2012年8月アーカイブ

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 再開6日目になりました。
 今夜は尖閣(せんかく)諸島と竹島という、日本人が行きたくても行けない2つの島について書いてみます。
 昨日は靖国神社、今日は領土のことなんていうと、あたかも特定の思想を持つかのようですが、単に離島好きというだけです。自分なりに調べたありきたりの情報にすぎませんが、下記にまとめてみました。詳細を知りたい方は、ぜひリンク先もご覧ください。

 なお、この情報は外務省や東京都など日本国内の資料によるものなので、いわば日本側の主張が多分に含まれています。台湾、中国、韓国側の公式見解はあたれませんでした(中国語と韓国語に大いなる難がありますゆえに......)。

【尖閣諸島】明治時代、鰹節工場が作られ日本人が住んでいた

 尖閣諸島の場所は沖縄県石垣市。石垣島から北方約130~150kmの地にある魚釣島、久場島、大正島など5島からなる。
 1885年(明治18年)に明治政府が現地調査、中国・清朝の支配下にもないとして1895年(明治28年)に日本の領土に編入した。
 翌年、政府は福岡県八女市出身の実業家・古賀辰四郎に無償貸与。その後、古賀が魚釣島に鰹節工場などを設置。「多い時には200名ほどが魚釣島の鰹節工場で働き、久場島でアホウドリなどの海鳥を捕獲していました」(「尖閣諸島の写真と地図集」より)。なお、そのころの写真がサイト「尖閣諸島の写真と地図集」に多数掲載されている。

 1940年(昭和15年)頃に無人化。第2次世界大戦後は沖縄の一部として米国の支配下におかれる(といっても無人島だが)。1971年(昭和46年)に日本返還(沖縄と同時返還なので1972年ともいえる)。
 日本返還に先立つ1968年(昭和43年)には、イラクに匹敵する石油埋蔵量の可能性明らかとなっており、その後、中国や台湾が突如領有権を主張し始めた。
 日本の立場や経緯については、外務省が「Q&A」方式で分かりやすく説明している。
 
 現在、日本が実効支配しているが、渡航するのは極めて難しい(船をチャーターするしかない)。

【竹島】江戸期から日本人と朝鮮人が行き来していた島?

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 竹島の場所は島根県隠岐の島町。隠岐から約160kmの地にある東島(女島)、西島(男島)の小島からなる。面積では日比谷公園とほぼ同じくらい。
 江戸時代初期には、米子の町人である大谷甚吉、村川市兵衛が鳥取藩の許可を得て、鬱陵島(現韓国領)でアシカやアワビの漁獲を行っていたという。1692年、村川家が鬱陵島におもむくと、多数の朝鮮人が漁採に従事していたというから、竹島も両国の人が行き来していた可能性がある。
 1880(明治13)年に明治政府が竹島の現地調査を行う。1905(明治38)年1月、閣議決定によって竹島を「隠岐島司ノ所管」と定めた。同島ではアシカの捕獲が1941(昭和16)年まで続けられた。

 第二次世界大戦後、1952(昭和27)年1月に韓国の李承晩(イ・スンマン)大統領が「李承晩ライン」を一方的に設定し、そのライン内に竹島を取り込んだ。1954(昭和29)年6月、韓国沿岸警備隊の駐留部隊を竹島に派遣。現在まで韓国の実効支配が続く。
 外務省のページには問題を整理したパンフレットのPDF版があり、分かりやすい。また、山陰中央新聞社のページは簡潔に理解できる。

 竹島は、韓国が実効支配しているので、訪問するためには韓国経由で行くしかない。
 外務省は「韓国による竹島の不法占拠が続いている状況の中で、我が国国民が韓国の出入国手続に従って竹島に入域することは、当該国民が竹島において韓国側の管轄権に服することを認めたとか、竹島に対する韓国の領有権を認めたというような誤解を与えかねません」と日本人の渡航自粛を呼びかけている。


 以下は個人的な感想です。

 現在、日本が実効支配(?)する尖閣諸島はかつて日本人が住んだ証拠がありますし、米国から沖縄が返還されている以上、日本の領土と見て間違いないと思います。
 台湾と中国が自国の領土だと主張する根拠がよく分からないのですが、埋蔵の可能性がある石油が目的なんでしょうか。
 それまでまったく領有権を主張してこなかったのに、これではご都合主義的な感がぬぐえません。(どさくさまぎれに北方四島を強奪したソ連・ロシアよりはマシですが)

