アニメの世界感で活性化を図ろうとする鉄道会社

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 49回目となりました。
 私は通勤に東京メトロの南北線を日々使っているのですが、ここには、相互乗り入れの東急目黒線とともに、第三セクターの埼玉高速鉄道の車両も乗り入れてきます。
 私がいつも乗る列車には埼玉高速鉄道の車両に当たることが多いのですが、そこでは男性向け美少女アニメからそのまま抜け出したような「川口みその」なるキャラクターを時折見かけることがあります。

 これは一体何だろう、と思って調べてみますと「鉄道むすめ」というもので、「実際の鉄道事業者の現場で活躍する制服を着たキャラクターコンテンツ」だそうです。
 展開しているのは、トミーテックという会社で、あの「TOMY」です。プラレールやNゲージの鉄道模型だけでなく、鉄道を使ったこんなキャラクタービジネスまでやっていたようです。

 同社の説明によると、鉄道むすめは「全国各地の実在する鉄道事業者で、実際に活躍する様々な職種のキャラクター」であり、それらはフィギュアをはじめとした各種グッズとして販売されているほか、埼玉高速鉄道のように、鉄道会社が自社のPR目的に活用していることもあるようです。

 100年以上続く男中心社会の鉄道会社ではありえないような空想世界ゆえに、男性が多い鉄道趣味人らに人気を集めているのか、今や全国30以上の鉄道会社の乗務員やアテンダントなどの「キャラクター」が創られています。

 その名前の付け方がまた面白く、たとえば埼玉高速の運転士だという「川口みその」は、川口市内を走っていて、浦和美園駅があるからから名付けたんだな、ということがイメージできるようになっています。
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 いくつか例を挙げると「栗橋みなみ」は東武鉄道とか、「橋本わかば」は京王電鉄、「羽田あいる 」は東京モノレール、「大月みーな」は富士急行、「久慈ありす」は三陸鉄道、「和倉ななお」はのと鉄道、「但馬みえ」は北近畿タンゴ鉄道といった具合に、鉄道に詳しい層なら思わず「にやり」とするようなキャラクター名(駅名や沿線の地名からとっています)を付けており、絶妙なものがあります(東武の駅員だという「渡瀬きぬ」はちょっと......という感もありますが) 。

 あまりにもアニメの世界が色濃く出ているために、好き嫌いがあり、一般に広く受け入れられるものではないとは思いますが、三陸鉄道や銚子電鉄、上田電鉄、北近畿タンゴ鉄道、一畑電車などの地方鉄道が活性化に役立てようとしていることを考えると、こうした世界からの知名度向上や訪問客誘致のアプローチも悪くはないのかなと思います。

 鉄道むすめが始まったのは2005年ですが、現在もJR各社は、子会社の車内販売員レベルでしかキャラクター化は認めてはいないようです。もし、JRがこういうキャラクターを認知した時にはさらに広まるのかもしれません。

 で、素人ながらの考案ですが、さらにある分野の女性層に受け入れてもらうために、車掌の格好をした「執事」風なキャラクターとかいかがでしょうか。立膝をして、「お嬢様」の言うことをなんでも聞いてくれそうなイメージで。
 また、私のような国鉄好きには、赤字ローカル線のみどりの窓口係員「永年赤子(ながとし・あかこ)」とか、当局経営陣との団体交渉に望むリーダー格組合員「須戸良子(すと・よしこ)」とか......。
 私以外の誰も買わないかもしれませんが。

※写真上は埼玉高速鉄道の「川口みその」(同社サイトより)、写真下はトミーテックによる「鉄道むすめ」の公式サイト