これに乗るだけでも価値がある!函館本線に「山特急」が登場

p120712.jpg
 34日目になりました。
 都心が暑いせいか、昨日に続き北海道の話題です。
 JR北海道では今年、7月から9月末まで大規模な観光キャンペーンをやっており、多数の臨時列車が運転される予定になっています。

 目玉として、道内を1周するイベント列車「北海道一周号」(既に終了)や夜行列車「まりも」の復活(上下わずか1日間だけ、どうせなら期間中の週末は運転してほしい)など、マニア向けと思われる華やかな企画も組まれていますが、それよりも注目すべきは夏季の週末を中心に道内各地で運転される観光列車です。

 たとえば、根室本線の釧路~根室間や、同線の富良野~新得間など、普段は普通や快速列車しか走っていない線区にも観光列車が設定されており、特急型車両やリゾート車両を「快速列車」として運転するサービスぶりです。

 このなかで個人的にもっとも注目しているのが、函館本線の山線(ニセコ経由)で運転される臨時の特急「ヌプリ」号(函館~ニセコ~小樽~札幌)です。「ヌプリ」はアイヌ語で「山」という意味だそうで、まさに「山線特急」といえる存在です。

 今、函館と札幌を結ぶ「北斗」などの特急列車は東室蘭や苫小牧経由の海沿い経由で運転されていますが、かつては倶知安やニセコを経由する函館本線にも特急「北海」や急行「ニセコ」といった著名な列車がありました。
 この倶知安・ニセコ経由は、山々が険しいために「山線」と呼ばれています。勾配が激しく、海沿いの東室蘭・苫小牧経由と比べて時間がかかることから、かなり昔に特急も急行も廃止されてしまいました。今はローカル列車だけしか運転されていませんが、羊蹄山など沿線の車窓は非常に素晴らしいものがあります。

 1986年に「山線」経由の特急「北海」が廃止されて以後、この路線に半定期的な特急列車が走るのは、実に25年以上ぶりのことになります。(有珠山噴火の際は、迂回ルートとして使われていましたが)

 今回の「ヌプリ」号は、当時の特急列車と比べると、札幌~函館間で1~2時間ほど余計にかかっているのですが、その分、ニセコ駅などの主要駅で停車時間を確保しており、のんびり走らせているのが特徴です。上下列車とも12時台に「いかめし」を販売する森駅で10分程度の停車時間があるなど、心憎い気配りまであります(8/6~19はホームで立ち売りもするそうです)。

 函館から長万部は大沼や駒ヶ岳と間近に迫る噴火湾、長万部から小樽までは険しくも美しい山々、小樽から札幌までは日本海と、5時間超の車窓がすべて素晴らしいものがあり、かつ、疲れないようにのんびりと走ってくれます。

 車両は国鉄時代の古い気動車(キハ183系)を使いつつも(私にとっては非常に喜ばしい)、車内には動物をモチーフとした「ヌプリシート」なるものを設け、子供らにも退屈させない努力もしています。また、観光案内のスタッフも乗務するそうです。4両編成のうち1両だけですが自由席も連結します。

 運転期間も8月6日(月)から31日(金)までの26日間と1カ月近くあります。
 この夏、「ヌプリ」号に乗るだけのために北海道へ行きたい!そんな風に思える列車が久々に現れた気がします。

※画像は特急「ヌプリ」号の紹介ページより