 一方の竹島です。
 かつて朝鮮人(現在の韓国)も行き来していたとみられる点や、ほぼ無人島だったこと、既に韓国側が強固に実効支配していることを考え合わせると、日本側の分が悪い気がします。

 今年、隠岐へ行ったのですが、一番近い場所でさえ、それほど熱心に返還を求めていないように見えたのは気のせいでしょうか。やはり、住人がいなかったという点が大きいのかもしれません。李承晩ラインによる根拠なき不法占拠という面では国際社会に訴え出て争う余地がありそうですが、日本政府もそれほどヤル気があるように見えないのは、国民の無関心さも背景にあるのでしょうか。

 いずれにせよ、両島とも容易に行ける場所ではないことは確かなようです。

写真左上は、手前から尖閣諸島の南小島、北小島、魚釣島(防衛省「第5航空群は東シナ海の警戒、監視を行っています~ご存知ですか?ガス田群 尖閣諸島」[PDF]から転載)

※写真右下は外務省アジア大洋州局北東アジア課による冊子『竹島問題を理解するための10のポイント』[PDF]から転載
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 再開5日目です。
 この2年余、会社員として靖國神社至近の場所で働いています。
 靖國神社というと、閣僚・政治家の参拝是非が声高に問われる論争や、どこか戦争を賛美するかのようにも見える遊就館(靖國神社内にある展示館)の展示物など、近寄りがたいイメージがあり、決して行きたい場所ではありませんでした。

 いざ「近所」の住人(実際には住んではいませんが、かなり長い時間います)になってみると、ごみごみとした街のなかでは、唯一の心休まる場所となっています。
 平日の昼間に会社で面白くないこと(そもそも会社に面白いことなどありようもないのですが)なんかがあると、靖國神社の細長い境内を歩いてみると不思議なことに心が落ち着いてきて、「まあ、どうでもいいや」みたいな気分になります。

 近所の保育園の子供たちが遊んでいたり、私のような疲れたサラリーマンがベンチで煙草を吹かしていたり、外国人観光客(なぜかアジア系が多い)がもの珍しそうに巨大鳥居の前で記念撮影していたり、相当年配の人々がバスで乗り付けて参拝していたり、何もない平日の靖國神社は厳粛さよりものんびりした雰囲気が漂っていて、本当に気持ちの良い空間なのです。

 あるとき、いつものように境内を歩いていると、境内や参道の木々の一本一本に木札が巻きつけてあることに気づきました。
 木の名でも書いてあるのかと思って眺めると、そこには「○年○月植樹、○○部隊 生存者一同 連絡先△△」とか「○年○月植樹、□□飛行隊同期会 連絡先△△」といった情報が書かれてありました。

 人生の貴重な時間だけでなく命までも戦争に捧げたすべての人々が集まれる(帰って来れる)場であり、それを知らない世代の人にも黙して伝え続ける、靖國神社はそういう役割を担う唯一の場所なのか、と一年半くらいかかって通いながらようやく自分の心に刻み込まれました。閣僚参拝やA級戦犯合祀云々のニュースにいくら接しても一切の感慨がわかず、何も理解できなかった靖國神社の重要性が、ようやく肌身で感じ取れたのです。

 今日のような終戦記念日や祭事の時は、大量の黒い街宣車と警察車両、機動隊が付近を埋め尽くしていて、近づきたいとは思えませんが、少し落ち着いたいつもの雰囲気の平日に、自分なりの思いを込めて終戦記念日の参拝をしたいと心から願っています。そして、いつものように気持ちよく境内を歩いてきたいと思います。
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 再開4日目となりました。
 昨夜は2009年6月にこのWeblogを始めてから3年余でちょうど150回目の更新だったのですが、江差線の一部廃止問題を書き始めて熱くなってしまい、つい失念してしまいました。

 昨日までの150回のうち何を書いてきたのか、内容に関連する「タグクラウド」というもので集計してみますと、「JR東日本(クリックしたら下にスクロールしてみてください)」に関する内容が21回でトップとなりました。

