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 再開4日目となりました。
 昨夜は2009年6月にこのWeblogを始めてから3年余でちょうど150回目の更新だったのですが、江差線の一部廃止問題を書き始めて熱くなってしまい、つい失念してしまいました。

 昨日までの150回のうち何を書いてきたのか、内容に関連する「タグクラウド」というもので集計してみますと、「JR東日本(クリックしたら下にスクロールしてみてください)」に関する内容が21回でトップとなりました。

 社会人野球の話題から株主総会レポ、東日本大震災、ダイヤ改正に関する皮肉や乗客が減ったり、LCC(ローコストキャリア)が台頭することによる危機感まで、若干関連の薄い内容もありますが、日本一(世界一?)の鉄道会社であり、我が地元であるJR東日本に対する愛憎が満ち溢れているようでありました。

 これから、このWeblogがどれだけ続くのかは分かりませんが、150回書き続けて一つだけ言いたいのは、JR東日本が日本の鉄道界の模範となるべきであり、そして、JR東海と協調(懐柔してもいい)して巨大連合を作り、飛行機などの他のライバル交通機関に対抗せよ!ということです。まずは一度くらい共同で企画きっぷでも作ってみろ!と思います。

 あの仲の良くなかった関西の鉄道各社(JR西日本含む)でさえ一部で協調して観光客を送客し続ける時代です。鉄道界全体が苦境に立たされるなかで、JR東日本と東海が反目し続けている理由などないはずですし、我々利用者に何のメリットもありません。

 JR東海の方が株価が高くて、規模はJR東日本の方が大きい、というアンバランスが良くないのかもしれません。
 もしかしたら両社のことだから、裏では相互不可侵なんて風潮があるのか、とも思ったり。

 そうだとしたら、利用者のためにはまったくならないので、東海道新幹線の熱海~東京間はJR東日本に、軽井沢~長野間など新幹線を含めた長野県内全路線をJR東海にそれぞれ割譲し、2社がどうしても協調しなければ運営できないようにすべきだ!
 などと、マニアの若干妄言めいたことを吐いたところで、151回目の更新を終わります......。

 明日からは少しでも役に立つことを書くよう頑張ります!

※写真の2009年に廃止された寝台特急「富士」(東京~大分)のように、JR東日本、東海、西日本、九州という4社に渡るような全国ネットワークJRならではの直通列車を復活させるべきだ!(今日は「べきだ!」が多いですね......) 
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 再開3日目です。
 昨日、JR北海道が10月にダイヤ改正を行うという「公式発表」された話題について書きましたが、もう一つ、同時期に「非公式」として発表された内容がありました。
 江差線(函館・五稜郭~木古内~江差、約80km)のうち、木古内と江差の間(約42km)の廃止へ向けてJR北海道が動き出したというのです(江差線付近の路線図はこちら)。

 今月9日に新聞各紙で一斉に報じられている内容を総合すると、JR北海道は江差線の木古内~江差間を「2014年春にも廃止する方針を固めた」(北海道新聞)ことが7日に明らかになったとのことです。

 その理由についてJR北海道は「11年度の輸送密度(1キロ当たりの1日平均利用者数)が41人とJR北海道の中で最も低く、大幅な赤字で収支改善が期待できないため(北海道新聞)としており、沿線自治体である江差、上ノ国、木古内の3町と「これから協議を進めたい考え」(産経)があるようです。

 これに対し、沿線3町からは「収支が悪いという説明は受けているが、廃止は寝耳に水だ」(産経)という声が上がる一方、朝日新聞によると江差町の浜谷一治町長は「江差線の状況からすれば無理は言えず、わからないわけではない」と一定の理解を示したとされています。また、北海道新聞も8月10日の社説で「採算が見込める輸送密度8000人をはるかに下回っているだけに、いずれは廃止やむなしとの見方も地元にはあったようだ」と明かしています。
 「北海道内の路線で輸送密度が100人以下は同区間と札沼線(学園都市線)北海道医療大学~新十津川(89人)だけで、以前から廃止の可能性が指摘されてきた(朝日新聞)のも事実のようです。

 加えて、江差線を取り巻く近未来の変化を考えると、この区間が廃止されるのは、おおむね予想されていたことといえます。

 JR北海道のなかでトップともいわれる閑散区間であるうえに、2015年度に現在の東北新幹線が新青森から函館まで延伸(北海道新幹線)されることになっています。これにともない、並行在来線である江差線の五稜郭~木古内間は第三セクター化されることがこの5月に決定しています。
 そのため、木古内~江差間だけがJR北海道の路線として取り残されることになります。JRにとって超赤字区間だけを存続しても何らメリットはありません。

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 五稜郭と木古内の間は、北海道と本州を結ぶ貨物列車の運転ルートとなるだけに、廃線するわけにはいきませんし、沿線には人口4万人弱の旧上磯町(現北斗市)と同5000人の木古内町の大部分が含まれており、利用客はそれなりに見込めます。

 これ対して木古内と江差間は、沿線の大部分を占める上ノ国町の人口が6000人弱、終点の江差は支庁(「道」の出先機関で現在は振興局という名称)を置く檜山地方の中心地ですが、人口が減りに減ってついに9000人弱にまでなってしまっています。
 また、江差町内唯一の駅である江差駅は市街地から離れた住宅地で線路が途切れており(写真右上)、江差の人にとって鉄道がそれほど便利な存在ではないのかもしれません。港がある江差中心部から函館へは路線バスが1日6往復運転されており、所要時間も運賃もJRとほとんど変わりません。JRの利用者が少ないのは、そういう背景があるのでしょう。

 このように、廃止すべき要因が嫌というほどあるのは十分に理解できる、できるのですが、やはり、また北海道に鉄道空白地帯ができてしまうのは、とても悲しい。

 JR東日本だって、並行在来線の第三セクター化で取り残された大湊線を見捨てなかったじゃないか!
 しかも「リゾートあすなろ下北」なる観光列車まで走らせ、接続する第三セクター鉄道「青い森鉄道」で「青春18きっぷ」客に通過乗車させてまで、客を呼び込もうとしています。
 もちろん、陸海自衛隊の基地を擁した人口6万の「むつ市」(加えて人口4500の横浜町も)を抱える大湊線と比べると、江差線の木古内~江差間の沿線人口は4分の1もない。けれど、歴史的な江差の街には観光資源も多いですし、奥尻島(人口3500超)の玄関口でもある「観光地」なのです。

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 「しかし、それらが十分に生かされているとは言い難い。公共交通による移動手段が限られていることが一因とも考えられる。新幹線停車駅の木古内は、本州から訪れる観光客の檜山管内への玄関口になり得る。そうした情勢も踏まえて、渡島半島全体の振興につながる交通網整備を進めるべきだろう」(北海道新聞8月10日社説)

 新幹線駅となる木古内は、新たに江差や奥尻、城下町松前への観光拠点となりうるはずです。そう考えれば、北海道新幹線の開業を機に、ローカル鉄道にも発展的な動きをしてもいいじゃないか......。
 江差線や大湊線と同様に、国鉄時代に廃止対象を絞り込むための「全国赤字83線」に指定されていた日南線も枕崎線も、JR九州が懸命にテコ入れして観光客を呼び込んで存続させています。

 新幹線で都市間さえ結べば、あとの弱小路線は切り捨てるだけでいいのか?
 「新幹線開業=ローカル鉄道の衰退・廃止」ばかりが続いている現状を見るにつけ、何のため、誰のために新幹線を作ってるのか? 疑念ばかりが残ります。


※中ほどの写真は江差駅付近の様子。町はずれの住宅地で線路が途切れており、役所や港がある中心部へは徒歩15~20分ほどかかる。
※下の写真は北海道新幹線の駅が作られる予定の木古内駅。並行在来線の第三セクターには写真のようなJR(国鉄時代)の中古車両が格安で譲渡される予定
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 再開2日目になりました。
 JR北海道が再来月(10月)27日に独自のダイヤ改正を行うことが先日発表されました。(詳細はこちら[PDF]

 札幌から石狩当別を通り新十津川まで80km弱を結んでいる札沼(さっしょう)線のうち、途中駅の北海道医療大学駅まで「学園都市線」と称している札幌近郊の約30km区間を電化。これに伴う改正で、10月からは札幌通勤圏の電車が一体化して運行されることになるそうです。

 今までディーゼルカー(気動車)で運転していた札沼線の一部が電化によって高速化・増発されて「便利」になる一方、古くから電化している室蘭本線の一部区間(室蘭~苫小牧)では、逆に電車からディーゼルカー化して「不便」にするという変更も予定されています。

 室蘭本線は、室蘭~東室蘭(室蘭)~苫小牧(正確には次の沼ノ端駅)間で電化され、特急電車の「すずらん」や普通列車は主に国鉄時代の赤い電車(右上写真)で走っていたのですが、10月の改正後は室蘭と苫小牧間を結ぶ普通「電車」をディーゼルカーによるワンマン運転の普通「列車」に変えるというのです。
 「電車」の高速性を捨てて、わざわざ速度が遅い「ディーゼルカー」にグレードダウンする格好となります。

