5日目です。
日曜日の夕方、民放テレビ局の「ニュース風エンタテインメント番組」を見ていましたら、小笠原諸島の特集が放映されていました。
小笠原は今月中に世界自然遺産に登録されることが確実視されており、それを先取りした形の現地ルポでした。
来週19日(日)にも続編が放送されるようですが、現時点での「結論」めいたものは、「小笠原の自然は、交通が不便で行きづらいゆえに守られた」というもの。
まさにその通り!と、テレビ番組を見ながら珍しく頷いてしまったのですが、小笠原諸島という場所は、これまで日本で登録されたどの世界遺産よりも行きづらい場所にあり、だからこそ、世界自然遺産への登録が確実視されるほどの自然が守られたのだと思います。
今、日本、いや世界のいたる所が観光地化されていて、だいたいの場所が気軽に行くことができます。たとえ、それが南極や北極であったとしても、世界中どこでも物見遊山目的で行くことが可能です。
小笠原諸島は日本国内の東京都内ですが、余程の政治的な理由で自衛隊の「飛行艇」にでも乗らない限り、本土からは25時間半かけて船で行くしかありません。
一昼夜、25時間半という時間を、気分が悪くなりそうな「おがさわら丸」に揺られ続けなければ、たどり着けない地です。
飛行機だと、地球の裏側でさえ行けるような時間を費やさないと行けない太平洋上の孤島なのです。
私は先日初めて行ったのですが、正直、私のように自然保護に疎い人間からすると、ここまで自然を過保護にする必要があるのか、と思えるほど「規制」が多く、あっ気にとられたこともあったのは事実です。
ただ、それを行政の要請ではなく、地元の人々が自然に「守ろう」という意識でやっているので、どこか守らなければならない気になり、単なる旅行者である私でさえも、その貴重さがひしひしと伝わってきました(もちろん、自然破壊を企む人種もほんの一部にいるようですが)。
2007年末に村民1400名弱から得たアンケートを全部ひとつひとつ読ませて頂いたなかで、私がもっとも共感したのは下記の声です。
「世界遺産後の航空路開設となれば、内地の大手がやってきてリゾート化してしまう。屋久島の様に自然をメチャクチャにして欲しくない。今のままで十分」。
もちろん、私は単なる旅行者なので何も言う権利(今は東京都民でさえない)はないのですが、小笠原への空港建設の賛否については、この声こそが、自分の思いを代弁している気になりました。
こういう人が「住民(村民)」として住んでいる小笠原こそが、日本のなかで真の「世界自然遺産」であるにふさわしい気がしてなりません。