 社会人野球の話題から株主総会レポ、東日本大震災、ダイヤ改正に関する皮肉や乗客が減ったり、LCC(ローコストキャリア)が台頭することによる危機感まで、若干関連の薄い内容もありますが、日本一(世界一?)の鉄道会社であり、我が地元であるJR東日本に対する愛憎が満ち溢れているようでありました。

 これから、このWeblogがどれだけ続くのかは分かりませんが、150回書き続けて一つだけ言いたいのは、JR東日本が日本の鉄道界の模範となるべきであり、そして、JR東海と協調(懐柔してもいい)して巨大連合を作り、飛行機などの他のライバル交通機関に対抗せよ!ということです。まずは一度くらい共同で企画きっぷでも作ってみろ!と思います。

 あの仲の良くなかった関西の鉄道各社(JR西日本含む)でさえ一部で協調して観光客を送客し続ける時代です。鉄道界全体が苦境に立たされるなかで、JR東日本と東海が反目し続けている理由などないはずですし、我々利用者に何のメリットもありません。

 JR東海の方が株価が高くて、規模はJR東日本の方が大きい、というアンバランスが良くないのかもしれません。
 もしかしたら両社のことだから、裏では相互不可侵なんて風潮があるのか、とも思ったり。

 そうだとしたら、利用者のためにはまったくならないので、東海道新幹線の熱海~東京間はJR東日本に、軽井沢~長野間など新幹線を含めた長野県内全路線をJR東海にそれぞれ割譲し、2社がどうしても協調しなければ運営できないようにすべきだ!
 などと、マニアの若干妄言めいたことを吐いたところで、151回目の更新を終わります......。

 明日からは少しでも役に立つことを書くよう頑張ります!

※写真の2009年に廃止された寝台特急「富士」(東京~大分)のように、JR東日本、東海、西日本、九州という4社に渡るような全国ネットワークJRならではの直通列車を復活させるべきだ!(今日は「べきだ!」が多いですね......) 
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 再開3日目です。
 昨日、JR北海道が10月にダイヤ改正を行うという「公式発表」された話題について書きましたが、もう一つ、同時期に「非公式」として発表された内容がありました。
 江差線(函館・五稜郭~木古内~江差、約80km)のうち、木古内と江差の間(約42km)の廃止へ向けてJR北海道が動き出したというのです(江差線付近の路線図はこちら)。

 今月9日に新聞各紙で一斉に報じられている内容を総合すると、JR北海道は江差線の木古内~江差間を「2014年春にも廃止する方針を固めた」(北海道新聞)ことが7日に明らかになったとのことです。

 その理由についてJR北海道は「11年度の輸送密度(1キロ当たりの1日平均利用者数)が41人とJR北海道の中で最も低く、大幅な赤字で収支改善が期待できないため(北海道新聞)としており、沿線自治体である江差、上ノ国、木古内の3町と「これから協議を進めたい考え」(産経)があるようです。

 これに対し、沿線3町からは「収支が悪いという説明は受けているが、廃止は寝耳に水だ」(産経)という声が上がる一方、朝日新聞によると江差町の浜谷一治町長は「江差線の状況からすれば無理は言えず、わからないわけではない」と一定の理解を示したとされています。また、北海道新聞も8月10日の社説で「採算が見込める輸送密度8000人をはるかに下回っているだけに、いずれは廃止やむなしとの見方も地元にはあったようだ」と明かしています。
 「北海道内の路線で輸送密度が100人以下は同区間と札沼線(学園都市線)北海道医療大学~新十津川(89人)だけで、以前から廃止の可能性が指摘されてきた(朝日新聞)のも事実のようです。

 加えて、江差線を取り巻く近未来の変化を考えると、この区間が廃止されるのは、おおむね予想されていたことといえます。

 JR北海道のなかでトップともいわれる閑散区間であるうえに、2015年度に現在の東北新幹線が新青森から函館まで延伸(北海道新幹線)されることになっています。これにともない、並行在来線である江差線の五稜郭~木古内間は第三セクター化されることがこの5月に決定しています。
 そのため、木古内~江差間だけがJR北海道の路線として取り残されることになります。JRにとって超赤字区間だけを存続しても何らメリットはありません。