 ここを読んでいるような鉄道に詳しい方々は「あ、なるほど」と事情が分かるとは思いますが、これはなかなか見られない不思議な「改正」です。

 一言で言うと、「客がいないから電車を動かすのがもったいない!」ということが理由です。
 JR北海道の「電車」は最短で3両編成にしかならないのですが、「ディーゼルカー」にすれば1両だけでも運転することができますし、車掌を載せないワンマン運転も可能です。運行にかかる無駄が省けるというわけです。
 もう一つは、短編成やワンマン化に対応した新しい電車を造るお金がないという事情もあるようです。

 電化しているのに、電車ではなくディーゼルカーが走っている場所は全国に幾つかあります。
 有名なところでは羽越本線の村上~酒田間で、特急は「電車」ですが、普通列車はすべてディーゼルカーで運転されています。江差線の五稜郭~木古内間も「津軽海峡線」として電化されてますが、普通列車はディーゼルカーしかありません。

p120812p2.jpg もう一つは、九州新幹線の開業で第三セクター化されてしまった旧鹿児島本線の「肥薩おれんじ鉄道」で、貨物列車を電気機関車で高速運転するために電化設備自体は残していますが、第三セクター化と同時に、列車はすべてがディーゼルカーに変わりました。

 これらに共通しているのは、「交流」で電化されている区間だということです。羽越本線は途中まで直流区間も交じっています。

 日本の主要路線の多くは「直流」での電化ですが、直流型の電車に比べ、交流型電車を造るためには余分なコストがかかるといわれています。
 交直両用の電車だとさらにコスト増となるために、羽越本線では直流と交流が交わる区間だけ(この区間の客が少ないという理由もありそうですが)、ずっとディーゼルカーのままで放置されています。

 日本の鉄道界に君臨するJR東日本でさえそんな状態ですから、JR北海道が車両を新造するのはかなり困難なことといえます。旧型の赤い国鉄型電車をまだ使っているくらいですから、その苦しさが分かるかと思います。

 電車化と非電車化が同時に行われるという稀有なJR北海道のダイヤ改正。この情報を見ながら、今後は他の「電化ローカル路線」で同じようなことが起きるかもしれない、とふと思いました。

 北海道の岩見沢~旭川間なんかも、今の赤い普通電車が老朽化で廃車となったとき、札幌圏で走っているような緑色の新しい電車を客が少ない区間に入れるのか否か。
 時速130kmで特急電車がビュンビュン行き交うなか、1~2両のディーゼル普通列車が架線の下をのんびり走っている様子が少し目に浮かんできたりしました。


※写真右上は10月のダイヤ改正で室蘭本線から撤退する国鉄型の711系電車。登場から30~40年経つので廃止は近いとみられる。
※左下は「肥薩おれんじ鉄道」のディーゼルカー、全線で電化しているが、電車は1両もない。

※江差線廃止に関する話題は別に翌日書きました
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 今夜で42回目です。
 今日(正確には昨日)は米国大リーグのイチロー選手が電撃移籍をするというニュースでテレビ番組では大騒ぎしていましたが、一方で日本のアマチュア野球界にとっては都市対抗野球の決勝戦が行われる重要な日でもありました。

 今回の都市対抗、JR東日本が昨年に続き決勝へ進出し、JX-ENEOSと戦うことになりました。

 JX-ENEOSは「ENEOS(エネオス)」のガソリンスタンドを経営している会社なので、つい「鉄道vs自動車の戦いだ!」なんて構図を勝手に思い描いたりもしましたが、JR東日本は前回優勝の強者であり、ENEOSは優勝回数が10回を数え、大リーガーの田澤純一投手をはじめ多数の著名プロ選手を輩出するほどの名門チームですから、いわば順当な決勝だったともいえます。

 試合はJR東日本が逆転負けを喫して50年ぶりという連覇は成らなかったのですが、東京ドームには4万人の観客が詰めかけ、JR東日本の応援団が駅員(運転士?)の格好でパフォーマンスをするなど盛り上がっていて、テレビで観戦していてもなかなか楽しめました。

 今回の大会には、JR東日本だけでなく、JR北海道やJR東海、JR九州も出ていました。
 九州が2回戦まで残った以外は1回戦負けを喫してしまったのですが、JR北海道には、過去に中日や近鉄、巨人、韓国プロ野球で活躍した門倉健投手が「補強選手」という扱いで出ており、スポーツ新聞などでは大きく報じられて話題になっていました。

※「補強選手」とは地区大会で負けたチームのなかから優秀な選手を大会中だけ「借りる」ことができる制度で、門倉投手は今、北海道の伊達紋別にある病院が主体となったクラブチームに所属しているそうです

 都市対抗野球を見ていて興味が湧いて調べてみたのですが、JRは貨物を除く全社が硬式野球チームを持っているということを初めて知りました(今さらですみません)。

JR北海道:都市対抗出場10回、ベスト4が1回(07年)、東北楽天の武藤好貴投手らを輩出。本拠地は札幌市。
JR東日本東北:出場23回、ベスト4が1回(11年)、ソフトバンクの攝津正投手らを輩出。仙台が本拠地。
JR東日本:出場15回、優勝1回(11年)、横浜の小林太志投手、阪神の赤星憲広元選手らを輩出。千葉県柏市が本拠地。
JR東海:出場24回、準優勝2回(1929年と30年)、オリックスの光原逸裕投手らを輩出するが、最近では2009年以来ドラフト指名なし。名古屋市が本拠地。
JR西日本:都市対抗への出場なし。福知山線の脱線事故を受けて2005年から活動を休止していたが、来年再開の予定。過去に広島の中東直己捕手らを輩出。広島鉄道管理局が前身のため本拠地は広島にある。
JR四国:出場8回、ベスト4が1回(74年)、ロッテの中郷大樹投手らを輩出。高松市が本拠地。
JR九州:出場15回、優勝1回(36年)、09年に日本選手権大会で優勝。オリックスの小松聖投手らを輩出したほか、国鉄時代には元阪急の福良淳一選手や現ロッテ監督の西村徳文元選手も輩出。本拠地は北九州市。

 いずれも国鉄時代に「鉄道管理局」がチームを持っていた時代の名残なのですが、未だに全社が硬式野球チームを抱え、しかもそれなりに知られたプロ選手を最近でも輩出しているのはすごいなと感じます。

 上記7チーム(JR東日本のみ2チーム)のなかで、私が勝手に推察した実力差を順に並べてみますと、

 1.JR東日本(2011年優勝、12年準優勝)
 2.JR九州(2005年ベスト4、10年準優勝、11年は1回戦でJR東海に敗退)
 3.JR東日本東北(2011年ベスト4、準決勝でJR東日本に敗退)
 4.JR東海(2011年ベスト8、準々決勝でJR東日本東北に敗退)
  5.JR北海道(2007年ベスト4)
 6.JR四国(1回戦敗退と予選決勝で四国銀行に敗れての不出場が目立つ)
 7.JR西日本(来年再開予定)

 といった感じでしょうか。
 JR東日本(本体)がトップであることは間違いないのですが、2~6番目はいずれも都市対抗の常連ですから、それほど大きな力の差はないような気がします。

 ちなみに、JR東日本には管内の盛岡、秋田、新潟、水戸、千葉の各支社にもJRを冠した硬式野球チームがあります。こちらは社員の「クラブ活動」ながらも、それぞれの地区大会に出場し、都市対抗への出場を目指しています。JRのなかでは東日本が文句なしの「野球王国」といえる存在です。

 一方、JR東海は企業規模や歴史の割には、今はなかなか上位を狙えていないようですが、野球熱が高い中京地区のチームですから、選手補強次第では相応の実力が出せそうな気がします。

 JR西日本は長期休部を経ての来年が新たなスタートになりそうですから、新チームでは都市対抗に出られるくらいまで頑張ってほしいと願っています。

 3島会社のなかではJR九州の活躍が素晴らしく、大会で上位を狙える存在です。JRでは2番目くらいの実力があるのではないか、と私は想像しています。
 JR北海道と四国は地区大会で強豪に苦しめられながらも、なかなか頑張っています。

 ということで、実はJRグループが社会人野球に熱心なのだということを知り、今後はプロや高校野球だけでなく、社会人も注目せねば!と思った一日でした。

※写真はCSのスポーツチャンネル「GAORA(ガオラ)」(毎日放送系)による都市対抗決勝戦の放送画面より。JR東日本の濃い緑を使ったユニフォームが「南海ホークス」に似ていたためか、どこか好感を持ちながらテレビを眺めていました。
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 連続更新36日目となりました。
 先週の3連休中は九州の福岡北部や大分、熊本などがゲリラ豪雨にみまわれ、30人近くが命を落とすなど大変な被害を及ぼしました。

 東では地震、西では豪雨とこのところ日本各地で大きな災害が続いています。
 それにともない、鉄道も甚大な被害を受けています。これまでの地震と災害で不通となっている区間を計算してみますと、なんと500kmにもおよんでおり、距離で言うと東京から京都までの鉄路が復旧できずにいるのです。

 今回の九州での災害も含め、不通となっている路線と区間を下記に挙げてみます。

【7月豪雨】(計142km)
・久大本線:筑後吉井(福岡県)~日田(大分県)(21km)
・日田彦山線:添田(福岡県)~夜明(大分県) (29km)
・豊肥本線:肥後大津(熊本県)~緒方(大分県)(78km)
・平成筑豊鉄道田川線:崎山(福岡県)~田川伊田(福岡県)(14km)

