫る噴火湾、長万部から小樽までは険しくも美しい山々、小樽から札幌までは日本海と、5時間超の車窓がすべて素晴らしいものがあり、かつ、疲れないようにのんびりと走ってくれます。

 車両は国鉄時代の古い気動車(キハ183系)を使いつつも(私にとっては非常に喜ばしい)、車内には動物をモチーフとした「ヌプリシート」なるものを設け、子供らにも退屈させない努力もしています。また、観光案内のスタッフも乗務するそうです。4両編成のうち1両だけですが自由席も連結します。

 運転期間も8月6日(月)から31日(金)までの26日間と1カ月近くあります。
 この夏、「ヌプリ」号に乗るだけのために北海道へ行きたい!そんな風に思える列車が久々に現れた気がします。

※画像は特急「ヌプリ」号の紹介ページより
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 33日目です。
 豪雨やら不快な蒸し暑さやら、梅雨明け前の初夏の過ごしづらさが続いています。
 そんな状況を知ってか知らずか、テレビ東京の旅番組では北海道・富良野の特集をしていました。

 この時期の北海道は、ラベンダーも咲きますし、心地よい気候ですから、もっとも旅行に適したシーズンかもしれません。
 かつて旭川に住んでいた頃、この時期に国道を走ると、土日などは「わ」「れ」ナンバー(いわゆるレンタカーです)と観光バスばかり。いよいよ夏が始まるんだな、と感じたものです。

 旭川から美瑛、富良野方面へ向かう「国道237号線」沿い(JR富良野線沿線)は、旭川市郊外の三浦綾子文学記念館をはじめ、美瑛の丘拓真館(故前田真三さんの写真館)、24時間入れる露天風呂もある吹上温泉(上富良野町)、中富良野のファーム富田のラベンダー畑など、とかく観光地が多数あります。富良野へ行けばドラマ『北の国から』など倉本聰さんのドラマのロケ地、さらに先の南富良野町へ行くと映画『鉄道員(ぽっぽや)』のロケ地・幾寅駅もあります。

 在住している頃は嫌というほど行ったのに、北海道を離れて10年。この蒸し暑い都会に慣らされたせいか、テレビを見ていて、これらの観光地に行きたくて仕方がなくなってしまいました。

 とはいえ、飛行機でぱっと行く、なんてのは絶対したくないので、結局は函館から入るとなると、時間がかかるなあ、とか時刻表を見ているだけで満足してしまうのでした。せめて北海道へ行った気になるために『北の国から』でも見ようかと思った3連休の初日です。

※写真は1997年8月、富良野市で行われた『北の国から'98 時代』のロケ風景です。もう15年も昔なんですね
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 32日目です。今日はまったく鉄道に関係のない愚痴気味の話なので、興味のない方は飛ばしてください。

 このところ、政治の話がテレビや新聞に載ることが多くなってきました。
 民主党の野田佳彦首相が消費税の増税法案を提出・採決したのをきっかけに、小沢一郎元代表らが反発し、離党して新党を立ち上げたなどという、我々の生活に関係あるような、ないような話で盛り上がっています。

 2009年に民主党が政権をとった際、選挙時の「マニフェスト」(公約)には増税をするという約束は一言も書いていなかったのに、急に増税を強行するのはおかしいのではないか、と小沢氏とその支持議員が反発して離党したものです。

 野田首相が頭脳明晰な高級官僚に説得されたのか、心変わりをしたのか、もしかすると天下の松下政経塾で学んだのかは知りませんが、ある時突然増税を言い出して強行しました。もしかしたら、西船橋駅あたりで朝の街頭演説をしていた頃に思いついたのでしょうか(原点に戻れという皮肉です)。
 理由を知る由もありませんが、消費税増税を機に民主党はいわゆる「内紛」という状態になってしまいました。

 そんな"茶番"眺めつつ、数年前、政治の現場にほんの少し仕事で携わったことを思い出しました。
 その時学んだのは、もっとも「面白い」のは与野党対決の国会ではなく、政党内の内紛ということでした。ということは、今が一番面白い状態。ゆえに、報道が過熱しているのかもしれません。

 たとえば、政治家の間では「勉強会」と称する集いがありますが、私は当初、単純に見識を深めるものと信じて疑わなかったのですが、実はこれこそが「派閥」というものなのだということが初めて分かりました。

 この勉強会なるものを取材したら、重要なのは秘書を含めどの議員が「出席」しているかということであり、その「勉強」の中身なんてどうでもいいわけです。政治の世界は実にあほらしいなと思ったものです。

 これらの政治家は、この勉強会と称した派閥集会に出席して党内での居場所を作ったうえで、次はいかに票に結び付くかを考えます。そのための利益誘導や嘘っぽい発言を吟味しながら、真意を探っていく。実に馬鹿馬鹿しい作業でした。(ちなみに議会のやりとりもほぼ「台本」が決まっている"茶番"ですから、それ以外の行動が重要になる)