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 五稜郭と木古内の間は、北海道と本州を結ぶ貨物列車の運転ルートとなるだけに、廃線するわけにはいきませんし、沿線には人口4万人弱の旧上磯町(現北斗市)と同5000人の木古内町の大部分が含まれており、利用客はそれなりに見込めます。

 これ対して木古内と江差間は、沿線の大部分を占める上ノ国町の人口が6000人弱、終点の江差は支庁(「道」の出先機関で現在は振興局という名称)を置く檜山地方の中心地ですが、人口が減りに減ってついに9000人弱にまでなってしまっています。
 また、江差町内唯一の駅である江差駅は市街地から離れた住宅地で線路が途切れており(写真右上)、江差の人にとって鉄道がそれほど便利な存在ではないのかもしれません。港がある江差中心部から函館へは路線バスが1日6往復運転されており、所要時間も運賃もJRとほとんど変わりません。JRの利用者が少ないのは、そういう背景があるのでしょう。

 このように、廃止すべき要因が嫌というほどあるのは十分に理解できる、できるのですが、やはり、また北海道に鉄道空白地帯ができてしまうのは、とても悲しい。

 JR東日本だって、並行在来線の第三セクター化で取り残された大湊線を見捨てなかったじゃないか!
 しかも「リゾートあすなろ下北」なる観光列車まで走らせ、接続する第三セクター鉄道「青い森鉄道」で「青春18きっぷ」客に通過乗車させてまで、客を呼び込もうとしています。
 もちろん、陸海自衛隊の基地を擁した人口6万の「むつ市」(加えて人口4500の横浜町も)を抱える大湊線と比べると、江差線の木古内~江差間の沿線人口は4分の1もない。けれど、歴史的な江差の街には観光資源も多いですし、奥尻島(人口3500超)の玄関口でもある「観光地」なのです。

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 「しかし、それらが十分に生かされているとは言い難い。公共交通による移動手段が限られていることが一因とも考えられる。新幹線停車駅の木古内は、本州から訪れる観光客の檜山管内への玄関口になり得る。そうした情勢も踏まえて、渡島半島全体の振興につながる交通網整備を進めるべきだろう」(北海道新聞8月10日社説)

 新幹線駅となる木古内は、新たに江差や奥尻、城下町松前への観光拠点となりうるはずです。そう考えれば、北海道新幹線の開業を機に、ローカル鉄道にも発展的な動きをしてもいいじゃないか......。
 江差線や大湊線と同様に、国鉄時代に廃止対象を絞り込むための「全国赤字83線」に指定されていた日南線も枕崎線も、JR九州が懸命にテコ入れして観光客を呼び込んで存続させています。

 新幹線で都市間さえ結べば、あとの弱小路線は切り捨てるだけでいいのか?
 「新幹線開業=ローカル鉄道の衰退・廃止」ばかりが続いている現状を見るにつけ、何のため、誰のために新幹線を作ってるのか? 疑念ばかりが残ります。


※中ほどの写真は江差駅付近の様子。町はずれの住宅地で線路が途切れており、役所や港がある中心部へは徒歩15~20分ほどかかる。
※下の写真は北海道新幹線の駅が作られる予定の木古内駅。並行在来線の第三セクターには写真のようなJR(国鉄時代)の中古車両が格安で譲渡される予定
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 再開2日目になりました。
 JR北海道が再来月(10月)27日に独自のダイヤ改正を行うことが先日発表されました。(詳細はこちら[PDF]

 札幌から石狩当別を通り新十津川まで80km弱を結んでいる札沼(さっしょう)線のうち、途中駅の北海道医療大学駅まで「学園都市線」と称している札幌近郊の約30km区間を電化。これに伴う改正で、10月からは札幌通勤圏の電車が一体化して運行されることになるそうです。

 今までディーゼルカー(気動車)で運転していた札沼線の一部が電化によって高速化・増発されて「便利」になる一方、古くから電化している室蘭本線の一部区間(室蘭~苫小牧)では、逆に電車からディーゼルカー化して「不便」にするという変更も予定されています。