【東日本大震災】(計300km)
・大船渡線:気仙沼~盛(44km)
・山田線:釜石~宮古(55km)
・石巻線:渡波~女川(9km)
・気仙沼線:柳津~気仙沼(55km)
・仙石線:高城町~陸前小野(12km)
・常磐線:広野~原ノ町(49km)および相馬~亘理(28km)
・三陸鉄道北リアス線:小本~田野畑(11km)
・三陸鉄道南リアス線:盛~釜石[全線](37km)

【その他の災害】(計56km)
・只見線:会津川口~大白川(48km)
・大井川鉄道井川線:千頭~奥泉(8km)

【事故】(計3km)
・三岐鉄道:東藤原~西藤原(3km)

【災害発生後、復旧をあきらめ事実上廃止】(計56km)
・岩泉線:茂市~岩泉[全線](38km)
・名松線:家城~伊勢奥津(18km)

 九州の不通区間142kmは、まだ復旧作業が始まったばかりなので今後どうなるかは分かりませんが、JR九州の発表(PDFファイル)によりますと、路盤の流出などが76件もあるそうなので、全面復旧までにはまだ時間がかかりそうです。

 東日本大震災の300kmは深刻です。震災から1年4カ月を経てもこれだけの区間が、地震後のままなのです。地域の復興計画が決まらなかったり、原発災害が未だ続いているといった事情もありますが、本当に復旧できるのか、不安にもなってきます。

 経営状態が良好なJRとは違い、被害を受けた三陸鉄道や平成筑豊鉄、大井川鉄道などの中小鉄道は経営に与える影響も心配になります。

 被害を受けた線区はほとんどがローカル線です。経営的には儲からない路線だというのは分かりますが、岩泉線や名松線のように、災害を契機に事実上廃止ということがないように、どうか祈りたいものです。

※写真はJR東日本のサイトより。クリックすると拡大します。
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 31日目になりました。
 そろそろ帰省のシーズンということで、首都圏から大阪へ向かう際に安価で面白く行けないかと調べています。いつものことなのですが、調査した末にそれが非常に難しいということであることを思い知らされることになります。

 安さだけを求める団体格安高速バスやLCC(格安航空会社)ででも行けばいいでしょうが、安さだけを求めて「転向」する勇気はまだありません。「青春18きっぷ」という手もありますが、我が家の3歳の子にはまだ早い気もします。
 一筆書きの普通乗車券を仕立てるという手もありますが、これもルートが限られてきて、もっとも簡単な「東京発の北陸周り京都(山科)立ち寄り、米原から東海道新幹線経由の東京行き」なんてルートは、幾度か試したので、もうそろそろ......、という心境です。

 そして最後は諦めて、やむなく東海道新幹線で往復するような味気ないことになってしまいます。
 これが一番便利で快適なのですが、ゆえにJR東海は「新幹線はビタ1文まけんぞ!」という姿勢なので、利用者は高額な運賃と料金を払わねばなりません。
 JRのなかでも東海の市場価値(株価)が高いのは、こういうドル箱を持っている点にあるとは思うのですが、搾り取られる側からすればたまったものではありません。なんとか抜け道を探してやる!とか思ってしまうわけです。

 これまで東海道新幹線を使って安く西へ行く方法はないか、と研究した結果をこちらにまとめてありますが、結局のところどれもパッとしないものばかりです。みな、JR東海の陰謀か、と思うくらい何らかの制限がかかっていて、割引率も著しく低い。
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 で、最近ようやく気づきました。東海道新幹線を使って安く行く方法、それは団体パックのフリープラン商品を買うことです。

 ホテルとセットにしなければなりませんが、1泊目だけ泊ればあとは何日か後に帰ってもOK、みたいな自由なプランも多くなっていますし、乗る列車の時間帯を指定することもほとんど可能です。
 これらのパックプラン、計算してみると新幹線の運賃・料金がだいたい3~5割引くらいになっています。ホテル代を入れたとしても、普通運賃より安くなることが多いのです。

 そんなプランを売っている会社を参考までに上げておきます。

 JR東海子会社なので相当細かいプランがあります。ネットで直前まで予約できる「新幹線ツアーダイレクト」は料金は少し高めですが便利です。格安のWeb限定プランも注目です。

JTB
 かつて国鉄と密接にかかわっていた日本一の旅行社として、「JRで行く国内ツアー」なるページまで設けています。日本全国そこら中に店舗があるので申込や受け取りも便利です。

 旅行業界ベスト3に入る日本旅行も今やJR西日本の子会社。JRセット商品にも力を入れていて多彩です。最近では東横インと新幹線のセットプランなんてものも。特にWeb限定プランが安いのでおすすめです。ただ、首都圏に店舗が少ないのが残念です。


 以上の3社をおさえておけば、東海道新幹線を使った商品はほぼ網羅されているはずです。

 ただ、JR東海ツアーズは首都圏に店舗が4つ(東京駅、品川駅、新横浜駅と新宿)しかないので、Webで申し込むと、チケット送料が500円かかってしまうるのが難点でしょうか。一方で、直系子会社ならではの特典か、指定列車に乗り遅れても後続列車の自由席が使えることが多いなど、ビジネスマンを意識した点はありがたいところです。

 安さを求めるならJTBと日本旅行かもしれません。特に「限定列車」を使ったプランは信じられないほど安価です。ただ、座席数が少ない(一般に買える指定席がガラガラでも平気で「満席」となる)ので売り切れることが多々ありますが、席を確保できたなら非常にお得です。

 日程や旅程を固定したうえで事前に申込み、変更や払い戻しもしない、という窮屈ささえ我慢すれば、東海道新幹線を使った旅でも安く行けるということです。
 ただ、そこが私にはなかなか難しいことなのですが......。
 やはり自由さを犠牲にしないと、安価は実現できないようでありました。

※写真上はJR東海ツアーズの商品、宅急便代が500円かかる。マル「契」マーク入りの「乗車票」ながら、後続の自由席にも乗れたりする。
※写真下はJTBによる新幹線の格安セットプランの切符には、乗車変更が一切不可ということが書かれている。
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 ついに30日目となりました。ここまで来たら40日を目指したい気になってきました。
 先週末、JR東日本から9月29日にダイヤ改正が行われるとの公式発表がありました。

 ただ、今年3月に改正したばかりなので、今回は東北・上越・山形新幹線だけの小幅な変更にとどめられるようです。

 改正内容は、「はやぶさ」型のE5系なる新型新幹線車両がさらに投入され、「はやて」に使われることが多くなるというのが目玉です。秋からは「はやて」15往復中、11往復が「はやぶさ型」となるので、もはやE5系は「はやて・はやぶさ型」といえる状況となります。
 しかしながら、「はやて」で使われる際のE5系は300km/hでの運転を封印するので、本領発揮の高速運転を体験するには、やはり「はやぶさ」の割増料金を払わなければなりません。ちゃっかり考えているなと思います。

 もう一つのトピックスは、2階建て新幹線の元祖ともいえる「E1系」という車両が廃止されることです。
 この車両は、「着席」という点を重視したために、自由席の2階席などはリクライニングもさせずに、左右とも3人掛けシートを配置するなど、高速鉄道での"大量詰め込み"を初めて実践した電車でありました。名前も「MAX」という愛称がついていて、最大限の詰め込みを自慢しているようにも感じます。

 もはや、詰め込みは時代遅れなのか、と思ったらそんなことはなく、後継の「E4系」という車両があるので、「MAX」になんら変わりはないようです。
 とはいえ、詰め込み過ぎの弊害か、最高速度が240km/hしか出せないために、高速化を進める東北新幹線からは次の秋改正で追い出されることになりました。今後は、上越新幹線で最大16両編成・定員1600余席という規模で走らせるようです。

 このような車両なので、E1系の廃止にも何の感慨も湧かないのですが、一つ印象的なのは、1994年に製造した電車をわずか18年で廃してしまう速さです。
 今回の廃止は、「簡単・安価で作った車両を短期間で置き換える」というJR東日本の思想が反映されているといえるのではないでしょうか。

※なお、JR東日本による9月ダイヤ改正の詳細はこちら(PDFファイルです)にあります
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 日が変わってしまいましたが、23日目となりました。

 本日(正確には昨日7/4)にJR東日本から発表されたリリースによると、神田と御茶ノ水間にあった旧交通博物館跡地の再開発を進めており、「JR神田万世橋ビル」なるものを建設しているそうで、その際「歴史的資源の活用として、高架橋に現存している旧万世橋駅のホームおよび階段の遺構(駅舎跡)を整備公開し、この土地を体感できる施設とします」という内容が発表されました。

 おお、さすが世界を代表するJR東日本だ!とか思っていたら、リリースには「旧ホーム部分は、屋外カフェ、屋外デッキを整備します」とのことで、同時に行う旧万世橋駅付近の高架下開発の呼び水にしたいようにも感じられました。

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 もちろん、歴史的遺産を活用することに異論はありませんが、カフェなるものを作るより、誰もが見られるように、粛々と保存するのが先決ではないでしょうか。
 なんとなく鉄道ブームとマスコミ受けの良さに乗っかって、人寄せのために、整備するような気がしてならないのは私だけでしょうか。もちろん、破壊しなかったことには感謝しますが、なんとなく懐疑的に見てしまうのはなぜだろう......。

 「新たな名所が誕生します」とかいう触れ込みが受け入れられないのかもしれません。
 秋葉原の名所はギラギラした高層ビルや高架下を無理やり開発した商店街ではなく(もちろんアトレでもない!)、交通博物館にあったと思っているからなのでしょう。