 政治家は落選したら「ただの人」ですから、まずは当選するのが仕事であり、そのためには庶民受けばかりを狙うのは分かるのですが、実に嘘が多い。公約の反故なんて当たり前で、「今回落選したら引退する、これが最後」とか言いながら、落選しても未だに国会に返り咲いている人がどれだけいるか(まあ、私の聞き間違えなのかもしれませんが、一応、録音していたんですがね)。

 こんなうんざりする虚構の世界を脱出して、一人の有権者として外から眺めてみても馬鹿馬鹿しいことばかりです。
 官僚に洗脳されたのか、マニフェストを一つも実現できなかったことなど一切無視して突然増税を企てようとする政権政党と、当選だけを至上命題としてそこから離れた勢力、過去の反省をまったくしない元は政権を担っていた野党、有権者を煽ってユラユラ動くことしかできないどちつかずの新興政党。なにやら、近所の学校まで出かけて、わざわざ投票する時間が勿体ないとか思ったりします。無党派層が多くのなるのも当然です。どこも公約は嘘ばかりですから。

 公約が破られる度に、国会議員(地方議員も似たようなものですが)は全員地獄へ落ちろ!とも思うのですが、そうなると、官僚の思うつぼか、とか考えると"政治屋"であっても微かな期待を抱いてしまうんですよね。
 とある役人から、政治家なんて頭が悪いほうが使いやすくていい、とか聞いたことがありますが、誰か官僚組織に流されずに、使いこなせるくらいの「真の政治家」はいないものでしょうか。

 無駄な願いかもしれませんし、実は官僚に任せたほうがよほど良い未来になるのかもしれませんが、現状を見てるとそうとも思えない。彼らは単なる終身雇用のサラリーマン(役人)なので、選挙という「審判」を定期的に受ける政治家のほうがやはり少しだけマシだと思って、やっぱり期待してしまう。ゆえに、こんな長々と書いてしまうのかもしれません。

※写真は「国民の生活が第一」と名付けた新党の小沢一郎代表と東祥三幹事長、2006年頃の写真です。東氏(今はヒゲがトレードマークですが)はもともと公明党系の議員だったのに、小沢氏に魅せられてずっと行動を共にしています。この頃は落選中だったにもかかわらず、小沢氏が真っ先に応援に駆け付けていたのが印象的でした。(たまたま「時の人」であり、私が以前近所に住んでいて撮影したので写真として出しただけです。他意はありません)
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 31日目になりました。
 そろそろ帰省のシーズンということで、首都圏から大阪へ向かう際に安価で面白く行けないかと調べています。いつものことなのですが、調査した末にそれが非常に難しいということであることを思い知らされることになります。

 安さだけを求める団体格安高速バスやLCC(格安航空会社)ででも行けばいいでしょうが、安さだけを求めて「転向」する勇気はまだありません。「青春18きっぷ」という手もありますが、我が家の3歳の子にはまだ早い気もします。
 一筆書きの普通乗車券を仕立てるという手もありますが、これもルートが限られてきて、もっとも簡単な「東京発の北陸周り京都(山科)立ち寄り、米原から東海道新幹線経由の東京行き」なんてルートは、幾度か試したので、もうそろそろ......、という心境です。

 そして最後は諦めて、やむなく東海道新幹線で往復するような味気ないことになってしまいます。
 これが一番便利で快適なのですが、ゆえにJR東海は「新幹線はビタ1文まけんぞ!」という姿勢なので、利用者は高額な運賃と料金を払わねばなりません。
 JRのなかでも東海の市場価値(株価)が高いのは、こういうドル箱を持っている点にあるとは思うのですが、搾り取られる側からすればたまったものではありません。なんとか抜け道を探してやる!とか思ってしまうわけです。

 これまで東海道新幹線を使って安く西へ行く方法はないか、と研究した結果をこちらにまとめてありますが、結局のところどれもパッとしないものばかりです。みな、JR東海の陰謀か、と思うくらい何らかの制限がかかっていて、割引率も著しく低い。
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 で、最近ようやく気づきました。東海道新幹線を使って安く行く方法、それは団体パックのフリープラン商品を買うことです。

 ホテルとセットにしなければなりませんが、1泊目だけ泊ればあとは何日か後に帰ってもOK、みたいな自由なプランも多くなっていますし、乗る列車の時間帯を指定することもほとんど可能です。
 これらのパックプラン、計算してみると新幹線の運賃・料金がだいたい3~5割引くらいになっています。ホテル代を入れたとしても、普通運賃より安くなることが多いのです。

 そんなプランを売っている会社を参考までに上げておきます。

 JR東海子会社なので相当細かいプランがあります。ネットで直前まで予約できる「新幹線ツアーダイレクト」は料金は少し高めですが便利です。格安のWeb限定プランも注目です。

JTB
 かつて国鉄と密接にかかわっていた日本一の旅行社として、「JRで行く国内ツアー」なるページまで設けています。日本全国そこら中に店舗があるので申込や受け取りも便利です。