 室蘭本線は、室蘭~東室蘭(室蘭)~苫小牧(正確には次の沼ノ端駅)間で電化され、特急電車の「すずらん」や普通列車は主に国鉄時代の赤い電車(右上写真)で走っていたのですが、10月の改正後は室蘭と苫小牧間を結ぶ普通「電車」をディーゼルカーによるワンマン運転の普通「列車」に変えるというのです。
 「電車」の高速性を捨てて、わざわざ速度が遅い「ディーゼルカー」にグレードダウンする格好となります。

 ここを読んでいるような鉄道に詳しい方々は「あ、なるほど」と事情が分かるとは思いますが、これはなかなか見られない不思議な「改正」です。

 一言で言うと、「客がいないから電車を動かすのがもったいない!」ということが理由です。
 JR北海道の「電車」は最短で3両編成にしかならないのですが、「ディーゼルカー」にすれば1両だけでも運転することができますし、車掌を載せないワンマン運転も可能です。運行にかかる無駄が省けるというわけです。
 もう一つは、短編成やワンマン化に対応した新しい電車を造るお金がないという事情もあるようです。

 電化しているのに、電車ではなくディーゼルカーが走っている場所は全国に幾つかあります。
 有名なところでは羽越本線の村上~酒田間で、特急は「電車」ですが、普通列車はすべてディーゼルカーで運転されています。江差線の五稜郭~木古内間も「津軽海峡線」として電化されてますが、普通列車はディーゼルカーしかありません。

p120812p2.jpg もう一つは、九州新幹線の開業で第三セクター化されてしまった旧鹿児島本線の「肥薩おれんじ鉄道」で、貨物列車を電気機関車で高速運転するために電化設備自体は残していますが、第三セクター化と同時に、列車はすべてがディーゼルカーに変わりました。

 これらに共通しているのは、「交流」で電化されている区間だということです。羽越本線は途中まで直流区間も交じっています。

 日本の主要路線の多くは「直流」での電化ですが、直流型の電車に比べ、交流型電車を造るためには余分なコストがかかるといわれています。
 交直両用の電車だとさらにコスト増となるために、羽越本線では直流と交流が交わる区間だけ(この区間の客が少ないという理由もありそうですが)、ずっとディーゼルカーのままで放置されています。

 日本の鉄道界に君臨するJR東日本でさえそんな状態ですから、JR北海道が車両を新造するのはかなり困難なことといえます。旧型の赤い国鉄型電車をまだ使っているくらいですから、その苦しさが分かるかと思います。

 電車化と非電車化が同時に行われるという稀有なJR北海道のダイヤ改正。この情報を見ながら、今後は他の「電化ローカル路線」で同じようなことが起きるかもしれない、とふと思いました。

 北海道の岩見沢~旭川間なんかも、今の赤い普通電車が老朽化で廃車となったとき、札幌圏で走っているような緑色の新しい電車を客が少ない区間に入れるのか否か。
 時速130kmで特急電車がビュンビュン行き交うなか、1~2両のディーゼル普通列車が架線の下をのんびり走っている様子が少し目に浮かんできたりしました。


※写真右上は10月のダイヤ改正で室蘭本線から撤退する国鉄型の711系電車。登場から30~40年経つので廃止は近いとみられる。
※左下は「肥薩おれんじ鉄道」のディーゼルカー、全線で電化しているが、電車は1両もない。

※江差線廃止に関する話題は別に翌日書きました
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 先週木曜日深夜に50回目を書いて以来、一週間以上も休んでしまいました。
 一日くらいなら休んでもいい、と思っていたら、ついずるずると連敗街道を走ってしまいました......。今日からまた頑張ります!

 最近「鉄分補給」なる言葉を時折聞くのですが、これは実際に栄養価の「鉄分」を摂取する言葉から転用したもので、鉄道趣味にかかわることに接して心が満たされた、とかいう意味で用いられているようです。
 今日、ここの更新を再開するための力をもらうために、私も昨夜「鉄分補給」なるものをしてみました。
 といっても、バーチャルの世界です。
 米google社が運営する「YouTube(ユーチューブ)」という動画投稿サイトで、鉄道に関する色んな映像(動画)を探してみたのです。

 いざ、実行してみると、古い時代の貴重な映像が多々出て来て実に面白い!特に一般の方が撮影して公開したビデオ映像が非常に素晴らしいのです。
 ほとんどが5~10分の映像なのですが、愉快な映画を1本見たときのような充実感に浸れました。