※写真は交通博物館があったころに特別公開された万世橋駅の遺構(2006年)と万世橋駅の一部を転用した交通博物館(2006年廃止)。同博物館とは非公開の古い通路でつながっていた。なお、今回のJR東日本による公式発表(PDFファイル)はこちらです。 
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 この連続更新も21日目、3週間続いたことなります。
 今日(7/2)、JR東日本から同社内全駅の「乗車客数ランキング(2011年度版)」が発表されました。
 東日本大震災で運休していた路線の駅を除き、各駅の1日平均の乗車人員が分かるもので、「自分の利用する駅はこれだけの利用者がいるのか」とか「この駅はこんなに使っている人がいるのか!だから混んでいるのか」などと考察を深めることができ、エリア内に住んでいる人にとっては興味深い資料ではないでしょうか。

 ベスト10を見ますと、新宿・渋谷・池袋の西側三大ターミナル駅をはじめ、横浜、東京、品川、新橋など「なるほどな」と思える著名駅が並んでいます。

 1位から100位までは昨年度とほとんど変わらないのですが、目立ったところでは、91位の辻堂(東海道本線)が4400人増えて順位を5つ上げ、36位の武蔵小杉(横須賀線・南武線)も4000人増で5ランクアップ。61位の南越谷駅(武蔵野線)は1400人増えて2つ順位が上がっています。
 武蔵小杉も辻堂も駅付近にあった工場を取り壊し、大規模な再開発が行われている影響があるようです。南越谷駅がある埼玉県越谷市はベッドタウンとしてずっと人口が増え続けている街ならではかもしれません。

 そんな景気の良い駅がある反面、昨年度(2010年)版と見比べていただければ分かりますが、どの駅も順位はほとんど変わらないものの、微妙に人数だけを減らしています。昨年度比で124人減にとどめた28位の戸塚駅(横須賀線)が2つ順位を上げたくらいですから、各駅ともそれなりに減っています。1位の新宿駅でさえ2000人以上の減でした。

 今日、駅ランキングと同時に発表された「路線ランキング(JR東日本)」を見ると、利用者が減りつつある現況が分かりやすいかもしれません。
 これは、どの路線に1日平均でどれ位の人数が乗車しているかを「平均通過人員」という数値で表したものですが、新幹線も在来線もこの5年間で軒並み微減傾向にあることが分かるかと思います。

 もっと分かりやすいデータもあります。
 これは国鉄分割・民営化直後の1987年(データは1988年)から最新版の2011年度まで、5年ごとの利用状況を一覧にしたものです。

 在来線2位の埼京線のように、常に客数を伸ばし続けている路線もありますが、ほとんどが芳しくない推移になっています。
 特に見るべきは、バブル最末期である1992年との比較で、この時期の数字を超えているのは在来線の上位3線と、新興の京葉線、南武線、武蔵野線くらいです。(※なお、東北本線の数値が好転している原因は分かりません。盛岡~青森間がなくなって「平均」が良くなったということなんでしょうか・・・)

 愕然とするのがローカル線の惨状で、21位・伊東線、39位・大糸線、41位・津軽線、43位・男鹿線、44位・吾妻線、45位・磐越西線・・・・以下67位(最下位)の岩泉線まで目を覆いたくなる数字が並んでいます。利用者半減は当たり前で、中には三分の一に減ったところもありました。

 ローカル線は言うに及ばず、都心でさえも、鉄道事業が年々苦しくなっていることを数字で突きつけられ、何とも言えない気分になってしまいました。
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 毎日更新をなんとか2週間続けることができました。

 今日は昼間に東京丸の内に行く機会がありました。丸の内駅舎(赤レンガ)を戦前の姿に戻す復元工事が終盤に近付いたようで、その姿が現れつつあります。

 さらに重厚さを増した低層横長の駅舎を眺めつつ、やはり東京駅はいいな、と遠くから眺めていたのですが、正面右手を見ると、見慣れないビルが空に伸びている......。

 下部は慣れ親しんだ東京中央郵便局の面影が残ってはいるものの、その上には周辺のビルをコピペしたようなギラギラした高層ビルが乗っかっています。どうやら郵便局が「JPタワー」という名のオフィスビルを作ってしまったようです。

 東京中央郵便局の歴史的な低層建築物は、赤レンガとともに、丸の内に落ち着きをもたらす存在だったのですが、ありきたりの高層タワーがまた増えてしまい残念な気がします。(空間が息苦しくなる)

 とはいえ、東京駅赤レンガはさすが重要文化財なので、ほぼ以前のままで残っています。何か大変なことが起きない限り、これから50年はそのままの姿を維持するはずです。

 まだ10月のオープンまでは駅舎内外がゴチャゴチャしていますが、そろそろ夏の夜風に当たりながらここら辺で完成間際の赤レンガを肴に安酒など飲みたいな・・・、などと夢想しながら仕事へ出かけたのでした。

※ちなみに新丸ビルの7階「丸の内ハウス」という名のテラスから東京駅舎が一望できるのは、この店この店のテラス席です。丸の内ですが、私が行けるくらいですから(特に蕎麦屋はリーズナブル!)、ご安心を......。(ただ蕎麦屋は予約ができませんが)
一度でいいから、ここで赤レンガを眺めながら飲んだ後に、夜汽車に乗って旅立ちたいものです。
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 11日目となりました。
 毎年6月は日本の多くの上場企業が株主総会を開く月です。そんななか今日、日本一(世界一?)の規模を誇る鉄道会社で、東証一部上場企業でもあるJR東日本も、都内のホテルで株主総会を開催。その様子を見る機会に恵まれました。

 総会では、JR東日本経営者(取締役会)側から、剰余金の配当は1株55円(中間配当を含め年間110円)とすることや清野智前社長ら取締役20名を選任する件、役員26名と監査役5名に計1億612万余の賞与を支出する(常勤の取締役1人あたりにすると約500万)こと、取締役の報酬額を月額7000万以内(月収にすると1人当たり390万円程度)など6つの議案が出されました。
 採決の結果、会場に参加していた株主による「賛成」などの発声や拍手に対し、議長である冨田哲郎社長が目視によって「賛成多数」と判断し、可決されました。

 一方、株主側からは、1人の株主(議決権数305=3万500株所有=時価1億4600万円相当所有)から「新入社員の医師法遵守注視の件」など5つの議案が出され、これは「反対多数」で否決。別の株主206名(議決権数315)から共同で「復興計画承認第三者委員会設置の件」「コンプライアンス監視特別委員会の設置」「取締役解任の件」「役員報酬減額の件」など9議案が出され、こちらも「反対多数」で否決となりました。

※議案にご興味のある方は同社サイトのこちらにあります[PDFファイルです]
※ちなみに議決権は100株(1株4800円で計算して100株で48万円)につき1つが付与されます。株主から議案を提案するには300(3万株)以上の議決権が必要となっています。

 このほか、議長(冨田社長)の議事進行に反発した一部株主から、議長の不信任動議が出されました(一部株主の発言に対し、議長が「不信任動議」として受け止め採決にかけた)が、こちらも「反対多数」で否決されています。

 今回で25回目となるJR東日本の総会、一言で言うと、荒れていて、どこか異様な雰囲気がありました。

 会場のホテル(ニューオータニですが)周辺にはやたらと警備員や社員の姿がありましたし、総会会場となったホテルの1000名以上入れる宴会場では、前方2列だけは左右の隙間が一切ないように「万里の長城」のごとく椅子が並べられ、一席の余地もなく人で埋まっていました。後方の席はいくらでも空いているのに前方2列のみ満席なのです。さらにその前には何の美しさも感じられないようなプランターまで設置。この「壁」でいかなる者も絶対に壇上へは近づけないぞ!という執念を感じるような設営の工夫が見られました。
 また、壇上に並ぶ取締役は、首から上がかろうじて見えるくらいの高い机が左右隙間なく覆われていて、こちらも万全の防御体制です(左上写真参照)。
 加えて、客席の方に向けられたカメラが左右大型モニターの高い位置の目立たない場所に設置され、常に客席を映して(記録?監視?)いました(確認できただけで4つ以上ありました=右下写真の画面の黒い左右上部にうっすら見える)。

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 総会開始後はすぐに、そこかしこで立ち上がった「株主」から「動議!」「ドウギだ議長!!」などと声が上がり(だいたいおじいさんに近いおじさん風、古い時代の組合関係者っぽく見える)、その度に同社社員だとみられる若手係員が声の主の周りを5~6人で取り囲む物々しい雰囲気です。

 一方、前二列に(窮屈そうに)詰められた「株主」は、議事内容にはあまり関心なさそうなのに、採決の時だけは急に覚醒したかのごとく、「賛成ぇー!」「反対ィー!」などと大きな声で発声。拍手をする姿などは訓練されたかのような雰囲気さえありました。
 ちなみにJR東日本の「大株主」の3位は社員持株会(3.3%)だそうです(1位と2位は信託銀行)から、そうした人々かもしれません。

 結局、総会は10時から3時間半にわたって行われました。JR東日本の経営状態が極めて良好で、問題となる議案が見当たらない割には、かなり長い総会だと思うのですが、これは一部株主の提案した議案の審議に多くの時間が費やされていたためです。

