今もできる長距離鈍行列車の旅

p110610.jpg 4日目となりました。
 その昔、主要な国鉄路線には、300~400kmの距離を走る長距離の「鈍行」列車が多数ありました。
 明らかに無駄と思えるほどに車両を連ねていて、朝夕のラッシュ時間帯以外はいつもガラガラ......。
 これじゃもったいない!空気を運ぶくらいなら格安で暇な学生にでも乗ってもらおう!ということで作られたのが今の「青春18きっぷ」でした。

 その後、長距離を走る普通列車はほとんど廃止されてしまい、短距離・短編成の「各駅停車」や「快速」ばかりになったのはご存知の通りだと思います。

 もはや「鈍行」という言葉自体も死語になりつつありますが、一体、2011年の今、日本にどのくらいの長距離普通列車があるのか? ついつい気になって時刻表で調べてみましたまずはこちらの一覧表を見てみてください。

 さすがに400kmも走る列車はありませんでしたが、意外にも300kmを走る普通列車が3本残っていて、200km以上まで範囲を広げるとかなりの数になりました。

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 福井県の敦賀から兵庫南端の岡山県境付近まで「アーバンネットワーク」を広げるJR西日本の「通勤電車」が多いのですが(福井、滋賀、京都、大阪、兵庫と5県にまたがるおそるべき長距離運転...)、それ以外でも、運転時間も6~8時間のものがまだ残っていて、時刻表を眺めているだけで乗りたくなってきました。

 1位に輝いたのは岡山から下関まで、7時間24分かけて直通する山陽本線の普通列車で、その距離は363km。日本一の長距離普通列車です。
 ただ、「通勤電車」の集合体的な列車であるために、18分の停車時間がある岩国駅以外では駅に降りるのが難しく、客の入れ替わりも激しいために、車内で駅弁を食べるような雰囲気でもなさそうです。
 途中の車窓は悪くなく、次のダイヤ改正では消されてしまいそうなので、一度乗り通してみたいところです。岡山駅で東京発の寝台特急「サンライズ」に接続しているので、1泊1日という芸当も可能だったりしますし。

 2位にある根室本線の滝川発釧路行列車は、「これこそが日本一の長距離鈍行!」といえる存在です。運転距離では山陽本線の列車に負けますが、運転時間では日本一で、しかも車両は古いディーゼルカー。途中駅での長い停車時間も昔の「鈍行」をほうふつとさせます。
 学生時代に滝川から釧路までの全区間を乗ったことがあるのですが、車窓が楽しく、途中駅で何度か降りて「休憩」できることもあり、8時間が意外に短く感じた記憶があります。これはお勧めです。

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 6位の宗谷本線の普通列車は拙著『週末鉄道紀行』のなかでも取り上げていますが、車窓の面白さでは日本一だと私は思います。
 また、特急列車の本数が少ない宗谷本線では、意外と「使える普通列車」でもあります。北海道へ行った際はぜひ!

 20位の飯田線の列車は、運転距離はそれほど長くないのですが、停車する駅は全部で95!駅数ではおそらく日本一で、時間も6時間半~7時間かかります。まさに「ローカル線長距離鈍行」という雰囲気です。
 飯田線は車窓も楽しいですし、東京~名古屋~大阪を「18きっぷ」で1日移動する際にも使えるので、ぜひ一度チャレンジせねばと決意した次第でした。

 22位に九州では唯一、日豊本線の列車が入っていますが、車窓は良いのに、夜間帯を走るのが残念なところです。

 このほかは「通勤電車」が運用の都合でたまたま長距離となった形の列車で、多分、全区間を乗り通す客など皆無だとは思います。そういう意味では興味が湧いてきます。ただ、乗りに行くのは難しそうですが。

 以上、こちらの一覧表は、「青春18きっぷ」での旅の際などに参考にしてみてください。