 旅行業界ベスト3に入る日本旅行も今やJR西日本の子会社。JRセット商品にも力を入れていて多彩です。最近では東横インと新幹線のセットプランなんてものも。特にWeb限定プランが安いのでおすすめです。ただ、首都圏に店舗が少ないのが残念です。


 以上の3社をおさえておけば、東海道新幹線を使った商品はほぼ網羅されているはずです。

 ただ、JR東海ツアーズは首都圏に店舗が4つ(東京駅、品川駅、新横浜駅と新宿)しかないので、Webで申し込むと、チケット送料が500円かかってしまうるのが難点でしょうか。一方で、直系子会社ならではの特典か、指定列車に乗り遅れても後続列車の自由席が使えることが多いなど、ビジネスマンを意識した点はありがたいところです。

 安さを求めるならJTBと日本旅行かもしれません。特に「限定列車」を使ったプランは信じられないほど安価です。ただ、座席数が少ない(一般に買える指定席がガラガラでも平気で「満席」となる)ので売り切れることが多々ありますが、席を確保できたなら非常にお得です。

 日程や旅程を固定したうえで事前に申込み、変更や払い戻しもしない、という窮屈ささえ我慢すれば、東海道新幹線を使った旅でも安く行けるということです。
 ただ、そこが私にはなかなか難しいことなのですが......。
 やはり自由さを犠牲にしないと、安価は実現できないようでありました。

※写真上はJR東海ツアーズの商品、宅急便代が500円かかる。マル「契」マーク入りの「乗車票」ながら、後続の自由席にも乗れたりする。
※写真下はJTBによる新幹線の格安セットプランの切符には、乗車変更が一切不可ということが書かれている。
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 ついに30日目となりました。ここまで来たら40日を目指したい気になってきました。
 先週末、JR東日本から9月29日にダイヤ改正が行われるとの公式発表がありました。

 ただ、今年3月に改正したばかりなので、今回は東北・上越・山形新幹線だけの小幅な変更にとどめられるようです。

 改正内容は、「はやぶさ」型のE5系なる新型新幹線車両がさらに投入され、「はやて」に使われることが多くなるというのが目玉です。秋からは「はやて」15往復中、11往復が「はやぶさ型」となるので、もはやE5系は「はやて・はやぶさ型」といえる状況となります。
 しかしながら、「はやて」で使われる際のE5系は300km/hでの運転を封印するので、本領発揮の高速運転を体験するには、やはり「はやぶさ」の割増料金を払わなければなりません。ちゃっかり考えているなと思います。

 もう一つのトピックスは、2階建て新幹線の元祖ともいえる「E1系」という車両が廃止されることです。
 この車両は、「着席」という点を重視したために、自由席の2階席などはリクライニングもさせずに、左右とも3人掛けシートを配置するなど、高速鉄道での"大量詰め込み"を初めて実践した電車でありました。名前も「MAX」という愛称がついていて、最大限の詰め込みを自慢しているようにも感じます。

 もはや、詰め込みは時代遅れなのか、と思ったらそんなことはなく、後継の「E4系」という車両があるので、「MAX」になんら変わりはないようです。
 とはいえ、詰め込み過ぎの弊害か、最高速度が240km/hしか出せないために、高速化を進める東北新幹線からは次の秋改正で追い出されることになりました。今後は、上越新幹線で最大16両編成・定員1600余席という規模で走らせるようです。

 このような車両なので、E1系の廃止にも何の感慨も湧かないのですが、一つ印象的なのは、1994年に製造した電車をわずか18年で廃してしまう速さです。
 今回の廃止は、「簡単・安価で作った車両を短期間で置き換える」というJR東日本の思想が反映されているといえるのではないでしょうか。

※なお、JR東日本による9月ダイヤ改正の詳細はこちら(PDFファイルです)にあります
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 今日で連続更新29日目となりました。
 大阪と京都を結ぶ私鉄の「京阪電車」では、ついに旧型の特急電車を廃止することが今月発表されました。

 この電車は3000系(現在は8000系30番台と称しているそうです)という形式で、今から20年ほど前に大半が廃車されたり、富山地方鉄道や大井川鉄道に売り飛ばされたりしたものの、1編成だけ残っていました。
 今走っている京阪の特急電車と同様に2階建て車もあり、座席など内部は同じであるものの、外見が少し雰囲気が違うと思います。これは旧型車を新型車並みに改造して使ってきたためです。

 1971(昭和46)年から1973(昭和48)年にかけて作られたこの特急電車は、当時は車内にテレビがついていることから、テレビカーなどと呼ばれたりもしていました。今やテレビなど何も珍しくはないですが、当時は電車内でテレビ放送が見られるのは全国で唯一であり、野球中継がある時はテレビのある車両だけが混んでいたのを思い出します。今回廃車となるのは元祖「テレビカー」といえる存在です。