 多数の株(時価1億4600万円相当)を持つ1人の株主による議案「新入社員の医師法遵守注視の件」など5つは、JR東日本の子会社である「ルミネ」などにテナントとして入っているコンタクトレンズ店(JR東によると30店近くあるそうです)に対し、「医師法違反」の有無を自ら確認し、朝日新聞やNHKにも「お知らせ」せよ、といった要旨。しかし、提案内容を読んでもいまいち何が目的なのかよく分かりません。提案した株主本人からも補足発言はありませんでした。個人的には何の意図があって提案したのか聞きたかったところです。

 むしろJR東日本経営者側との対立軸は、2つ目の「取締役解任の件」「役員報酬減額の件」を共同提出した206名の株主との間に色濃く表れていました。

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 この株主らの主張する内容を聞いていますと、かつて国鉄の労働組合(国労など)で経営陣と激しく対立していた人々の一部ではないかと思われました。発言者の一人は、JR東日本が起こした信濃川からの不正取水事件に対し、株主代表訴訟を起こした一人だと明言。また「国鉄闘争を継承する会」の会長とみられる方も幾度か発言していました。総会冒頭から「動議!」と幾度も叫んで議事進行を止めようとしていたり、前方に詰め寄って疑義を叫んでいたりしたのも(写真左参照)、これらの関係者のようでした。

 彼らが主張する提案には、実現不可能な内容も多いように思われましたが、個人的にはなるほどな、と思うことも幾つかありました。
 たとえば、「信濃川からの不正取水事件を起こしたにも関わらず、責任を取らないのはおかしい」といったものや、「役員の報酬が高すぎる」といった主張もそうです。
 岩泉線がいつの間にか「廃止」されたことを踏まえ、気仙沼線などが鉄道で復旧されなくなる恐れがあるため、「余剰金をローカル線赤字補てんのために積み立てよ」という提案には「確かに!」と思ったりも。

 また、東北地方全域に導入された701系(ロングシート車)に対しての疑義が2回出てきて、こちらは思わず苦笑してしまいました。もう20年以上も経っているのに、未だに株主総会で話題にのぼるなんて、いかに嫌われている車両かということが分かりました。

 しかし、彼らが何を発言しようと、何かが変わることも、動くことはありません。彼らの言うことは完全少数派の意見でありすべて否決されています。(彼らは「賛成してるのは社員株主ばかりじゃないか!」と発言していましたが)

 株主総会を見て強く感じたのは、国鉄崩壊から25年を経ていても、ここにはまだ「国鉄」が残っているんだなということです。
 JR東日本の役員のほとんどは国鉄出身者ですし、その人々による経営方針に反発して大きな声を出しているのもまた国鉄出身者なのです。株主総会なのに、まるで当局と国労による労使交渉の場のようでした。

 ただ、双方ともに高齢化しているのは傍目からも明らかで、これらの国鉄関係者がJR東日本からいなくなったり、関わらなくなるだろう時はそう遠くありません。
 その時、総会も今とは違ったものになるのでしょうか。それはそれで、国鉄が完全に消えてしまうようで悲しい気もしました。

 若手駅員が2人並んで深く首を垂れ、「お疲れ様でした。JRをご利用ありがとうございます!」などと普段は見たことがないような丁寧な挨拶をする会場近くのJR駅の駅員を見ながら、そんなことを思ったのでした。
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 今回もなんとか10日間更新を続けることができました。

 今日は珍しく「湘南新宿ライン」(高崎線・東北本線の中距離列車が東京・上野を通らず、池袋・新宿・渋谷など山手線沿線を通り、東海道本線・横須賀線と相互直通する列車のこと)に乗る機会がありました。

 昼間に横浜で業務があり、「今日は家から近いので楽だなあ」とか思っていたら、こういう時に限って朝から新宿付近で用事があるのです。やむなく、新宿駅から横浜方面行の湘南新宿ラインの電車に乗ることになりました。

 今や当たり前となった湘南新宿ラインですが、2001年12月に始まってから10年余しか経っていないんですよね。
 かつて東京の東側に住んでいたため、東海道や東北、高崎、横須賀などの中距離列車に乗る際は、東京駅か上野駅に行けば事足りました。そのため、この路線に意義を見いだせなかったのですが、西側に住むようになってからは、この路線のありがたさが身に沁みています。

 以前だったら新宿や渋谷から横浜方面へ行くとなれば、山手線で品川まで出て東海道本線や横須賀線の列車に乗り換えねばならなかったのですが、今は少し離れたホームで待っているだけで、「小田原行」や「逗子行」といった列車が当たり前のようにやってくるようになりました。新宿から横浜まで最速29分(昼間の「特別快速」のみ)はなかなかのスピードです。
 大宮や高崎、宇都宮あたりへ行く時も「籠原行」とか「新前橋行」とか「宇都宮行」に新宿や渋谷だけでなく、恵比須駅からも乗ることができます。

 時間的には以前とそれほど変わらないのですが、乗り換えがないというのは非常に楽なんです。湘南新宿ラインの開通以来、東急や小田急が対抗策を迫られたのがわかる気がします。JRはそもそも駅数が少なく、私鉄より速度で勝っているのに、直通までしてしまったら、客を相当に奪われてしまうからです。

 ただ、残念なのは、湘南新宿ラインの列車は常に混雑していることです。たまに奮発してグリーン車に乗っても同じ状態。東京発着の東海道線や横須賀線の列車は空いていて快適そうなのに......。

 現在、日中は1時間に4本程度の運転本数しかないということもあるのでしょうか。
 あるいは、これ以上、運転本数を増やせないのかもしれませんが、東海道本線や横須賀線、高崎線、東北本線の「東京・上野発着」の列車を減らし、湘南新宿ライン経由に振り分けるべきではないか、と思うのは私だけでしょうか。
 もちろん、趣味的には東京・上野始発電車が大好きではありますが・・・。

※上の写真は新宿駅1・2番線ホーム。新宿駅は山手線や中央線とはそれほど離れていませんが、渋谷は別の駅かと思うほど離れています。山手線から乗り換えに一番便利なのは実は恵比須駅かもしれません。
p120619.jpg 8日目となりました。外は台風の風がすごいことになっています。何もなく通り過ぎてくれればいいのですが。

 今年、日本の航空界では「LCC元年」といえる"台風"が巻き起こりそうです。LCCは「ローコストキャリア」の略で、ようは格安航空会社のことです。
 飛行機の運航にかかる人件費やサービスなどのコストを極限まで抑えて格安運賃を実現するもので、海外では近年一般化しています。

 機内の座席がかなり狭かったり、チケットはWebでしか売らなかったり、機内サービスが一切なかったり、スカイマークみたいに乗務員は保安要員だから荷物の収納手伝いはもちろん、苦情など一切受け付けぬ!と宣言してみたり......、各社さまざまな「努力」にとって運賃を安くしているのです。

 日本へ乗り入れているLCCでは、オーストラリアのジェットスターやマレーシアのエア・アジアX、茨城空港に発着する中国の春秋航空などが有名でしょうか。

 国内線では、長い間スカイマークがLCC的な役割を果たしてきましたが、今年は外資LCCと共同で一気に3社が新規参入を果たすことになりました。

 関西空港を拠点とするANA&香港の投資会社などによる「ピーチ」、成田を拠点とするJAL&豪州系の「ジェットスター・ジャパン」、こちらも成田拠点でANA&マレーシア系「エアアジア・ジャパン」という3つのLCCが8月までに相次いで国内線に就航します。

 これらのLCC、いずれもJALとANAが深く関わっています。
 個人的には、たとえばJRバスが自社便と対抗する「ツアー高速バス」を楽天やウィラーあたりと合弁別会社で運営するかのような(もちろんそんなことはあり得ない)不可思議さと矛盾を感じずにはいられないのですが、両社とも「世界的なLCC化の波にひとまず乗っておこう」ということかもしれません。

 3月に就航したピーチの場合、関西~新千歳で運賃は約5000円~2万円です。色んな条件によって運賃にはかなり幅があるのですが、最安値が5000円というのは、相当に衝撃的ではないでしょうか。
 7月に就航予定のジェットスター・ジャパンは、成田から札幌や福岡が約5000円~、沖縄が6500円~、大阪だと4000円~です。8月に成田~札幌・福岡・沖縄に就航するエアアジア・ジャパンも似たような運賃を出してくるのでしょう。
 運賃だけを見ると、「ツアー型激安高速バス」の"空版"みたいな感覚です。

 LCC各社の就航区間は、もともとJRのシェアが著しく低いかほぼゼロ(沖縄)の区間ばかりで、ここはJAL/ANAやスカイマークと客を奪い合うことが予想されますが、次の段階では成田~岡山・広島あたり、JRが飛行機と激しく戦っている区間に投入してくる可能性も高いのではないでしょうか。

 格安ツアーバス、路線高速バス、一般の飛行機会社、マイカー(高速道路)と、それでなくても多い「鉄道の敵」が今更一つ増えたところで、経営上は何も変わらないのかもしれません。
 が、鉄道のシェアが奪われ続けるという状態を放置しておいても未来はないと思うのです。それが格安しか使わない層であっても。
 個人の懐に痛手をともなわないビジネス利用(特にJR東海)や小金持ちの団塊世代ばかりに目を向けて(特にJR東日本)いても、一時の収益的にはいいのかもしれませんが、決して未来があるようには思えません。

 中距離移動は当然JR(新幹線)!という感覚を若いうちから持ってもらわないと、鉄道の地位が低下していくばかりのような気がします。
 フルムーンもいいけど、たとえば、先行投資のために、6~23歳限定で格安のJR全線乗り放題パスを作ってもいいじゃないか(年齢制限をなくすと私のような中年ばかりが使って意味がない)。プロ野球のファンクラブだって小中学生に優しいのは、幼少時ファンになってもらわないと、後が続かないからです。

 まず、第一段階として、日本の鉄道界に君臨するJR東日本と、市場の評価(株価)が一番高いJR東海が速やかに手を組むことです。東名阪の大動脈と全国津々浦々の主要都市間輸送が可能であるメリットを上手く使うべきだと思うのです。今、2社が不仲のせいで、必ず東海道新幹線で分断されてしまうのです。
 
 なんか、最初のLCCの話から相当ずれてきたのでこの辺でやめますが、JR(新幹線)にとって、長期的にみればLCC化の流れは決して対岸の火事ではないはずです。この機会にJRの結束を!

