JR東日本「駅&路線ランキング」に見る鉄道事業の苦悩

p120702.jpg
 この連続更新も21日目、3週間続いたことなります。
 今日(7/2)、JR東日本から同社内全駅の「乗車客数ランキング(2011年度版)」が発表されました。
 東日本大震災で運休していた路線の駅を除き、各駅の1日平均の乗車人員が分かるもので、「自分の利用する駅はこれだけの利用者がいるのか」とか「この駅はこんなに使っている人がいるのか!だから混んでいるのか」などと考察を深めることができ、エリア内に住んでいる人にとっては興味深い資料ではないでしょうか。

 ベスト10を見ますと、新宿・渋谷・池袋の西側三大ターミナル駅をはじめ、横浜、東京、品川、新橋など「なるほどな」と思える著名駅が並んでいます。

 1位から100位までは昨年度とほとんど変わらないのですが、目立ったところでは、91位の辻堂(東海道本線)が4400人増えて順位を5つ上げ、36位の武蔵小杉(横須賀線・南武線)も4000人増で5ランクアップ。61位の南越谷駅(武蔵野線)は1400人増えて2つ順位が上がっています。
 武蔵小杉も辻堂も駅付近にあった工場を取り壊し、大規模な再開発が行われている影響があるようです。南越谷駅がある埼玉県越谷市はベッドタウンとしてずっと人口が増え続けている街ならではかもしれません。

 そんな景気の良い駅がある反面、昨年度(2010年)版と見比べていただければ分かりますが、どの駅も順位はほとんど変わらないものの、微妙に人数だけを減らしています。昨年度比で124人減にとどめた28位の戸塚駅(横須賀線)が2つ順位を上げたくらいですから、各駅ともそれなりに減っています。1位の新宿駅でさえ2000人以上の減でした。

 今日、駅ランキングと同時に発表された「路線ランキング(JR東日本)」を見ると、利用者が減りつつある現況が分かりやすいかもしれません。
 これは、どの路線に1日平均でどれ位の人数が乗車しているかを「平均通過人員」という数値で表したものですが、新幹線も在来線もこの5年間で軒並み微減傾向にあることが分かるかと思います。

 もっと分かりやすいデータもあります。
 これは国鉄分割・民営化直後の1987年(データは1988年)から最新版の2011年度まで、5年ごとの利用状況を一覧にしたものです。

 在来線2位の埼京線のように、常に客数を伸ばし続けている路線もありますが、ほとんどが芳しくない推移になっています。
 特に見るべきは、バブル最末期である1992年との比較で、この時期の数字を超えているのは在来線の上位3線と、新興の京葉線、南武線、武蔵野線くらいです。(※なお、東北本線の数値が好転している原因は分かりません。盛岡~青森間がなくなって「平均」が良くなったということなんでしょうか・・・)

 愕然とするのがローカル線の惨状で、21位・伊東線、39位・大糸線、41位・津軽線、43位・男鹿線、44位・吾妻線、45位・磐越西線・・・・以下67位(最下位)の岩泉線まで目を覆いたくなる数字が並んでいます。利用者半減は当たり前で、中には三分の一に減ったところもありました。

 ローカル線は言うに及ばず、都心でさえも、鉄道事業が年々苦しくなっていることを数字で突きつけられ、何とも言えない気分になってしまいました。