 京阪の特急に一度でも乗られた方は分かると思うのですが、とにかく今も昔も「特急」という種別の列車を「神聖視」しているようなところがあります。
 特急料金がいるわけでもなく、一般の列車と変わりないはずなのですが、車内は2人掛けの自動転換式クロスシートが当たり前のようにあり、テレビをつけてみたり、電話ボックスをつけたり、1995年からは2階建て車両(もちろん料金無料)まで連結してしまっています。つり革や吊り広告といった通勤電車的なものは一切なく、トイレさえあればJRの中距離特急として使っても何の問題もないくらいの設備と風格を備えています。

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 1990年代初めまでは、大阪の京橋を出ると、京都の七条までにある30数駅には一切停まらないという徹底ぶりで、大阪と京都を移動する客以外は乗れないようになっていました。国鉄やJRの新快速列車、阪急電車の特急に対抗する意図もあったのでしょう。
 途中駅に住む私などは、指をくわえて、特急電車が高速で通過していくのをただ眺めているしかない状況。幼少時からそんな状況が続いたせいで、今でも京阪特急には憧れさえ抱いてしまう有様です(ゆえにこんな長々と書いてしまっています)。

 そんな京阪特急も人口減少による利用者減には勝てず、いつの間にか途中駅に停まるようになったり、一般の車両で走るようになったり、かつての地位が低下する一方です。

 そして今回、京阪特急の黄金時代を支えた車両がついに廃車されることになりました。
 もう長い間頑張ったのだからいいじゃないか、とも思うのですが、よく考えてみると、廃車される電車が自分と同じ年齢だということに気づき、悲しい気分がさらに増してきたように思います。

※写真上は京阪電車が開設した特別サイト。わざわざこんなサイトを作るくらいなので、いかに特急電車を大切にしているか、また、地元に愛されて(憧れて?)きたかが分かると思います。
※写真下は1987年ごろの京都・五条駅を通過する京阪特急(3000系)。まだ七条~三条間が地上を走っていたころです。車窓に鴨川が見えると、ああ、京都へ来たな、と思ったものですが、今や地下化されて何も見えません。
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 28日目となりました。
 我が鉄道紀行舎は今、このブログ(Weblog)のほかにも、TwitterFacebookGoogle+(グーグルプラス)という米国の3大SNSでページを開いています。

 なんで日本製のmixiがないんだ、と思われるかもしれませんが、実はmixiにもあります。手が回らずに何も更新できていないのです。

 ほかにも「Myspace(マイスペース)」にも作っていたりするのですが、これは、FacebookかMyspaseがどちらが伸びるか分からなったころに、「様子見」と称してとりあえず作ったものです。その後、日本での勝敗が決したので、こちらも放置の状態です。google+も同様に今は様子見段階ゆえに放置となってしまっています。

 そんなわけで、実際に稼働しているのは、TwitterとFacebookだけになるのですが、こちらも西村個人用と鉄道紀行舎用が混在している状態です。

 Twitterについては、現在1000以上のフォロー(フォロワー)をいただいています。こちらからフォローさせていただいているのは900弱です。これは、鉄道や旅行に関連する個人(一部は団体や会社)のみを対象としたいため、それ以外の方はフォローを遠慮させていただいていることがあります。
 @kikosyaと名づけたように、純粋に鉄道に関連する内容だけを書いています(時に個人的なことも書いてしまいますが)ので、Twitterは鉄道紀行舎用といえるかもしれません。

 一方、微妙なのがFacebookです。
 個人名で開設してはいるのですが、「http://www.facebook.com/kikosya」というアドレスの通り、心意気は鉄道紀行舎なのです。

 そこで先日、Facebook上でどんな人と「つながり」(友達)となっているのか調べてみました。内訳はこんな感じです。

・仕事関係でのつながり:51%(会社員西村)
・鉄道好き関係のつながり:39%(鉄道紀行舎)
・その他(どちらでもない個人的なつながり):10%

 仕事関連が過半数を超えているので、やはり会社員としての仕事用SNSなのかもしれませんが、鉄道好き関係の人も4割あるので、完全に仕事目的ばかりともいえない。

 総計わずか150人ほどの数なんですが、この与野党伯仲?気味な状況というのが、Facebookへの投稿に緊張感をもたらしている気がします。いつも何を書くかで迷うんですよね。読む人の顔が見えているような、見えていないような......。
 このWeblogやTwitterに書くときの何倍も怖い。しかも投稿した内容は、「いいね!」なるもので票数(?)まで出たりします。
 ちょっと優等生気味な発言に終始しているのはそのためかもしれません。

 ここをお読みの方で、拙Facebookにご興味のある方は、ぜひお越しいただき「鉄道紀行舎党」の割合を増やしていただけますと嬉しいです!
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 27日目になりました。一カ月連続更新まであと少し、頑張ります!
 昨日、JR西日本のWebサイトを見ていましたら、特急列車が停車駅にも関わらず誤って通過してしまった、という報告が掲載されていました。