 あまりに感銘したので、誰かに話したくてたまらず、勝手にその一部をここで紹介してみます。

※なお、公開した本人の方が掲載を中止したり、映像の著作権者が申し立てたりして消えてしまうこともありますので、その際はあきらめてください......。また、音が出ますので、深夜帯や職場ではご注意のほどを...。

(2008/11/21 masagaki036さん公開、6分53秒)

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 山陰本線の福知山~城崎間が電化される直前、1986年秋に個人の方が撮った映像です。「旅」と題するように、ホームでの乗降風景から行き違いでの停車、車内、車窓とさまざまな視点から撮っているのが素晴らしく感じます。
 2分00秒頃から始まるドアを開け放したままで走る様子や車内の白熱灯、ガラガラの車内、停車時にガクっと揺れる客車。そして、4分15秒には「タタタタタタタン...」と懐かしい響きのオルゴールが鳴って車内放送。ラストの和田山駅では、大量に放置された青い旧型客車。窓が広告媒体に使われている風景など、国鉄末期の寂しさまでがちゃんと映されていて、私にとっては「たまらない映像」です。何度も見てしまいました。

 このほか、「なつかしの国鉄シリーズ キハ80系特急オホーツク 1」(2012/1/15 chinbeyさん公開、5分23秒)も非常に興味深い映像で、1986年当時の「特急オホーツク」の車内を1号車から順に歩きながら映しています。リクライニングもしない2人掛けシート(当時はこれでも憧れの存在だった)や、入った瞬間に「いらっしゃいませ!」と迎えられる食堂車など、実に懐かしい......。

(2012/2/19 HANSHINdensyaさん公開、1分22秒)

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 昭和35年、高崎を6時5分に出発する上野行の普通列車の悲惨な混雑ぶりを撮影したTV映像(おそらくNHK?)。旧型客車のドアにしがみついたり、機関車のデッキ部分に人があふれていたり、「痛勤」どころではなく、まさに「手すりに命を託しての数十分」(ナレーション)の通勤風景が記録されています。
 既に当時、高崎線は電化されているので、電線の支柱があったり、反対の線路を高速で電車が通過していったり、一つ間違えれば命を落としかねない状況です。
 この頃の時刻表によると、高崎駅から上野方面へ6時台はこの724列車(休日運休)も含め、客車列車が2本、電車が2本も運転されているのですが、それだけでは到底間に合わなかったようです。私のような年代には未知の驚愕映像でした。

 実は高崎線では、この映像が撮影された13年後の1973(昭和48)年、労働組合の順法闘争に端を発して列車本数の削減が強行され、ついに乗客暴動事件(上尾事件=映像はこちら)まで起きています。長い間、国鉄が客のほうを向いていなかったために、こうした無茶な通勤列車を生んでいたのか、とも見えてきます。

■名画3:国鉄だって頑張っていた!とも感じさせる懐かしいCM

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 先ほど、国鉄の「負」の部分を書いたので、最後は少し「にやり」とするような懐かしい映像も交じえて終わりたいと思います。

 「国鉄のCM(※国労)」(2011/3/20 kokutetu113keiさん公開、15秒)は国労が独自に作ったCM。当時、国鉄当局とは別にこんなCMが作れるほど力があったのだな、と驚きます。国鉄崩壊を予想させる少し悲しげな雰囲気が印象的です。

 一方、「国鉄&JR各社のCM詰め合わせ」(2011/3/20 kokutetu113keiさん公開、7分26秒)は、1970年代の「ディスカバージャパン」からJR発足、レールが結ぶ一本列島のJRダイヤ改正までのCM20数本をまとめた貴重な映像集です。ああ、こんなのあったよなあ、と思わず見入る方は私と似た年代か上の世代に違いありません。

 ということで、また面白い映像があったらこちらでご紹介していきます!