※「鉄道の敵」である航空会社の話題なので、あえて該当リンクを貼っていません。ご了承のほどを......。
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 昨年12月以来の更新となってしまいました。
 今年(2012年)3月17日に行われるJRのダイヤ改正、ほとんど善き出来事はないと分かっていながらも、つい改正号の時刻表を買ってしまいました。

 一読して、想像以上に悪い出来事ばかりが目についてしまい、「ダメだこりゃ!」と30分くらいで投げ出してしまいました。35年間くらい喜んで読み続けてきた1150円もする数字の羅列ですが、今回はいいことがまるでないのです。

 そんな悲しい出来事ばかりなのですが、西村流の3月17日ダイヤ改正トピックス(JR&その他)を書いてみます。

▼寝台特急「日本海」(大阪~青森)、夜行急行「きたぐに」(大阪~新潟)廃止、臨時列車化

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 寝台特急「日本海」は青函トンネル開業と同時に大阪から函館まで直通する唯一の定期寝台列車となり、大阪駅で「函館行」の文字を見る度に興奮していたものでした。いつの間にか2往復が1往復となり、それも青森止めとなり、そして廃止。確かに大阪から青森や函館まで夜汽車で行く人は少ないのでしょうが、悲しいことこのうえありません。
 大阪からは札幌まで「トワイライトエクスプレス」という寝台列車はありますが、これは臨時の観光列車であり、余暇を楽しむ「クルーズ船」のような存在で夜汽車とはいえません。「日本海」のように生活に根差し、本当に移動しなければならない人が乗っていた夜汽車はもう時代遅れなのでしょう。

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 もう一つ、夜行急行「きたぐに」も廃止となりますが、これにより、「自由席」の連結する夜行列車は残り一つ(急行「はまなす」)だけとなり、「急行列車」という存在自体も、定期列車は残るは一つ、「はまなす」だけとなります。
 何も準備しなくとも夜汽車に飛び乗れば、一夜で違う場所へ連れて行ってくれる、そんな旅はもう昔のことなのかもしれません。

 両列車とも「臨時列車」としては残りますが、昨今の傾向を見ていると、残っても1年かな、という感じがします。夜行の臨時列車は何の予告もなく廃止することが大半なので、定期列車の廃止はイコール完全廃止と同じものと見て間違いありません。

▼臨時急行「能登」(上野~金沢)は完全廃止か

 夜行急行「能登」は2010年3月の廃止後も週末や連休、長期休暇中などの臨時列車として運転されてきましたが、2月24日の運転を最後に消えることになりそうです。JR当局からは何のアナウンスもありませんが、3月以降の運転予定は組まれておらず、このまま廃止となる可能性が高そうです。
 2年間、全車指定席の臨時急行として運転されてきましたが、乗客数が期待ほど多くなかったのかもしれません。臨時列車になると、有無を言わさずに廃止されるのが悲しいところです。

▼臨時快速「ムーンライトながら」(東京~大垣)が大幅減便

 ついに夜行列車の「王道」とも言える列車にも廃止の兆しでしょうか。2009年3月の廃止後も「青春18きっぷ」の発売期間には必ず運転されてきた夜行列車ですが、この春の運転日はわずか9日間。昨年(2011年)春は16日間にわたって運転されていましたから、もはや運転取り止めへの布石かと思ってしまいます。

▼「青春18きっぷ」の年間スケジュール、ついに発表せず

 これは悪いことなのか、良いニュースなのか実は分からないのですが、毎年春前に発表していた年間の発売スケジュールが今年は直近の春季分しか発表されませんでした。JRは「夏季用、冬季用については決まり次第別途お知らせいたします」としていますが、果たして何を企んでいるのか。
 「北海道&東日本パス」の時のように、利用者にとって喜ばしい改正があればいいのですが。JR6社による会合で改廃などの議論をリードしているとみられるJR東日本とJR東海の「良心」に期待したいところです。

▼「周遊きっぷ」を大幅廃止、残るは13ゾーンに

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 分割・民営化から10年が経過したころです。かつて学生格安旅行の友だった「ワイド周遊券」「ミニ周遊券」「一般周遊券」を廃止したいという機運が高まりました。「儲けにならん!」「急行列車にしか乗れないなんて実態に合わん!」ということで、1998年4月に登場したのが「周遊きっぷ」です。

 JR某社が東海道新幹線を割引運賃で乗せたくないあまり、複雑怪奇なルールをさらに難しくしてしまい、さらには発券も極めて面倒にしたのでJR各社は売る気ゼロ。観光列車が大好きなJR某社は新規開業の新幹線をわざわざ自由周遊区間から外すなど、一部JR社は「周遊きっぷ」に対する嫌悪感に満ちていました。確かに「学割」があり、多客期シーズン規制もないという国鉄時代の名残がある割引切符なので、営利第一の民間企業としてはあまり売りたくはなかったのでしょう。
 そんな状態なので利用者も少なく、年々ひっそりと廃止され続けてきましたが、ついに今年は大ナタが振るわれ19ゾーンが廃止されることになりました。
 要するにJR側とすれば「大した儲けにもならんので、自社エリア内と配下JRで使えるオリジナル商品だけ買っとけ!」ということなのかもしれません。民間企業ならではの論理です。だから、JR東日本と北海道、JR東海、JR西日本と四国、JR九州という4つのエリア間には割引切符がほとんどありません。唯一、それをつなぐのが「周遊きっぷ」(「青春18きっぷ」もそう)だったのですが、どこのJR社も「周遊きっぷ」を一切ホームページにさえ載せていない現状を見ると、未来はほぼないと言えるでしょう。情けない......。

▼「岡山発、下関行」昼間に367キロを走る日本一の長距離普通列車が廃止

 これはほとんどニュースになっていないのですが、岡山から下関まで直通していた日本一長距離を走る普通列車がひっそりとダイヤ改正で消えることになりました。
 岡山を6時57分に出て82駅に停車しながら7時間24分かけて下関まで走る列車で、普通・快速の定期列車としては日本一の長さでした。多分、誰も乗り通す人などいないと思うのですが、一度は乗ってみたかった...。詳しくはこちらをご覧ください

▼長野電鉄の「屋代線」、十和田観光鉄道が3月末で廃止へ

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 廃止、廃止ばかり書いていたら嫌になってきました。JR当局なら「見直し」とか言うのでしょうが、本当にそんなニュースしかないのです。

 かつて信越本線の駅だった屋代(現しなの鉄道)の片隅にある古いホームからひっそりと出ていたローカル鉄道が廃止と相成りました。

 一方、青森県の十和田観光鉄道は、かつて東北本線の三沢駅(現青い森鉄道)から十和田市駅までを結んでいる鉄道です。

 両鉄道が廃止されるのは乗客減が理由なのですが、その背景の一つに新幹線の影響があるのではないか、と思うのは私だけでしょうか。かつて在来線の「大幹線」だった路線が赤字必至の第三セクターのローカル線に落ちてしまい、そこから分岐している鉄道はさらに苦しくなる、という構図がこの2路線の廃止から見えてくるように思えます。

 E5系が増えるとか、九州直通列車が増えるとか、JR当局によって華々しく喧伝されるダイヤ改正の影で、私にとっては嬉しいことがほとんどない春を迎えそうです。

 あまりにマイナス面が大きすぎて気付きませんが、新しい割引切符の発売など、少しは良きことがないこともないので、こちらの「青春18きっぷ・フリーきっぷリンク集」もぜひご覧ください!

p110627p.jpg 20日目となりました。今夜は国内の「鉄道旅行」に関する情報です。

 まもなく7月となり、今週末の1日(金)からは「北海道&東日本パス」が、20日(水)からは「青春18きっぷ」が使える期間となります。
 東日本大震災の影響で、この夏は夜行快速列車「ムーンライト」の運転日がなかなか発表されませんでしたが、最近になってほぼ例年通り運転されることが決まりました。
 また上野~直江津~金沢を結ぶ臨時の急行列車「能登」も7月15日から週末を中心に運転される予定です。

 今年は東北への観光客誘致を目的として、7月9日(土)から7月18日(月・祝)までの期間に限り、JR東日本全線の新幹線・特急が1日1万円で乗り放題となる「東日本パス」も発売されています。
 指定席も2回まで使えるので、東京~新青森間を日帰りで往復するのも1万円でOK!ということになります。
 7月9日からは東北新幹線(秋田・山形含む)が通常に近づいた形のダイヤとなるので、旅がしやすくなりそうです。(詳細は同社発表のPDFファイルをご覧ください)

 加えて東北地方では、7月中の週末3日間(金~月)などに6000円で東北6県のJR(普通・快速列車のみ)や私鉄などが乗り放題となる「東北ローカル線パス」も発売されることになっています。
 普通・快速列車にしか乗れませんが、一部私鉄もフリー区間となっているので、価格的にお得かもしれません。

 このほか、週末2日間に関東&南東北地区のJR東日本エリアが8700円でフリーとなる「ウィークエンドパス」(新幹線・特急料金は別払い)や、秋田から函館までの広いエリアが5日間フリーとなる「北東北・函館フリー乗車券」(新幹線・特急料金は別払い)など、定番の切符も発売されています。

 首都圏ではあまり知られていませんが、土・日のみ1日2400円で福島・山形・宮城岩手青森の各県内主要JR路線が1日フリーとなる「小さな旅ホリデー・パス」というものもあります。

 今年の夏は、お得なフリー切符も多数出ていますので、ぜひ東北や北海道へ!
 (なんかJR東日本のPRめいていますが、「東北の観光復興」と「お得」ということ以外に他意はまったくありません......)