 この「事件」(役所用語で「インシデント」というのか「事象」というのか分かりませんが)は、先週の木曜日(7月5日)に山陰本線・益田発鳥取行の特急「スーパーまつかぜ6号」が、停車駅である仁万(にま)駅を「停止位置を約370メートル行き過ぎて停車」。本来であれば戻って再度停まればいいのですが、「後方に踏切が介在しており、後退することが出来なかったため、次の駅の大田市駅まで運転」したということです。原因は運転士の勘違いだそうです。

 で、単純に乗車や下車する人はどうなったんだろうな、と疑問が湧いてきました。
 なぜか、乗車する人がいたか否かは書かれてなかったのですが、「仁万駅で降車されるお客様はありませんでした」とのこと。この特急「スーパーまつかぜ」の乗客数は15名だけだったそうです。

 特急列車なのに乗客は15名・・・。この列車に使われている新型ディーゼルカーは1両あたりの定員が約110名ですから、3両の総定員の330名に対しわずか15名。乗車率5%以下という惨状です。
 当日、大雨の影響で同列車がたまたま途中の江津駅始発に変更された影響があるのだと思いますが、それでも「こんなにも乗っていないのか」と驚きました。

 今、山陰本線の特急列車はほとんどが2両編成で、普通列車も同じく2両です(1両もある)。
 最初はわずか2両きりの「特急」に驚いたものですが、この状況を見ると、1両編成になるのも近いかもしれません。

 かつて大阪駅から博多駅まで、食堂車やグリーン車も含めた10両のディーゼルカーを連ねて山陰を走り抜けていた特急「まつかぜ」も、スーパーとかいう変な冠こそつけられて、スピードアップが図られても、乗る客は増えるどころか減る一方です。
 この小さな「事件」から、ローカル線の置かれた過酷な経営状況の断片を見た気がしました。

※写真は山陰本線で運転されている特急に使われるディーゼルカー。のっぺりとしてどこかカッコ悪いと思うのは私だけでしょうか(ただ、スピードは速いです)
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 26日目となりました。
 今週月曜日に発行されたビジネス誌『週刊 ダイヤモンド』(7/7号)で、格安航空会社「LCC(ローコストキャリア)」の特集が掲載されていました。

 前回も書きましたが、今年は日本にとっての「LCC元年」といえる年で、一気に3社が参入を果たします。今回の『ダイヤモンド』誌では、そのビジネスモデルや安さの背景に迫っています。

 一言で言うと、コストを極限まで切り詰め、機内販売の売上などで運賃外収入を増やすことによる超低価格を実現した結果、「初飛行」という新たな需要を生み出した、という内容でした。日本のLCCをビジネス視点で知るには最適な特集だったといえます。

 そのなかで、私がもっとも興味深く読んだのが、旅行作家の下川裕治さんによる「安さの裏にいわれなきストレス、LCCに乗るたび募る不快感」と題したコラムでした。 
 これまで世界各国のLCCに100回以上乗ったという下川さん。その経験からLCCに対する自身の感想を述べたものです。

 それによると、

 「搭乗回数を重ねるうちに、ある種の不快感を覚えるようになった。LCCに乗らなければいけないと思うと、気分が落ち込んでくる」

 といいます。

 その理由として、

 ・LCCの予約は英語に四苦八苦しながら自分でしなければならない
 ・名前のスペルを1字でも間違えると修正が大変だから気を抜けない
 ・座席指定の画面が現れ不用意に指定すると運賃に加算される、といった「罠」が随所に仕掛けられている、それをかいくぐらないと安い運賃が実現しない
 ・画面を行き来しながら予約を進めるうちに、安い運賃が売り切れてしまい、運賃が急に上がることがある

 といった気苦労があるそうです。

 さらに、空港に着いても苦労は続くといいます。

 ・重さによって荷物の料金が異なるので、恐る恐る計量台に荷物を載せる
 ・搭乗時に出発が遅れていることを知らされたりする

 「『安いから仕方ないですよね』、待合室で隣の人と目で語り合う。どこか卑屈になっている自分がいる」という悲しい状況に。

 LCCの就航によって同じ路線の運賃が下がっていることを指摘し、「同じ運賃なら、既存航空会社を選ぶ。そこには普通のサービスが残っているからだ」「(LCCに何度か乗っているうちに)いわれなきストレスにさらされるようになる」と結論づけています。

 最近、LCCの安さとビジネスモデルが優れていることばかりが伝えられていますが、安さと引き換えに受け入れなければならない利用者の「ストレス」について、ここまではっきりと指摘した記事を見たことがありませんでした。

 普段から会社員なる立場で無用なストレスを受けざるを得ない自分としては、たとえ安くても旅行の時にまでストレスを受けるのはまっぴらごめんだな、とこのコラムを読んで強く思ったのでした。
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 今週のはじめに、2回にわたり「なぜハワイにとりつかれてしまったんだろう」という内容と、「ハワイの楽しさは路線バスが走っていることにある」というテーマでハワイの魅力を述べてきましたが、今夜はこれまで書けなかった離島めぐりの楽しさについて書いてみます。

