ささやかな旅の愉楽(東海道新幹線「こだま」/東京湾納涼船)

 酷暑の中、糊口をしのぐ仕事に忙殺された結果、ついに28日ぶりとなってしまいました。ここに戻って来れてよかったです...。

 夏の終わりが近づき、ようやくほんの少しの時間ができましたので この間の「旅」に関係しそうな出来事を少し書き残してみます。

 

p100827.jpg■こんなに快適な東海道新幹線は生れて初めて?

 このお盆に大阪へ帰省してきました。今回は妻子が先に帰ったので、どうにかして「旅」にできないかと真剣に思慮。混雑して面白くもない「のぞみ」以外の方法で、なおかつそれほど時間がかからない方法はないか、と考えた結果は「こだま」に乗ることでした。

 「こだま」で行くのなら、とJR東海の「ぷらっとこだま」(列車限定の割引旅行券)を使おうと思って前日にJTBを訪ねたのですが、お盆期間中はグリーン車も含めほとんどが売り切れ状態。仕方がなく、自由席券を購入し、「ぷらっと」では乗ることができない朝一番の新大阪行の「こだま」633号(東京6:56発)に新横浜から乗ってみました。

 「ぷらっと」で使えないくらいなので、結構混む列車なのかな、と思ったらこれがガラガラ。最初は自由席の3割くらいは埋まっていたのですが、小田原を出た頃には2割くらいの乗車率となり、浜松を過ぎた所で客の数を数えてみましたら、80席の定員にわずか11人......。他の自由席車両も似たようなもので、何やら日中のローカル線列車の有様。「ぷらっと」が使えない列車なので、新大阪まで乗り通す客も私以外に見かけませんでした。

100827p2.jpg ここまで空いていたのは、お盆期間中の平日なのでビジネス客が少なく、帰省客は新大阪までの間に「のぞみ」と「ひかり」13本に追い抜かれるような列車には見向きもしない、そんな理由があったのかもしれません。

 新横浜から新大阪まで3時間37分(東京からだと3時間57分)、各駅で満員の「のぞみ」や「ひかり」に追い抜かれながら、時にホームに降りて売店に行ったり(通過待ちのため各駅で3~5分の停車時間がある)、貸切のような車内でぼんやりと車窓を眺めたり、本を読んだり、時に眠ったり、と東海道新幹線に乗っていることが信じられないような快適な「旅」をすることができました。

 窮屈だけど速い「のぞみ」の2時間36分、意外に混んでいるけど客層が面白い「ひかり」の約3時間、空いているけど遅い「こだま」の4時間弱。その時に与えられた時間と気分で選んでみるのも面白いのではないでしょうか。

 余談ですが、「のぞみ」に乗らざるを得ない場合、新大阪発着の臨時便の自由席が案外「穴」ではないかと、思ったりしています。特に新大阪発着の定期便の間を縫って組まれた3桁(000号)臨時便は空いていることが多い気がします。N700系の2桁(00号)の定期列車を避けることが多いこの頃です。

※ご参考までに、少し昔に書いた「ぷらっとこだま」の利用報告記がこちらにあります。また、日帰りで「のぞみ」を使った京都格安移動プランの報告記もあったりします。ご興味のある方はどうぞ!

 

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■海が見たい(呑みたい?)時に最適「東京湾納涼船」の謎 

 東京から伊豆大島や八丈島など伊豆七島への航路を持つ東海汽船。首都圏ではかなり有名ですが、夏になると恒例の「東京湾納涼船」なるミニクルーズも行っています。

 普段、島への航路に使っている大型客船をそのまま「ビアガーデン船」に変えてしまうもので、2500円で2時間弱の航海中はドリンク類が「飲み放題」ということになっています。

 島旅へ出られるような時間はないけれど、大型船に乗って海を眺めたいという思いを叶えてくれ、かつ乗船中に小銭をジャラジャラさせて自販機を往復する手間も省ける、という私にとっては一石二鳥?の船です。(ただ、下船する時に大変なことになっている御仁が多数...私も含め)

 先日3年ぶりくらいに乗ったのですが、「今回は真面目に風景を楽しもう!」と誓いを立てたものの、レインボーブリッジを過ぎたあたりから、紙コップの重なりが太くなってきまして......。乗った方なら分かると思うのですが、この船、飲兵衛の一体感というか、阿呆騒ぎというか、飲酒を促進させるような独特な雰囲気がありまして。かつ、ビールのスタンドが船内いたる場所にあり、航海中は絶対に供給を切らさないようにしていたりします。そしてついつい......。

p100827p4.jpg で、今日はそんな我が阿呆な出来事を書きたかったわけではありません。

 この「東京湾納涼船」に使われているのは、「伊豆大島・神津島」「三宅島・八丈島」の2航路に使われている大型客船「さるびあ丸」なのですが、この東海汽船という会社は大型船を2隻しか持っていません(もう1隻は旧型の「かめりあ丸」)。かつ、納涼船が運航される夏季は両航路とも「書きいれ時」で毎日運航をしています。

 一体、どうやって船のやりくりをしているのかと、「さるびあ丸」の動きを時刻表を元に追いかけてみました。(航路図はこちらに)

 竹芝桟橋 19:15発 東京湾納涼船として湾内航行

 竹芝桟橋 21:00着 (酔っぱらい?客がすべて下船するのは21:20頃)

 竹芝桟橋 23:00発 「伊豆大島・神津島行」として出航(夜行便)

  (途中、伊豆大島・利島・新島・式根島に寄港)

 神津島 8:55着

 神津島 9:30発 折り返し「伊豆大島経由・東京竹芝桟橋行」として出航(昼行便)

 (途中、式根島・新島・利島・伊豆大島に寄港)

 竹芝桟橋 17:30着

 竹芝桟橋 19:15発 東京湾納涼船として湾内航行

 (......以下、前日と同じ) 

 この船、ほとんど働きぱなしです。

 一般航路→東京湾納涼船に変わるまで、わずか1時間45分。乗船や下船の時間も考えると、実質は1時間ちょっとです。この間に「ゆかたダンサーズ」が踊るステージを組み、イベント用の機材を準備し、多数の「屋台」もセットする。また、団体客用の個室宴席(主に1等船室があてがわれる)の準備もある。一体、どうやって「仕込み」をしているのか、すごく気になっています。(撤収作業も同様)

 一度、「検証」も兼ねて、東京湾納涼船→神津島→竹芝桟橋という1泊2日の「ダブルヘッダー」をやってみたい、とか思っていたりするのですが......。誰か一緒に行きませんか(笑)

 

 なんだか、久しぶりに書いたせいか、だらだらと長くなってしまいました。

 

 ■最後に業務連絡です

 拙著『週末夜汽車紀行』北海道新聞や鉄道専門誌などに掲載されました。マスコミなどの掲載一覧ページを作りましたので一度ご覧頂けましたら幸いです。

 それでは酷暑が続きますが、皆さんお元気で!

 なるべく近いうちにここに戻って来れれるように頑張ります。