 なお、私が密かに作った首都圏から普通・快速列車だけで北上するベストプランや、首都圏からの接続早見表もありますのでご一見のほどを。
 しかし、どうしても西のほうへ行きたい方には、首都圏→名古屋・大阪・山陽方面への接続早見表も一応ありますので、こちらもご活用を...。

 このほかの情報はこちらもご覧ください。

 約20日ぶりの更新となりました。
 「計画」停電で暖房も何もない中で、ロウソクの光を頼りに単4電池1本で動く古いラジオ機で放送を聴きながら、何枚も重ね着したことがずいぶん昔のように感じるほど、首都圏は暖かくなってきました。
 悪夢のような出来事からまもなく一カ月が経ちますが、どこか心の中が乱されたままで、3月11日以前のような「日常」には戻れてはいない気がします。そんななかですが、今回は地震発生時の鉄道の話を書いてみます。

■震源地付近に11本の新幹線、すべて無事に緊急停止

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 3月11日の大地震が発生した14時46分ごろ、東北新幹線(東京~新青森)には計27本の列車が運転されていました。震源地に近い福島・宮城・岩手・青森の4県内では11本の列車が走っています(下記参照)。

※なお、三陸沖を震源とするM9.0の巨大地震が発生した時刻は、公式には14時46分となっていますが、JR震度計の検知時刻(NHK報道)などから類推すると、東北地方で実際に揺れが始まったのは1分後の14時47分ごろであり、最も強く揺れたのが同48分ごろとみられます。ただし、ここでは発生時刻を14時46分に統一しています。

▼3月11日(金)、地震発生時に東北新幹線(福島~新青森間)を走っていた列車
 「MAXやまびこ144号」東京行 → 仙台駅を出発2分後、各種情報によると仙台市内の広瀬川鉄橋付近を走行中
 「やまびこ61号」盛岡行 → 仙台駅を出発4分後
 「はやて27号」新青森行 → ネット上の情報によると古川駅周辺のトンネル内を走行中
 「はやて26号」東京行 → 仙台発14:26、ネット上の情報によると福島県内のトンネル内を走行中
 「やまびこ58号」東京行 → 福島駅に停車中か(14:47発)
 「MAXやまびこ139号」仙台行 → 朝日新聞によると同列車が福島駅に到着(14:46着)した2分後に揺れを感じたという
 「やまびこ60号」東京行 → 一ノ関駅到着の2分前
 「はやて28号」東京行 → 盛岡駅を出発5分後、IBC岩手放送によると、紫波町犬渕(東北本線・石鳥谷~日詰の中間付近)の高架線上を走行中
 「やまびこ59号」盛岡行 → 新花巻駅を出発5分後
 「はやて30号」東京行 → 七戸十和田駅を出発3分後、トンネル内を走行中か
 「はやて25号」新青森行 → デーリー東北の情報などによると青森県南部町内のトンネルを走行中(八戸着14:55)

 
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 これらの列車も含め、同日同時刻に運転中だった東北新幹線全27本の列車に重大な事故は起こっていません。
 NHKの報道によると、牡鹿半島に設置されたJRの地震計が14時47分3秒に巨大な揺れを感知。新幹線の「早期地震検知システム」によって自動的に通電が切られ、列車の非常ブレーキがかかったといいます。
 たとえば、最も揺れが激しかった仙台~古川間では「やまびこ61号」と「はやて27号」が走っていましたが、非常ブレーキが作動した9~12秒後に最初の揺れが始まり、1分10秒後に最も強い揺れが起きたものの、減速していたためか脱線を免れたようです。

 世界中に不信感を植え付けてしまった原子力発電所の技術とは逆に、日本の鉄道技術の高さは誇るべきものに感じます。国内だけでなく、世界中に新幹線の高い安全性を知らしめることができたのは、大災害のなかでの一筋の光明だったかもしれません。

(下の写真はNHKの番組内より)

■宮城だけで約30本の在来線、脱線や津波に巻き込まれた列車も

 東北新幹線が安全に停止し、被害が出なかったことは幸運でしたが、被災地域のトンネル内や高架橋上などに止まった10本程の新幹線には、3000人程の乗客が取り残されました。なかには、救出されるまで二十数時間、停電で真っ暗になったトンネルの中で待ち続けたケースもあったようです。

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 また、地震発生時には、在来線でも多くの列車が運転されていました。
 3月11日の14時46分、宮城県内のJR線(仙台空港鉄道内は該当列車なし)だけでも、下記の29本の列車が走っています。

▼東北本線(宮城県内)
 仙台発一ノ関行(537M)列車 → 瀬峰駅(栗原市)出発(14:45)など上下線に計10本
▼常磐線(仙台・岩沼~坂元~相馬~いわき)
 当日、地震が発生する前に宮城県内の亘理(わたり)~逢隈(おおくま)駅間で沿線火災が発生し、仙台~原ノ町駅間の列車に遅れが出ていた模様。津波に襲われて破壊された仙台発・原ノ町行(244M)列車が大きな揺れに遭った時、福島県の新地駅(定時14:37着)に停車していた点から類推すると、約10分程度の遅れで運転されていたようです。地震発生時、仙台~岩沼~坂元(宮城県西端)間を走っていた常磐線の列車は上下1本づつの合計2本だったと見られます。
▼仙石線(仙台~石巻)
 石巻発仙台行(1426S)列車 → 野蒜(=のびる、東松島市)駅停車(14:46)など合計7本
▼仙山線(仙台~山形)
 仙台発山形行(829M)列車 → 仙台駅出発(14:44)ほか宮城県内走行中は合計3本
▼石巻線(小牛田~女川)
 小牛田発石巻行(1641D)列車 → 前谷地到着(14:49)直前
▼気仙沼線(前谷地~気仙沼)
 小牛田発気仙沼行(2941D)列車 → 志津川駅(南三陸町)出発(14:44)後
 気仙沼発小牛田行(2942D)列車 → 松岩駅(気仙沼市)出発(14:45)後
 など合計3本
▼陸羽東線(小牛田~鳴子温泉~新庄)
 小牛田発鳴子温泉行(1735D)列車 → 川渡温泉着(14:47)直前など合計3本

 加えて、地震の津波被害が大きかった岩手県沿岸部を走る各路線でも、下記の6本が地震発生時に運行されていたと見られます。

▼大船渡線(一ノ関~気仙沼~陸前高田~大船渡)
 盛発一ノ関行(338D)列車 → 大船渡駅(14:45)出発後。ほか1本(盛発一ノ関行「快速スーパードラゴン」)は千厩駅(一関市)到着(14:50)前。
▼三陸鉄道南リアス線(大船渡~盛~釜石)
 盛発釜石行(215D) → 吉浜駅(大船渡市三陸町)出発(14:43)後
▼山田線(釜石~宮古~盛岡)
 花巻発宮古行(1647D)列車 → 津軽石駅(宮古市)着(14:46)
▼三陸鉄道北リアス線(宮古~普代~久慈)
 久慈発宮古行(116D)列車 → 白井海岸駅(普代村)着(14:46)
▼八戸線(久慈~八戸)
 久慈発八戸行(448D)列車 → 久慈駅出発(14:46)

 これら宮城・岩手の両県内に加え、揺れの大きかった福島県内を走る列車や、時刻表に載っていない貨物列車も含めると、在来線だけで40~50本が運転されていたのではないでしょうか。南関東圏も含めると、相当な数の列車が走っていたはずです。
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 このなかには、地震によって脱線した列車があったり、常磐線や仙石線のように車両ごと津波に飲み込まれたりと、被害は甚大なものになりました。
 鉄道設備も大きなダメージを受けています。JR東日本によると、栃木県から北の地方全域と、その後に起きた長野県での大型地震によるものも含め、在来線36線区の2900kmにわたり、線路や駅舎、トンネル、架線設備など約4400箇所で被害があったといいます。東北の中心である仙台駅も大きな被害が出ました。

