超格安航空「LCC」、安さと引き換えに受けねばならぬストレスとは

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 26日目となりました。
 今週月曜日に発行されたビジネス誌『週刊 ダイヤモンド』(7/7号)で、格安航空会社「LCC(ローコストキャリア)」の特集が掲載されていました。

 前回も書きましたが、今年は日本にとっての「LCC元年」といえる年で、一気に3社が参入を果たします。今回の『ダイヤモンド』誌では、そのビジネスモデルや安さの背景に迫っています。

 一言で言うと、コストを極限まで切り詰め、機内販売の売上などで運賃外収入を増やすことによる超低価格を実現した結果、「初飛行」という新たな需要を生み出した、という内容でした。日本のLCCをビジネス視点で知るには最適な特集だったといえます。

 そのなかで、私がもっとも興味深く読んだのが、旅行作家の下川裕治さんによる「安さの裏にいわれなきストレス、LCCに乗るたび募る不快感」と題したコラムでした。 
 これまで世界各国のLCCに100回以上乗ったという下川さん。その経験からLCCに対する自身の感想を述べたものです。

 それによると、

 「搭乗回数を重ねるうちに、ある種の不快感を覚えるようになった。LCCに乗らなければいけないと思うと、気分が落ち込んでくる」

 といいます。

 その理由として、

 ・LCCの予約は英語に四苦八苦しながら自分でしなければならない
 ・名前のスペルを1字でも間違えると修正が大変だから気を抜けない
 ・座席指定の画面が現れ不用意に指定すると運賃に加算される、といった「罠」が随所に仕掛けられている、それをかいくぐらないと安い運賃が実現しない
 ・画面を行き来しながら予約を進めるうちに、安い運賃が売り切れてしまい、運賃が急に上がることがある

 といった気苦労があるそうです。

 さらに、空港に着いても苦労は続くといいます。

 ・重さによって荷物の料金が異なるので、恐る恐る計量台に荷物を載せる
 ・搭乗時に出発が遅れていることを知らされたりする

 「『安いから仕方ないですよね』、待合室で隣の人と目で語り合う。どこか卑屈になっている自分がいる」という悲しい状況に。

 LCCの就航によって同じ路線の運賃が下がっていることを指摘し、「同じ運賃なら、既存航空会社を選ぶ。そこには普通のサービスが残っているからだ」「(LCCに何度か乗っているうちに)いわれなきストレスにさらされるようになる」と結論づけています。

 最近、LCCの安さとビジネスモデルが優れていることばかりが伝えられていますが、安さと引き換えに受け入れなければならない利用者の「ストレス」について、ここまではっきりと指摘した記事を見たことがありませんでした。

 普段から会社員なる立場で無用なストレスを受けざるを得ない自分としては、たとえ安くても旅行の時にまでストレスを受けるのはまっぴらごめんだな、とこのコラムを読んで強く思ったのでした。