 一般的に「ハワイ」と呼ばれているのは、ホノルルがあり、ワイキキビーチがあるオアフ島(人口90万人超)のことを指すことがほとんどです。ここは米国50番目の「州」であるハワイ州の大半が住んでいる「首都」なのですが、実際にはオアフ島以外にも8つの島があります。

 人口が多い順に、ハワイ島(別名ビッグアイランド=同15万弱)、マウイ島(同11万超)、カウアイ島(同6万超)という離島があり、この3島はハワイツアーのオプショナルコースになっていることが多いので、行った方が多いかもしれません。
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 また、ホノルルに飽きたハワイ好き層にも根強い人気があり、数年前までハワイ島・コナ空港にはJALの日本直行便さえあったほどです。また、この3島にはコミュニティ的ではありますが、公営路線バスが走っているくらいなので、それなりに人口規模があり、観光施設も豊富です。

 このほか、モロカイ島(同7000)、ラナイ島(同3000超)という小規模の有人島が2つあり、加えて、私有地で関係者以外は立ち入れないニイハウや、無人のカホオラウェという島も含め、8つの主要な島があります。

 モロカイ、ラナイまで足を延ばす海外客はごく少数で、ニイハウ、カホオラウェへ訪れることは容易ではありませんが、ハワイとマウイ、カウアイの主要3島へ行くのはそれほど難しいことではありません。

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 日本発ツアーのオプションコースとして、おおむね1~2万円の追加料金で日帰りでも行けますし、個人で手配して行くのも容易です。

 島間を結ぶフェリーは残念ながら現在廃止となった(2008年に就航した後すぐ廃止)ものの、「go!」という格安航空会社や「アイランドエア」などが、片道1万円程度で飛んでいます。しかもプロペラ機で低空飛行なので、眼下に島影や海が見えて景色が非常に良いのです。ちょっとした遊覧飛行のよう。

 もし、大観光地ワイキキの喧騒に嫌気がさしたとしても、離島へ行ってみると、まったく雰囲気が違います。
 のんびりした都会田舎の離島といった感じで、それでいてオアフ同様かそれ以上に海も気候も素晴らしい。 
 若干マニアックなコミュニティ路線バスに揺られ、島をのんびりめぐってみると、ハワイが俗悪な観光地だけではなく(それもまた良いが)、昔のままの美しい自然が残る離島が集まった諸島であることをひしひしと感じるはずです。

 ハワイへ行く機会がありましたら、4泊6日のうちの1日はぜひ離島訪問に費やしてみてください。ハワイの見方が必ず変わると思います。 

※写真はハワイの島間を結ぶ飛行機(プロペラ機)。バスのような感覚で多くの人々に気軽に使われています。また、低空飛行なので島の様子を見るのに最適です。写真下はその飛行機から見た「ダイヤモンドヘッド」の内側です。
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 24日目となりました。
 今日は朝から「東京ビッグサイト」へ行く用事があり、そこで行われている大型展示会に缶詰状態になっていました。

 年に4~5回は(仕事で)ビッグサイトへ行く機会があるのですが、何度も通ううちに、「同じルートじゃ面白くない」ということになりまして、これまで密かにいろんな交通機関とルートでの移動を試してきました。

 今のところ、都心からは下記の5つの方法が考えられます。


1.ゆりかもめ新橋経由
(運賃:高、車窓:◎、乗換:△、速度:△、利便性:○、混雑度:高)

2.ゆりかもめ豊洲経由
(運賃:高、車窓:○、乗換:△、速度:△、利便性:○、混雑度:普通)

3.りんかい線(JR埼京線直通列車または大崎乗換)
(運賃:高、車窓:×、乗換:◎、速度:◎、利便性:◎、混雑度:普通~高)

4.都営バス虹01系統(浜松町~お台場)>>参考情報
(運賃:安、車窓:○、乗換:△、速度:×、利便性:▲、混雑度:高)
※このほか、東京駅前や門前仲町からのバス便もある。
【注意】残念ながら2013年3月末でこの路線は廃止となりました。ただ、2012年4月から品川と田町駅前から200円でお台場へ行ける「お台場レインボーバス」という公共路線(港区など運行)が新設されています。

5.東京観光汽船(ビッグサイト~日の出桟橋[浜松町駅から徒歩])
(運賃:高、車窓:◎、乗換:×、速度:×、利便性:×、混雑度:低)

 こんな感じなのですが、私がもっとも使うのが2の「ゆりかもめ豊洲経由」と3の「りんかい線」です。いずれも一長一短があるのですが、仕事で急いでいるときにはこの2つが最適だと分かりました。

 「正規ルート」である新橋経由の「1」の場合もありますが、レインボーブリッジを通るために車窓は良いものの、お台場へ行く観光客が多くて混んでいます。それで、ついつい「裏街道」の豊洲経由に......。こちらは空いていていいんですよね。
 りんかい線はトンネルの騒音ばかりで何の面白さもないのですが、スピードとJR埼京線に乗り入れる利便性にひかれ、やむなく使ってしまいます。