 八戸、山田、大船渡、気仙沼、石巻、仙石、常磐の7線では津波によって23駅が跡形もなく失われました。また、福島第一原発の暴発により、その30キロ圏内にある常磐線の四ツ倉駅(いわき市)~原ノ町~鹿島駅(南相馬市)間(13駅、75km)は、未だ被害状況さえ把握できないようです。
 三陸海岸沿いを走る第三セクターの三陸鉄道も被害は大きく、線路や鉄橋、駅舎が流されています。報道によると被害総額は100億円を超えるといい、自力での再建は難しいとも言われています。

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 地震を耐え抜いたとしても、直後に襲った津波は、電車さえも簡単に飲み込んでいくほどの巨大なものでした。

 常磐線では、定刻より10分ほど遅れて新地駅(福島県)に到着した仙台発・原ノ町行(244M)の列車(4両編成)が津波に流されています。
 仙石線では、石巻発・仙台行(1426S)の列車(4両編成)が東松島市の野蒜(のびる)駅を14時46分に発車直後、地震が発生して列車は脱線。その後の津波で車両が流され、付近の住宅地に突っ込むなど、無残な姿で発見されました。
 気仙沼線では、気仙沼発・小牛田行(2942D)列車(ディーゼルカー)が松岩駅出発後に脱線し、その後に津波に襲われています。花巻線の花巻発・宮古行(1647D)列車(新型ディーゼルカー)が14時46分に津軽石駅(宮古市)に到着後、津波によって脱線しました。
 これ以外にも、隅田川貨物駅へ向かっていた貨物列車(上り92列車)が常磐線の浜吉田~山下間で津波に巻き込まれ、コンテナ貨車20両が流される被害も発生しました。

 ただ、驚くべきは、M9.0の恐ろしい揺れと未知の巨大津波が襲うなか、これだけ多くの列車が走っていたにも関わらず、乗っていた乗客・乗員の全員が無事だったことです。
 津波に流された列車では、すべての乗客が避難した後に津波が訪れたために、難を逃れました。常磐線の貨物列車は、運転士が「運転室で必死に耐え、翌日生還した」(JR総連)そうです。

 新幹線と同様に、在来線でもまったく人的被害が出なかったことは、大災害の中で数少ない明るい話題だったように思います。

 3月11日以前の鉄道に戻るためにはまだ少し時間がかかりそうですが、復旧は急ピッチで進んでおり、JR東日本の社長は、被害の大きかった路線も「廃止しない」と明言しました。
 ライフラインである鉄道がよみがえることは、被災地だけでなく、日本中に勇気を与えるはずです。

(写真右上は三陸鉄道のWebサイト、左下は4/5現在の復旧状況を知らせるJR東日本の資料)
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 9日目の更新です。
 決して新幹線開業にケチを付ける訳ではないのですが、昨日に引き続き、また時刻表を読みながらついついこのようなものを作ってみました。
 「東北本線方面・上野からの普通・快速列車の乗り継ぎ早見表」と題し、上野から普通・快速列車だけで東北本線を北上すると、どこに何時に着けるかという一覧表です。

 「青春18きっぷ」「北海道・東日本パス」はもちろんですが、最近はJR東日本の「ウィークエンドパス」「スリーデーパス」といったフリー切符類でも基本は普通・快速列車に乗ることが前提になっていて、特急や新幹線料金は別払い方式です。こうした切符で格安旅行をする際にもぜひお使いいただけたらと思います。

 それにしても普通・快速列車だけだと、上野から青森まで最速でも約13時間45分。わずか3時間20分で着いてしまう新幹線とは違い、津軽は遠いな、と実感する旅になるでしょう。
 ただ、上野から青森まで全区間で都心の「通勤電車」に乗って旅をしなければならないのが苦痛ではありますが。

写真はその「通勤電車」です。東北本線・羽越線・奥羽本線の全域に入っています。場合によっては、上野~青森の全区間でロングシートなんていう「苦行の旅」となる可能性も大です。車内ではひたすら寝るか本を読み続けるなんていう旅がいいのかもしれません。
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 今日(土曜日)2回目の更新で、一応8日目になります。

 ご存じの通り、本日12月4日は東北新幹線の八戸~新青森間が新たに開業した記念すべき日です。
 東京から新青森まで最速で3時間20分ですから、少し昔に夜汽車に揺られて青森へ行った思い出などは、もう遠い過去のものとなりそうです。

 嬉しいような、嬉しくないような、何とも言えない心境ですが、高速鉄道が開業することによって、飛行機を使うことなく遠距離の移動が気軽に快適にできるようになったことは非常に喜ばしいことです。
 「廃止」の際の「ありがとう◎◎」的なニュースは不愉快極まりない(廃止されて何がありがたいのか?廃止を決めたJRが自ら「ありがとう◎◎」と題した記念切符や旅行商品を売るのは自作自演としか思えない)ことが多いのですが、新規開業のニュースは、単純に喜ぶべきことなので、TVや新聞を見ていても心安らかな一日を過ごせました。

 で、新幹線開業を私なりに祝しまして、普通・快速列車だけで青森や函館方面へ行くプラン表なるものを、昼間にせっせと作ってみました。決して「新幹線なんて乗るな」と言っているわけではありません(笑)。
 12月4日は新幹線開業と同時にJR東日本や北海道でダイヤ改正も行われ、特に東北本線の盛岡~青森間が第三セクター化されたので、「青春18きっぷ」や「北海道&東日本パス」を使って青森や北海道方面へ行く際にはかなり影響があります。
 調べてみましたら、接続が若干悪くなったために、青森へ着く時刻が改正前より1時間ほど遅くなっていました。
 普通・快速列車で青森や北海道を目指す方の参考になりましたら嬉しいです。

写真は東北新幹線「はやて」号です。わざわざ全車指定席にしているのはJR東日本の増収対策なんでしょうかね。指定券を取るのが面倒極まりないです(どうせ大して混んでいないのに)。いつでも自由に乗れるのが飛行機にはない鉄道の良さだと思うのですが。
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 毎日更新3日目になりました。
 気がつくともう、こんな時間。日が変わってしまっています。決して遊んでいたわけではなく、仕事が...(以下愚痴になるので略)

 さて、今日(月曜日)の昼間は、秋葉原と汐留という2カ所で予定が組まれていました。
 いずれもかつて貨物駅があった地で、近年はそれらを廃し、「再開発」と称して変貌が著しい場所です。

 秋葉原駅は、電気街口やホームに直結し、長年親しまれた「アキハバラデパート」(2006年末閉店)が無残にも解体され、何ができるのかと思ったら、やっぱり......JR直営の「アトレ秋葉原」(11月オープン)なる商業施設になっておりました。
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 あの「アトレ」チェーン独特の小洒落た(?)ファッション店舗&飲食店群になっていて、昔のマニアックでどこか心が落ち着く「アキハバラデパート」の雰囲気は一切が消されていました。
 「JR」とは鉄道会社の「ジャパン・レールウェイ」ではなく、やはり流通業の「ジャパン・リテール」(日経ビジネス2008/11/10号作)だったのか、と妙に納得させられたのでした。
 そのうち、JR東日本は、「atre東日本」鉄道部とかになるのかもしれませんね(皮肉)。

 で、愉快ならざる気持ちを秘めながらも、汐留へ。列車が来たことを察知して階段を駆け登り、列車に飛び乗ったら、京浜東北線の快速だった...。汐留最寄りの新橋は見事通過していきました。(駆け込み乗車はやめましょう)

 これはまあ、仕方がない......。今日は時間があるので余裕があります。
 なにより、汐留に行く際には、途中の「旧新橋停車場」(この場所の重要性は『週末鉄道紀行』に書いておりますが)に寄ることができるのです!
 喜んで日本の鉄道発祥の地に赴いたものの、よくよく考えると今日は月曜日。再現駅舎内にある鉄道歴史展示室はお休みで、「本日休業」の看板とともに、扉が閉じられていました。

 外にある0キロマイル標識(上の写真)を眺めながら、独り巨大貨物駅や貨物駅の残骸、アキハバラデパートがあった頃の汐留や秋葉原の風景を心の中に想像したのでした。
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 57日ぶりの更新となってしまいました。
 何か書かねばと思いつつ、多忙な日常に流されてしまい、季節は長く厳しい夏も終え、短い秋に変わっていて、気がつくと2か月も放置してしまいました。

 今、「長考中」みたいなところがありまして、何を書いて良いやら分からない状態なのです。

 この間のニュースなどを。

 2009年7月に刊行された拙著『週末鉄道紀行』が12月ごろに文庫版となって再発売されることが決まりました。
 新刊版は1400円でしたが、文庫版になると半額程度の価格になると思われます(著者には価格設定権はないので分かりませんが)。
 もし書店で見かけました際には、見て頂ければ幸いです。文庫版の「あとがき」に何を書こうか、少しばかり楽しみでもありますが、鉄道の旅に限ってみると、あまりにもマイナスな事が多いので、マイナス志向なことは書かないようにせねば、とも思っているところです。

 上の写真は今月撮影した青森駅での一コマです。
 トンネル鉄道...、いや、東北新幹線の新青森延伸で青森周辺の駅や町は「一路青森。」などとのキャッチフレーズを掲げ、観光施設の新設や駅舎の改築など、どこか浮ついたような雰囲気が満ちている状況でした。
 反面、JRから見捨てられる東北本線の野辺地あたりの駅では、窓口廃止や自動券売機の撤収準備にかかっているようで、新幹線延伸とは無縁の一抹の寂しさが漂い、個人的には惹かれるものがありました。
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