JRグループが「社会人野球王国」だったことを知る

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 今夜で42回目です。
 今日(正確には昨日)は米国大リーグのイチロー選手が電撃移籍をするというニュースでテレビ番組では大騒ぎしていましたが、一方で日本のアマチュア野球界にとっては都市対抗野球の決勝戦が行われる重要な日でもありました。

 今回の都市対抗、JR東日本が昨年に続き決勝へ進出し、JX-ENEOSと戦うことになりました。

 JX-ENEOSは「ENEOS(エネオス)」のガソリンスタンドを経営している会社なので、つい「鉄道vs自動車の戦いだ!」なんて構図を勝手に思い描いたりもしましたが、JR東日本は前回優勝の強者であり、ENEOSは優勝回数が10回を数え、大リーガーの田澤純一投手をはじめ多数の著名プロ選手を輩出するほどの名門チームですから、いわば順当な決勝だったともいえます。

 試合はJR東日本が逆転負けを喫して50年ぶりという連覇は成らなかったのですが、東京ドームには4万人の観客が詰めかけ、JR東日本の応援団が駅員(運転士?)の格好でパフォーマンスをするなど盛り上がっていて、テレビで観戦していてもなかなか楽しめました。

 今回の大会には、JR東日本だけでなく、JR北海道やJR東海、JR九州も出ていました。
 九州が2回戦まで残った以外は1回戦負けを喫してしまったのですが、JR北海道には、過去に中日や近鉄、巨人、韓国プロ野球で活躍した門倉健投手が「補強選手」という扱いで出ており、スポーツ新聞などでは大きく報じられて話題になっていました。

※「補強選手」とは地区大会で負けたチームのなかから優秀な選手を大会中だけ「借りる」ことができる制度で、門倉投手は今、北海道の伊達紋別にある病院が主体となったクラブチームに所属しているそうです

 都市対抗野球を見ていて興味が湧いて調べてみたのですが、JRは貨物を除く全社が硬式野球チームを持っているということを初めて知りました(今さらですみません)。

JR北海道:都市対抗出場10回、ベスト4が1回(07年)、東北楽天の武藤好貴投手らを輩出。本拠地は札幌市。
JR東日本東北:出場23回、ベスト4が1回(11年)、ソフトバンクの攝津正投手らを輩出。仙台が本拠地。
JR東日本:出場15回、優勝1回(11年)、横浜の小林太志投手、阪神の赤星憲広元選手らを輩出。千葉県柏市が本拠地。
JR東海:出場24回、準優勝2回(1929年と30年)、オリックスの光原逸裕投手らを輩出するが、最近では2009年以来ドラフト指名なし。名古屋市が本拠地。
JR西日本:都市対抗への出場なし。福知山線の脱線事故を受けて2005年から活動を休止していたが、来年再開の予定。過去に広島の中東直己捕手らを輩出。広島鉄道管理局が前身のため本拠地は広島にある。
JR四国:出場8回、ベスト4が1回(74年)、ロッテの中郷大樹投手らを輩出。高松市が本拠地。
JR九州:出場15回、優勝1回(36年)、09年に日本選手権大会で優勝。オリックスの小松聖投手らを輩出したほか、国鉄時代には元阪急の福良淳一選手や現ロッテ監督の西村徳文元選手も輩出。本拠地は北九州市。

 いずれも国鉄時代に「鉄道管理局」がチームを持っていた時代の名残なのですが、未だに全社が硬式野球チームを抱え、しかもそれなりに知られたプロ選手を最近でも輩出しているのはすごいなと感じます。

 上記7チーム(JR東日本のみ2チーム)のなかで、私が勝手に推察した実力差を順に並べてみますと、

 1.JR東日本(2011年優勝、12年準優勝)
 2.JR九州(2005年ベスト4、10年準優勝、11年は1回戦でJR東海に敗退)
 3.JR東日本東北(2011年ベスト4、準決勝でJR東日本に敗退)
 4.JR東海(2011年ベスト8、準々決勝でJR東日本東北に敗退)
  5.JR北海道(2007年ベスト4)
 6.JR四国(1回戦敗退と予選決勝で四国銀行に敗れての不出場が目立つ)
 7.JR西日本(来年再開予定)

 といった感じでしょうか。
 JR東日本(本体)がトップであることは間違いないのですが、2~6番目はいずれも都市対抗の常連ですから、それほど大きな力の差はないような気がします。

 ちなみに、JR東日本には管内の盛岡、秋田、新潟、水戸、千葉の各支社にもJRを冠した硬式野球チームがあります。こちらは社員の「クラブ活動」ながらも、それぞれの地区大会に出場し、都市対抗への出場を目指しています。JRのなかでは東日本が文句なしの「野球王国」といえる存在です。

 一方、JR東海は企業規模や歴史の割には、今はなかなか上位を狙えていないようですが、野球熱が高い中京地区のチームですから、選手補強次第では相応の実力が出せそうな気がします。

 JR西日本は長期休部を経ての来年が新たなスタートになりそうですから、新チームでは都市対抗に出られるくらいまで頑張ってほしいと願っています。

 3島会社のなかではJR九州の活躍が素晴らしく、大会で上位を狙える存在です。JRでは2番目くらいの実力があるのではないか、と私は想像しています。
 JR北海道と四国は地区大会で強豪に苦しめられながらも、なかなか頑張っています。

 ということで、実はJRグループが社会人野球に熱心なのだということを知り、今後はプロや高校野球だけでなく、社会人も注目せねば!と思った一日でした。

※写真はCSのスポーツチャンネル「GAORA(ガオラ)」(毎日放送系)による都市対抗決勝戦の放送画面より。JR東日本の濃い緑を使ったユニフォームが「南海ホークス」に似ていたためか、どこか好感を持ちながらテレビを眺めていました。