 4と5は若干裏技的なルートです。
 都バスの「虹01」は1時間に1~2本しかなく、時間もかかるのですが、お台場へ向かうすべての交通機関の運賃が高いなかで、200円という安さは魅力です。しかもビッグサイト前(西館)から発着するので、案外便利です。
 ただ、浜松町駅はバスターミナル始発なので、少し面倒です。あと、案外混んでいるので座れないときは少し憂鬱です。

 5は移動というより観光めいていますが、天気の良い日は本当に気持ちよく、仕事中にも関わらず、ちょっとした船旅気分になれます。乗り場もビッグサイトの目の前にあったりします。

 さて、今日は残念なことに、何も考える余裕がなく「3」のりんかい線で淡々と移動せざるを得ませんでした。
 たまには「5」の船でも乗って、ゆっくりと海を眺める、そんな余裕を持ちたいものです......。
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 日が変わってしまいましたが、23日目となりました。

 本日(正確には昨日7/4)にJR東日本から発表されたリリースによると、神田と御茶ノ水間にあった旧交通博物館跡地の再開発を進めており、「JR神田万世橋ビル」なるものを建設しているそうで、その際「歴史的資源の活用として、高架橋に現存している旧万世橋駅のホームおよび階段の遺構(駅舎跡)を整備公開し、この土地を体感できる施設とします」という内容が発表されました。

 おお、さすが世界を代表するJR東日本だ!とか思っていたら、リリースには「旧ホーム部分は、屋外カフェ、屋外デッキを整備します」とのことで、同時に行う旧万世橋駅付近の高架下開発の呼び水にしたいようにも感じられました。

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 もちろん、歴史的遺産を活用することに異論はありませんが、カフェなるものを作るより、誰もが見られるように、粛々と保存するのが先決ではないでしょうか。
 なんとなく鉄道ブームとマスコミ受けの良さに乗っかって、人寄せのために、整備するような気がしてならないのは私だけでしょうか。もちろん、破壊しなかったことには感謝しますが、なんとなく懐疑的に見てしまうのはなぜだろう......。

 「新たな名所が誕生します」とかいう触れ込みが受け入れられないのかもしれません。
 秋葉原の名所はギラギラした高層ビルや高架下を無理やり開発した商店街ではなく(もちろんアトレでもない!)、交通博物館にあったと思っているからなのでしょう。

※写真は交通博物館があったころに特別公開された万世橋駅の遺構(2006年)と万世橋駅の一部を転用した交通博物館(2006年廃止)。同博物館とは非公開の古い通路でつながっていた。なお、今回のJR東日本による公式発表(PDFファイル)はこちらです。 
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 22日目となりました。
 昨夜、深夜まで起きていましたら、窓の外すぐを走る東急線の線路で「ドッドッッ」とディーゼル機関車のような重低音を響かせ、何かが走ってくる音に気づきました。

 おかしいな、終電はもう終わったはずなのに......と思って外を見ると、黄色い保線用車両がゆっくりと近付いてきました。
 ああ、終電後もこうやって働いているのか、と感謝の気持ちを抱いたのですが、以後、我が家のすぐ横で作業を続けてしまい、音が気になって寝られなくなりました。おかげで寝不足です。

 それにしても、終電後の線路には色んな車両が走っているものです。
 昨夜のような保線専用車両をはじめ、時には試運転の車両や、最近では近い将来に副都心線経由で乗り入れるであろう東京メトロの副都心線車両など、深夜に珍車両に出会うと実にうれしく、たまの保線騒音などなんてことはないと思うのでした。

 ※写真と本文は関係ありませんが、夜の東海道本線・真鶴駅です。
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 この連続更新も21日目、3週間続いたことなります。
 今日(7/2)、JR東日本から同社内全駅の「乗車客数ランキング(2011年度版)」が発表されました。
 東日本大震災で運休していた路線の駅を除き、各駅の1日平均の乗車人員が分かるもので、「自分の利用する駅はこれだけの利用者がいるのか」とか「この駅はこんなに使っている人がいるのか!だから混んでいるのか」などと考察を深めることができ、エリア内に住んでいる人にとっては興味深い資料ではないでしょうか。

 ベスト10を見ますと、新宿・渋谷・池袋の西側三大ターミナル駅をはじめ、横浜、東京、品川、新橋など「なるほどな」と思える著名駅が並んでいます。

 1位から100位までは昨年度とほとんど変わらないのですが、目立ったところでは、91位の辻堂(東海道本線)が4400人増えて順位を5つ上げ、36位の武蔵小杉(横須賀線・南武線)も4000人増で5ランクアップ。61位の南越谷駅(武蔵野線)は1400人増えて2つ順位が上がっています。
 武蔵小杉も辻堂も駅付近にあった工場を取り壊し、大規模な再開発が行われている影響があるようです。南越谷駅がある埼玉県越谷市はベッドタウンとしてずっと人口が増え続けている街ならではかもしれません。