※左上の写真は国鉄型(色)ということで載せてみたイメージ写真です。
p120802.jpg すでに日が変わってしまいましたが、 ついに50回目となりました。

 写真は東急東横線の渋谷駅の様子(先ほどの終電間際)で、来年の今頃は、駅自体が跡形もなく消されて、こんな光景は見ることができなくなります。

 近い将来に消えるとなると、それなりに意義深い風景に見えてくるのが不思議です。

 私は首都圏に住んで10年超しか経っていないのですが、昭和初期から続くこの栄光の渋谷ターミナル駅が消えることなんて、そのころは思いもよりませんでした。

 山手線を降りると同時に走り、行き止まり式のホームに停車中の終電を見てホッとし、最後尾の車両に乗り込む......そんなことも来年の春からはできなくなりそうです。

 昭和初期から脈々と続いてきた渋谷ターミナル、あと半年超の間は、別れを惜しみながら終着駅を味わっていきたいと思います。
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 49回目となりました。
 私は通勤に東京メトロの南北線を日々使っているのですが、ここには、相互乗り入れの東急目黒線とともに、第三セクターの埼玉高速鉄道の車両も乗り入れてきます。
 私がいつも乗る列車には埼玉高速鉄道の車両に当たることが多いのですが、そこでは男性向け美少女アニメからそのまま抜け出したような「川口みその」なるキャラクターを時折見かけることがあります。

 これは一体何だろう、と思って調べてみますと「鉄道むすめ」というもので、「実際の鉄道事業者の現場で活躍する制服を着たキャラクターコンテンツ」だそうです。
 展開しているのは、トミーテックという会社で、あの「TOMY」です。プラレールやNゲージの鉄道模型だけでなく、鉄道を使ったこんなキャラクタービジネスまでやっていたようです。

 同社の説明によると、鉄道むすめは「全国各地の実在する鉄道事業者で、実際に活躍する様々な職種のキャラクター」であり、それらはフィギュアをはじめとした各種グッズとして販売されているほか、埼玉高速鉄道のように、鉄道会社が自社のPR目的に活用していることもあるようです。

 100年以上続く男中心社会の鉄道会社ではありえないような空想世界ゆえに、男性が多い鉄道趣味人らに人気を集めているのか、今や全国30以上の鉄道会社の乗務員やアテンダントなどの「キャラクター」が創られています。

 その名前の付け方がまた面白く、たとえば埼玉高速の運転士だという「川口みその」は、川口市内を走っていて、浦和美園駅があるからから名付けたんだな、ということがイメージできるようになっています。
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 いくつか例を挙げると「栗橋みなみ」は東武鉄道とか、「橋本わかば」は京王電鉄、「羽田あいる 」は東京モノレール、「大月みーな」は富士急行、「久慈ありす」は三陸鉄道、「和倉ななお」はのと鉄道、「但馬みえ」は北近畿タンゴ鉄道といった具合に、鉄道に詳しい層なら思わず「にやり」とするようなキャラクター名(駅名や沿線の地名からとっています)を付けており、絶妙なものがあります(東武の駅員だという「渡瀬きぬ」はちょっと......という感もありますが) 。

 あまりにもアニメの世界が色濃く出ているために、好き嫌いがあり、一般に広く受け入れられるものではないとは思いますが、三陸鉄道や銚子電鉄、上田電鉄、北近畿タンゴ鉄道、一畑電車などの地方鉄道が活性化に役立てようとしていることを考えると、こうした世界からの知名度向上や訪問客誘致のアプローチも悪くはないのかなと思います。

 鉄道むすめが始まったのは2005年ですが、現在もJR各社は、子会社の車内販売員レベルでしかキャラクター化は認めてはいないようです。もし、JRがこういうキャラクターを認知した時にはさらに広まるのかもしれません。

 で、素人ながらの考案ですが、さらにある分野の女性層に受け入れてもらうために、車掌の格好をした「執事」風なキャラクターとかいかがでしょうか。立膝をして、「お嬢様」の言うことをなんでも聞いてくれそうなイメージで。
 また、私のような国鉄好きには、赤字ローカル線のみどりの窓口係員「永年赤子(ながとし・あかこ)」とか、当局経営陣との団体交渉に望むリーダー格組合員「須戸良子(すと・よしこ)」とか......。
 私以外の誰も買わないかもしれませんが。

※写真上は埼玉高速鉄道の「川口みその」(同社サイトより)、写真下はトミーテックによる「鉄道むすめ」の公式サイト