超格安航空"LCC元年" にJRは何をすべきか

p120619.jpg 8日目となりました。外は台風の風がすごいことになっています。何もなく通り過ぎてくれればいいのですが。

 今年、日本の航空界では「LCC元年」といえる"台風"が巻き起こりそうです。LCCは「ローコストキャリア」の略で、ようは格安航空会社のことです。
 飛行機の運航にかかる人件費やサービスなどのコストを極限まで抑えて格安運賃を実現するもので、海外では近年一般化しています。

 機内の座席がかなり狭かったり、チケットはWebでしか売らなかったり、機内サービスが一切なかったり、スカイマークみたいに乗務員は保安要員だから荷物の収納手伝いはもちろん、苦情など一切受け付けぬ!と宣言してみたり......、各社さまざまな「努力」にとって運賃を安くしているのです。

 日本へ乗り入れているLCCでは、オーストラリアのジェットスターやマレーシアのエア・アジアX、茨城空港に発着する中国の春秋航空などが有名でしょうか。

 国内線では、長い間スカイマークがLCC的な役割を果たしてきましたが、今年は外資LCCと共同で一気に3社が新規参入を果たすことになりました。

 関西空港を拠点とするANA&香港の投資会社などによる「ピーチ」、成田を拠点とするJAL&豪州系の「ジェットスター・ジャパン」、こちらも成田拠点でANA&マレーシア系「エアアジア・ジャパン」という3つのLCCが8月までに相次いで国内線に就航します。

 これらのLCC、いずれもJALとANAが深く関わっています。
 個人的には、たとえばJRバスが自社便と対抗する「ツアー高速バス」を楽天やウィラーあたりと合弁別会社で運営するかのような(もちろんそんなことはあり得ない)不可思議さと矛盾を感じずにはいられないのですが、両社とも「世界的なLCC化の波にひとまず乗っておこう」ということかもしれません。

 3月に就航したピーチの場合、関西~新千歳で運賃は約5000円~2万円です。色んな条件によって運賃にはかなり幅があるのですが、最安値が5000円というのは、相当に衝撃的ではないでしょうか。
 7月に就航予定のジェットスター・ジャパンは、成田から札幌や福岡が約5000円~、沖縄が6500円~、大阪だと4000円~です。8月に成田~札幌・福岡・沖縄に就航するエアアジア・ジャパンも似たような運賃を出してくるのでしょう。
 運賃だけを見ると、「ツアー型激安高速バス」の"空版"みたいな感覚です。

 LCC各社の就航区間は、もともとJRのシェアが著しく低いかほぼゼロ(沖縄)の区間ばかりで、ここはJAL/ANAやスカイマークと客を奪い合うことが予想されますが、次の段階では成田~岡山・広島あたり、JRが飛行機と激しく戦っている区間に投入してくる可能性も高いのではないでしょうか。

 格安ツアーバス、路線高速バス、一般の飛行機会社、マイカー(高速道路)と、それでなくても多い「鉄道の敵」が今更一つ増えたところで、経営上は何も変わらないのかもしれません。
 が、鉄道のシェアが奪われ続けるという状態を放置しておいても未来はないと思うのです。それが格安しか使わない層であっても。
 個人の懐に痛手をともなわないビジネス利用(特にJR東海)や小金持ちの団塊世代ばかりに目を向けて(特にJR東日本)いても、一時の収益的にはいいのかもしれませんが、決して未来があるようには思えません。

 中距離移動は当然JR(新幹線)!という感覚を若いうちから持ってもらわないと、鉄道の地位が低下していくばかりのような気がします。
 フルムーンもいいけど、たとえば、先行投資のために、6~23歳限定で格安のJR全線乗り放題パスを作ってもいいじゃないか(年齢制限をなくすと私のような中年ばかりが使って意味がない)。プロ野球のファンクラブだって小中学生に優しいのは、幼少時ファンになってもらわないと、後が続かないからです。

 まず、第一段階として、日本の鉄道界に君臨するJR東日本と、市場の評価(株価)が一番高いJR東海が速やかに手を組むことです。東名阪の大動脈と全国津々浦々の主要都市間輸送が可能であるメリットを上手く使うべきだと思うのです。今、2社が不仲のせいで、必ず東海道新幹線で分断されてしまうのです。
 
 なんか、最初のLCCの話から相当ずれてきたのでこの辺でやめますが、JR(新幹線)にとって、長期的にみればLCC化の流れは決して対岸の火事ではないはずです。この機会にJRの結束を!

※「鉄道の敵」である航空会社の話題なので、あえて該当リンクを貼っていません。ご了承のほどを......。