 そんな景気の良い駅がある反面、昨年度(2010年)版と見比べていただければ分かりますが、どの駅も順位はほとんど変わらないものの、微妙に人数だけを減らしています。昨年度比で124人減にとどめた28位の戸塚駅(横須賀線)が2つ順位を上げたくらいですから、各駅ともそれなりに減っています。1位の新宿駅でさえ2000人以上の減でした。

 今日、駅ランキングと同時に発表された「路線ランキング(JR東日本)」を見ると、利用者が減りつつある現況が分かりやすいかもしれません。
 これは、どの路線に1日平均でどれ位の人数が乗車しているかを「平均通過人員」という数値で表したものですが、新幹線も在来線もこの5年間で軒並み微減傾向にあることが分かるかと思います。

 もっと分かりやすいデータもあります。
 これは国鉄分割・民営化直後の1987年(データは1988年)から最新版の2011年度まで、5年ごとの利用状況を一覧にしたものです。

 在来線2位の埼京線のように、常に客数を伸ばし続けている路線もありますが、ほとんどが芳しくない推移になっています。
 特に見るべきは、バブル最末期である1992年との比較で、この時期の数字を超えているのは在来線の上位3線と、新興の京葉線、南武線、武蔵野線くらいです。(※なお、東北本線の数値が好転している原因は分かりません。盛岡~青森間がなくなって「平均」が良くなったということなんでしょうか・・・)

 愕然とするのがローカル線の惨状で、21位・伊東線、39位・大糸線、41位・津軽線、43位・男鹿線、44位・吾妻線、45位・磐越西線・・・・以下67位(最下位)の岩泉線まで目を覆いたくなる数字が並んでいます。利用者半減は当たり前で、中には三分の一に減ったところもありました。

 ローカル線は言うに及ばず、都心でさえも、鉄道事業が年々苦しくなっていることを数字で突きつけられ、何とも言えない気分になってしまいました。
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 更新20日目となりました。
 今日からついに7月。夏だから、というわけではありませんが、昨日に続きハワイのお話です。

 私がハワイを好きになった理由について、昨日は「なぜハワイにとりつかれてしまったんだろう」と題して縷々(るる)述べたのですが、やはりこの地の温かいけど穏やかな空気や文化がそうさせるのか、風土的なものが大きいのです。

 もう一つ、個人的には、ホノルルがある「首都」オアフ島の路線バスが充実していることと、別の離島をめぐることができる楽しさが魅力だと思っています。

 オアフ島の路線バスは「The BUS」という名ですが、ハワイへ行ったら必ず黄色いラインのバスを見かけることかと思います。
 島内のいたる所にバス停があり、その数はなんと4200。観光の拠点であるアラモアナショッピングセンターのバスターミナルを起点に、路線数も100以上にのぼります。空港から街のアクセスはもちろん、地元民しか用がないような住宅街から大観光地まで、オアフ島でThe BUSが走っていないところはない、といえます。

 これに乗っているのが実に楽しいのです。
 1回乗車につき2.5ドルかかりますが、乗換券(トランスファーチケット)ももらえますし、島内をほぼ一周する長距離便(52と55番が有名)もあったりして、相当に長く乗っていられます。しかも24時間営業です(治安上、夜中の便はあまりおすすめできませんが)。 

 あるとき、1日ずっと何も予定を考えずにバスばかり乗っていたことがあったのですが(2回くらいそんなことをした)、オアフ島は結構広くて、ワイキキだけを見ていては分からない奥深さがありました。ある路線でふと窓の外を見ると、夏草に覆われたレールが見え、サトウキビ列車の廃線跡に妙に興奮したこともありました。
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 観光バスとは違い、地元の生活に密着した場所では乗り降りが盛んですし、長距離便は海岸沿いを走るので、車窓もたまらなく良好なのです。大観光地のワイキキとは違い、郊外には静かで美しい海岸も多く、ハワイの美しさが堪能できるはずです。

 ただ、難点はクーラーが効きすぎていて寒いということと、日本とは違い細かい時刻表がないので、少しばかり戸惑うこともあることくらいでしょうか。まあ、この辺はあまり気にせず、来たバスに乗って、面白そうな所で降りてみるのが一番楽しいのかもしれません。

 ちなみに路線バスは、オアフ以外の島にも一応あります。

 マウイ島は公営バスがあり、朝と夕方だけですが、4つの路線があります。
 ハワイ島にはヒロを中心に「Hele-On Bus(へレオンバス)」という公営バスが走っていて、コナへの縦断便も1日1本だけあります。※なぜか公式サイト(http://heleonbus.org/)が日本からは見られないようになっているので、グーグルの翻訳経由のサイト閲覧はこちらから。
 また、カウアイ島にも公営の「The Kauai Bus」があったりします。

 ただ、オアフ島のように便利なものではなく、地元のコミュニティバス的なものですから、観光の場合はそれなりの覚悟がないと、乗車することは難しいかもしれません。

 オアフ島からの「離島めぐり」の魅力については、明日以降に日をあたらめて書きたいと思います。