あの格安団体高速バス会社、路線フェリー各社に触手

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 13日目になりました。
 今日、ニュースリリースで知ったのですが、団体ツアー形式の格安高速バスで知られるWILLER TRAVEL(ウィラー・トラベル)社が、日本各地の路線フェリー会社と提携し、チケット販売などを行う「フェリー・船ポータルサイト」なるものを開設していました。
(同社については以前も書いていますが、とにかく元気な企業です)

 最近、高速バスを運行する路線バス各社が路線フェリー会社と組んで、「東京~青森~函館」みたいなセット商品を販売しているケースは幾つかありましたが、ウィラー社はそうした「バス&フェリー」セット商品の販売するだけにとどまらず、自らが「旅行代理店」として、24社(現時点)の航路チケットをインターネットで販売できるようにしたようです。
 
 国の規制に守られた半公共事業体のような鉄道会社や路線バス会社ではなく、その「半公共事業体」の中でも、事業内容がかぶらず、なおかつ青色吐息気味の中小企業が多い船会社に狙いを定めたところがすごい......。

 路線航路を運航する船会社の多くは、「生活の足を守る」との名目で行政から赤字補填を受けているケースが多いのですが、もはやそれでも維持することが難しい状況。先日まで行われた高速道路の大幅割引政策では多大な影響を受け、幾つかの船会社が倒産に追い込まれています。

 しかも鉄道やバスよりも長い歴史を誇る保守的な業界ですから、大きなイノベーションを自ら起こすのが非常に難しい。そこへ現れたのがイノベーションの塊のような企業。船会社にとっては自らの事業を脅かす存在でもないし、救世主のごとく見えたのかもしれません。

 島旅が好きな人間としては嬉しい出来事のはずなのですが、正直言うとなぜか引っかかるものがあります。

 個人的に「団体高速ツアーバス」があまり好きではないことと、そしてそれらを利用する人々に向けたサイトのため、こんな雰囲気なのです。狭隘な思想を持つ中年男にこれは馴染めない......。
(というか、船旅のメリットと題した説明で「船の中では、ジム、カラオケルーム、レストラン、ゲームコーナー、大浴場等が備わっていたり、さまざまなイベントが用意されていますので退屈させません」と書かれていますが、これ、どこかのクルーズ船の話ではないだろうか......?)

 そもそも路線航路のチケットなど、よほどの混雑期や上級船室を除いて予約は一切不要です。行ったらその場で乗れるから「生活路線航路」であり、税金さえつぎ込まれているのです。ゆえに一部を除き予約することに意味があるのかどうか......。

 などと色々皮肉めいたことを書いてしまいましたが、このサイト、知名度の高いフェリー会社だけでなく、酒田市定期航路事業所(飛島航路)みたいな零細事業社も取り込んでいる点は、好感が持てますし、各船会社の情報もきれいにまとめられていて、非常に使いやすいのもメリットです。
 サイト開設を機に路線航路が少しでも活性化すれば嬉しいことですし、離島の観光振興という面では非常に心強い出来事のようにも思えます。
 WILLER TRAVELの「フェリー・船ポータルサイト」、ぜひ事業として成功してほしいと願っています。

 もちろん、航路に乗るまでは鉄道や路線バスなど、「公共交通機関」を使って頂きたいとは思いますが......。